英語「超」上級者は例外なく多読していた件

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対象:英語上級者をめざす人  
読了:約10分(6151字) 
公開:2017-04/07 
更新:2018-01/12 全体的に加筆・修正 

英語の勉強を始めた頃、「英語上達完全マップ」を読んで、遅かれ早かれ多聴多読は始める必要があるとは思っていました。

ですが、精聴精読&反復でTOEIC 900点を超え英検準1級も取れたので、「このままでイケるんじゃないか」的な感じがしていたんですよ。

ですが、準ネイティブレベルの英語力に到達する方法について、第二言語習得やさまざまな勉強法指南書を読み漁った結果、英語上級者をめざすなら、多聴多読は必須と感じるようになってきました。

この記事では、「なぜ多読が重要なのか?」「どれくらい読めばいいか?」についてまとめています。
 
 

なぜ多読が重要なのか?

● 上級者と「超」上級者の差

2016年に同時通訳者の関谷英里子さんの著書『同時通訳者の頭の中』で、読書の重要性について触れておられました。


中級以上になってくるとリーディング量の多寡が、その後の英語力を大きく左右してくるように思います。中級以上の人は、意識して読書量を増やしましょう。

私の周りには帰国子女がたくさんいます。しかし、その英語力にはかなりのばらつきがあります。……では、この差はどこから生まれるのか。

これは読書量の差なのです。

英語でも日本語でも言語能力が高い人、バイリンガルで英語を仕事でどんどん使っている人は、例外なくたくさん本を読んでいます。日本語でも英語でも、どちらでも多くの本を読んでいます。(旧版P. 114~116)




CEFR(セファール)」の最高レベルである「C2」に到達しておられる、Siobhanさん(IELTS 8.5)も「吐くほど読む」とアドバイスされているので、かなり多読されてきたことが伺えます。


● 数千万語読む覚悟が要る

準ネイティブレベルの英語力に到達するのに必要な語彙力」で詳しくお伝えしましたが、多聴多読学習者のyukoさんは、ネイティブ並みの語彙力をお持ちと言っても過言ではないレベルに到達されています。

そのyukoさんのブログ記事「多読10年間のまとめ」によると、2016年時点で506冊(約5165万語)の洋書を読んで&オーディオブックを聴いてこられたそうです。


次に、皆さんご存知「英語上達完全マップ」の森沢洋介先生も多読家です。


現在の私の語彙は25000~27000語と思われますが、多読などの自然なボキャビルにまかせると、このあたりで語彙の伸びは止まるようで、ここ10年くらい同じでレベルにとどまっています。(P. 176~177)




P.160~161の記述からすると、2005年頃には少なくとも340冊の洋書を読んでおられたことが分かります。洋書は1冊当たり平均10万語くらいなので、3400万語は読んでおられると推測されます。


続いて、『英語耳』の著者・松澤喜好さんも大量の英語に触れておられます。年間で「読む」のに充てている時間(2005年発売時)


1 読書、10000ページ程度:450時間
2 仕事で読む資料、メール:400時間
3 仕事で書く英語の資料、メール:450時間(旧版P. 153)




計算してみたら、1日3.6時間!でした。

200 wpmの速度で読んでおられたとしても1日約4万3千語になるので、1年で1000万語以上は読んでおられると推測されます。

荒っぽい計算で恐縮ですが(笑)、準ネイティブレベルに到達したいなら、少なくとも数千万語は読む必要があると考えています。



多読の目安

第1目標:100万語

TOEICもTOEFLも満点で、第二言語習得を教えておられる青谷正妥教授が、著書で多読について触れておられました。


西澤らの研究(Nishizawa, Yoshida, & Fukuda, 2010)では、高専の学生たちに、4年間に渡って多読をさせています。

その結果、10万語読んだ時点で訳さず読むことに慣れ、30万語から100万語を読んだ時点で自身の読解力に手ごたえを感じTOEICのスコアがはっきりと伸び、……

定性的な読解力向上の定量化には限界がありますが、これらのデータに基づき、西澤らは多読が成功するためには、少なくとも100万語読む必要があるのではないかと述べています。(P. 65~66)


青谷(著者)の個人的経験および感触を述べます。Extensive Reading(多読)にせよ、Extensive Listening(多聴)にせよ、累計が100万語に到達するだけでは絶対に不十分です。

そうではなくて、毎年100万語が僕のお勧めする学習量です。(P. 67)




1日3000語読むと1年で109万語になるので、2017年から「英語ニュース&読み物サイト」のニュース記事を1日3000語読むことにしました。


また、最初にご紹介したyukoさんが、50万語、100万語に到達したときの感想をブログで説明されています。


2006年度、挫折したのち4ヶ月語に再開してからは順調で、100万語に達するまで正味約4ヶ月でした。

これは「ダレン・シャンシリーズ」にハマったことが大きかったです。シリーズ12冊を約1ヶ月で一気読み。この時の1ヶ月で50万語読んだ時に、完全に返り読み癖が無くなったのを覚えています。多読には自分のレベルに合った、夢中になれる本の存在が不可欠です。

……「目指せ100万語多読」とあるように、多読の最初の目標は100万語です。

100万語読んだ時に実感した効果は、「長文を読める体力がついたこと」でした。最初に読んだレベル3の語彙制限本は語数7000語前後だったのですが、最初は目が泳いでしまい、集中して読めなかったのです。

それが多読100万語を達成する頃には、YL(読みやすさレベル)5、語数5万語程度の本であれば3〜5日で読めるようになりました。100万語までにリーディング基礎体力をつけること、これがその後の多読を支えた一番大事なスキルでした。

【出典】多読10年間のまとめ


2018年01月現在、89万語読んできましたが、どうも僕の場合は「”完全に”返り読みがなくなる」のはまだ先な気がします(^_^ゞ


第2目標:300万語

先ほどの青谷教授が著書で触れておられた、多読に関する研究の紹介の続きです。


300万語を読むと海外に1年間留学した人と同じ程度の効果が出たそうです。(P. 65~66)

【出典】英語学習論 -スピーキングと総合力-


次に、元Google米国本社副社長の村上憲郎さんも、著書『村上式シンプル英語勉強法』で、多読を勧めておられます。


私なりに導き出した答えは、単語にして300万語です。

これだけ読めば、誰もが”英語で読める”ようになります。ちなみに300万語というのは小説にして約30冊分。ノンフィクションなら約15冊分に相当します。(P. 33)




また、多読を広めておられる、「SSS英語多読研究会」の古川昭夫さんも、著書『英語多読法』で、300万語の多読を目標にすることを勧めておられます。


最初の300万語を読むくらいまでは、ただ漫然と読み進めるのではなく、きちんとした記録をとって、自分が今どの位置にいるのか、確認しながら読み進めることが重要です。

なお300万語を超えてから、語数やレベルはあまり気にする必要はありません。(P. 135~136)

ゼロから始めても、理解度7~9割で300万語の多読をすれば、基本語2000語が自在に使えるようになります。(P. 158)




TOEIC50模試分(30万語)、英検過去問24回分(7万語)、Graded Readers(語彙制限本)35冊(40万語)も合わせると、トータルで120万語以上は読んでいると思いますが、300万語で「基本語2000語が自在に使える」気がしないです。大丈夫かな僕(笑)


ちなみに、上述したyukoさんは、500万語くらい読んだ辺りで、かなり大きな変化を感じられたようです。


確実にYL(読みやすさレベル)レベルが上がって大人の本も読めるようになった!と思えたのは、2009~2010年あたり、200冊以上読み、リーディングだけで500万語読んだ頃でした。



第3目標:2000万語

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Test Your Vocabulary」によると、そのサイトで測った大多数のネイティブの語彙力は2万~3万5千だったそうです。

そして、先ほどご紹介したyukoさんは、2011年07月の時点ですでに、ネイティブレベルである2万語を超えられてまして、「多読10年間のまとめ」にある表からすると、その2011年の時点で2000万語くらいはインプットされていたことが分かります。

というわけで、「2000万語聞く&読む」のをめざしていこうと考えています。


1日に読む量は?

上述したように、僕は「1日3000語以上読む」のを日課にしていますが、このままのペースで2000万語に到達しようと思うと、18年かかるんですよね(笑)


1日3000語(月9万語) → 18.26年
1日6000語(月18万語) → 9.13年
1日1万語(月30万語) → 5.48年


yukoさんが初めてTOEIC 905点を取得された2006年の「初TOEIC結果」「洋書200万語」などの記事を拝読していると、現在の僕は2006年のyukoさんの英語力にはまだちょっと届いていない気がします。

2006年のTOEICは今よりもやさしかったとは思いますが、それでも多聴多読中心でTOEIC対策なしで905点を取得されたyukoさんの当時の英語力は、TOEICを中心に勉強してきた950点の僕の英語力よりも「広い」と考えています。

TOEICに特化せず、多聴多読でいろんな英語に触れているという意味で、英語力が「高い」というよりは「広い」といったほうがより正確だと思います。

【参考】TOEICに特化して取った900点は「初級」だった件


そのyukoさんが2006~2011年の約5年間で語彙力2万語に到達されているので、できれば2025年頃には「2000万語を聞く&読む」のを完了して、2万語を超えられたら理想的だなーと、取らぬ狸の皮算用しています。

いずれにせよ、1日3000語 → 6000語 → 1万語という感じで、徐々にギアを上げていく必要がありますね。生きているうちに2000万語に到達するためには(笑)



多読する際の注意点


多読は、やり方や理解度によって効果が薄くなる可能性があるので、注意が必要です。


● 語数だけでなく「理解度」も重要
● 知らない単語が5%以下のマテリアル
● 辞書なしで7~9割理解できるマテリアル
● 聞き逃しや飛ばし読みが多いと伸びにくい
● 自分が興味の持てるものを聞く&読む
● 初級者は主に「精聴精読」を、中級者は並行で
● 反復したマテリアルの単語数は含まない


詳しくは、「多聴多読を90万語やったので注意点をまとめてみた」をご覧下さい。


洋書が読めるようになる2つのルート


洋書にトライされたことがある方は感じておられると思いますが、けっこう難易度高いですよね。

TOEIC 900点を超え、英検準1級に合格してからは、読みやすくはなりましたが、易しめの洋書は何とかなるものの、多くの洋書はまだ辞書がないと厳しいレベルなんですよね……

準ネイティブレベルの英語力に到達するのに必要な語彙力」でも触れましたが、「洋書を辞書なしで、ある程度読めるレベル」に到達するだけでも、最低1万語、できれば1.3万語が必要みたいです。

そんなわけで、「基本的に辞書なしで洋書を読めるレベル」に到達する方法について、2つの鉄板ルートを挙げておきます。

(1) Graded Readers → 洋書

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「Graded Readers」というのは、子供が辞書なしでも楽しめるように、語彙が制限された洋書の総称で、「レベル1→レベル5」に上がるに連れて難しい語彙や文法の割合が増えていくように設計されています。

1つめは、この「Graded Readersでまず100万語まで読み、YL(読みやすさレベル)の低い(=易しめ)の洋書に入っていくルート」です。

森沢洋介先生も「プレ多読」で触れておられますが、Graded Readersを勧められている方は多いです。

Graded Readersを出しているのは、主に次の3つの出版社のシリーズです。


● ラダーシリーズ(出版社サイトAmazon
● Oxford Bookworms Library(出版社サイトAmazon
● Penguin Readers(出版社サイトAmazon


Graded Readersは小説が多いので、小説が楽しめる人にはすごくいいと思います。

僕は小説があまり楽しめない人なので、バイオグラフィー(人物の伝記)系のものと、文化・自然科学・歴史・テクノロジーに焦点を充てた『Oxford Bookworms Factfilesシリーズ』を中心に読みました。

ただ、バイオグラフィーとFactfilesの出版数はそんなに多くないので、40万語くらいで読みたいものがなくなってしまったんですよね(笑)

また、Graded Readersのレベルの低いものは確かに読みやすいのですが、思ったほど楽しめなかったんです。それもあってGraded Readersで多読するのは断念しました(˜∀˜;)

僕と同じように、ビジネス書、自己啓発書、実用書、健康関連、歴史関連が好きな方は、次のルートで洋書に入っていくほうがいいかもしれません。


(2) 英検1級 → 洋書

英検を33年教えておられる植田 一三先生によると、「英検1級に合格するレベルだと、認識語彙はだいたい1万語になる」らしく、多くの1級ホルダーの方々が「洋書が読めるようになった」と仰っておられるんですよね。

なので、Graded Readersが合わなかった人は、(TOEIC 900 → 英検準1級 →)英検1級と試験中心に英語力を高め、1級合格後にペーパーバックに入るというルートのほうがいいかもしれません。

僕は英検1級合格後に、自分が興味がある洋書を読んでいこうと考えてまして、すでにウィッシュリストが150冊を超えています。





 
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