
読了:約10分(5927字)
公開:2015-12/17
Image by A Letter to our daughter - Mark Zuckerberg
Facebook CEOのマイケル・ザッカーバーグのメッセージが、内容的にも長さ的にも個人的にいい感じだったので、【 精読 】してみました。
僕もまだまだ修行中の身なので、ところどころ変な解釈になっている可能性も無きにしもあらずですが、リーディングが苦手で、精読の実践的なやり方を学びたい人の参考になれば幸いです(=゚ω゚)ノ
1. 原文を読んでみよう
とりあえず原文を、辞書なしで、時間を測って読んでみましょう。
168 wordsなので1~2分くらいで読めると思います。おそらく文の途中で途切れていると思いますが、「その他」を押すと続きが読めます。
I want to add my voice in support of Muslims in our community and around the world.After the Paris attacks and hate...
Posted by Mark Zuckerberg on Wednesday, December 9, 2015
いかがでしたでしょうか?
僕がTOEICの英文を読むスピードがだいたい150 wpmで、ギリギリ最後まで解き終われるかどうか、という感じです。
この文章はトータルで168語あります。つまり、1分ジャストで読めば、その速度は168 wpmということになります。
普段のリーディングパートの【 通読トレーニング 】で英文を読むときに、この文章を「1分で読み終わるスピード」で読めば、Part 7は最後まで解き終わることができるはずです。
2. 精読の前にちょっと説明
各種記号の解説
SB / STH
SB = SomeBody(人)、STH = SomeTHing(モノ)を意味します。英英辞典を使ってると見かけます。動詞の目的語が「人」をとるのか、「モノ」をとるのか、「that節」をとるのかなど、その動詞がとる語法のパターンが増えれば増えるほど、文構造を把握しやすくなる → 速読力が向上し、TOEIC Part 5の文法問題にも強くなります。
最近しばらくPart 5を勉強していない僕が、今でもアビメのR5(文法が理解できる)で90~100%取れるのは、うろおぼえの&不明な文法事項は、辞書・文法書で徹底的に引き倒してきた結果だと感じています。
【参考】英文法が苦手な人にこそ読んで欲しい!おすすめ文法書8選と勉強法
「 / 」「 ( ) 」
文構造が把握しやすいように、適度に「 /(スラッシュ)」を入れました。また、「 ( ) 」はその直前にある名詞を修飾していることを意味します。例を挙げておきますね。
became well-known all over the world / through YouTube.
(記者会見で / 泣き叫んだ)その政治家は、
YouTubeを通じて / 世界中に知られることになった。
関係詞節「who cried / at a press conference」が、その前の名詞「The politician」を修飾しています。
精読でチェックする5つのこと
僕が精読時にチェックしていることを5つにまとめてみました。(1) 発音・アクセント、音の連結・消失
(2) 語彙の意味・品詞
(3) 文構造(特に主語と動詞、そして目的語・補語・修飾句など)
(4) 文法・構文
(5) 類語の違い・使い分け
これらの詳しい内容については、次の記事も参考にしてみて下さい。
【参考】リーディング苦手な人は「精読」で道が開ける!効果、やり方
3. それでは精読してみましょう
I want to...
I want to add my voice /
in support of Muslims (in our community and around the world).
(Facebookコミュニティ内にいる、そして世界中にいる)イスラム教の人々を応援するために、私の意見もお伝えしておきたいと思います。
add one's voice 声を上げる、意見を付け加える
in support of STH ~を支持して、~に賛成して
名詞の前後に前置詞などがあったら、「英辞郎」などで、熟語やコロケーションをチェックするクセをつけましょう。
※コロケーション:よく一緒に使われる単語と単語の組み合わせ
熟語やコロケーション単位で覚えるようにすると、単語単位で覚えるのと違って、一度に処理できる語数が増える → 速読力向上につながり、TOEIC(Part 5)と英検の語彙問題にも強くなります。
Muslims [m'ʌzləm] イスラム教の人々
「Christian キリスト教の/キリスト教信者 → Christians キリスト教徒の人々」「American アメリカの → Americans アメリカ人」のパターンです。
our community
ザッカーバーグが「Facebook」内のコメントで言う「our community」なので、Facebookのこと。
After the Paris attacks and hate (this week),
パリ襲撃事件と、今週あった憎しみから、
after
後ろの「the Paris attacks」も「hate (this week)」も名詞です。つまり、ここの「after」は接続詞ではなく、前置詞ということになります。「after / before / since / as」は接続詞にも前置詞にもなるので注意して下さい。
瞬時に意味がつかめなかった箇所があった場合、その箇所の品詞をチェックするように常に心掛けていると、文構造を瞬時に見破れるようになってくる → 速読力向上につながります。
the Paris attacks
2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロ事件(Wikipedia)。初登場の名詞なのに「the」が付いているのは、世界がすでに知っている「あの事件」だからです。「一億人の英文法」をお持ちの方は、冠詞「the」の項目をチェックしてみて下さい。
また、複数形になっているのは、"同時多発"だったからかと。
hate 憎しみ
hate (this week)
(this week)は「hate」を後ろから修飾しています。「people (today) 現代人」「men (at that time) 当時の男たち」など後ろから修飾するパターンに慣れると主語・目的語はつかみやすくなります。
ちなみに「hate (this week)」というのは、ザッカーバーグがこのメッセージを投稿する12月10日の前、米大統領候補であるドナルド・トランプ氏が、12月7日に「イスラム教徒を完全に入国禁止」と言ったことなどを指しているようです。
【参考】Facebookはイスラム教徒のために闘う ザッカーバーグ氏が宣言
I can only imagine /
the fear (Muslims feel / that they will be persecuted for the actions of others).
私は、(イスラム教の人たちが、他人の行動によって、自分たちが迫害を受けるという)恐怖しか感じられません。
can only ~することしかできない
fear 恐怖・恐れ
feel that... ~と感じる
the fear (Muslims feel / that...)
(イスラム教の人々が~と感じている)恐怖
persecute SB for STH [pə́ːrsɪkjuːt] ~のために(人)を迫害する
また、ここも「be persecuted for」という熟語で覚えましょう。
others 他人 ※複数形で使う
the actions of others 他人の行動
同じイスラム教徒とは言え、平和を望む側のイスラム教徒の人たちからしたら、IS(Islamic State)は「others」になるわけです。その彼らの「the actions = the Paris Attacks」。
they この前にある「Muslims」を指しています。英文を正確に理解するためには、代名詞も「何を指しているのか?」を常にチェックするクセをつけておいたほうがいいです。
that they will be persecuted for the actions of others
ISの行動(パリ襲撃)で、おそらく同じイスラム教徒という理由で、彼ら(イスラム教徒)が非難されること。
As a Jew,...
As a Jew,
my parents taught me /
that we must stand up against attacks (on all communities).
私はユダヤ人なのですが、
両親は教えてくれました
私たちはすべてのコミュニティに対する攻撃に立ち向かわなければならないと。
Jew [dʒuː] (= Jewish person / Jewish people) ユダヤ人
as a Jew いちユダヤ人として
teach - taught - taught 慣れてないとスピーキングで出てこない「teach」の過去形と過去分詞形(笑)
teach SB that... (人)に~と教える
must
日常会話で、「~しなければならない/~しなくちゃ」と言いたい場合は「have to」を使います。ですが、「have to」を使うと「強制されて、仕方なく~しなければならない」というイメージがあります。
強い意志、自らに課した強制という意味で「~しなければならない」と感じているときは、この文のように「must」を使います。
stand up against STH ~に対して立ち上がる、立ち向かう
attacks on STH ~対する攻撃
※「進撃の巨人」は英訳だと「Attack on Titan」です。
Even if an attack isn't against you / today,
今日、起こった攻撃が、あなたに対してのものではなかったとしても、
even if... たとえ~だとしても
an attack 不定冠詞「an」が付いているので、特定の攻撃を指しているわけではない
be against ~に対して
in time /
attacks (on freedom (for anyone)
(S)
will hurt everyone.
(V)
どんな人の自由に対する攻撃であっても、
やがてはみんなを傷つけることになる
in time やがて、そのうち
freedom for SB (人)の自由、~にとっての自由
hurt SB (人)を(精神的に・肉体的に)傷つける
両親に「we must stand up against attacks on "all" communities」と教えられたザッカーバーグは、今まさに「イスラム教徒」というコミュニティのために立ち上がったということになりますね。
【参考】ユダヤ人が迫害される理由Ⅰ~ユダヤ人の歴史〜
If you're a Muslim...
If you're a Muslim (in this community),
as the leader of Facebook /
もしあなたがイスラム教徒なのであれば、
Facebookのリーダーとして、
you おそらく「Facebookでこのメッセージを読んでいるあなた」という意味かと。
a Muslim
今までは「Muslims」と複数形でしたが、ここでは不定冠詞「a」が付いている点に注意。「一人のイスラム教徒」。
「なぜここの冠詞は「a」なのか?/無冠詞なのか?/複数形なのか?」を常に考えるようにし、「文法書で調べるようにしてみて下さい。
そうすると、冠詞や単複に慣れ、リスニング・リーディングでで正しく理解できる、スピーキング・ライティングで正しく使えるようになってきますよ(・∀・)b
正直、僕のレベルではまだ、冠詞を100%理解できているわけではないですが、それでも、勉強し続けてきたことで、理由を説明できる割合は少しずつ増えてきました。
this community これもFacebook上でのコメントなので、Facebookを指している。
as the leader of STH ~のリーダーとして
I want you / to know /
that you are always welcome here /
あなたに知っておいて欲しいことがあります
ここ(Facebook)では、あなたはいつでも歓迎されていることを。
want SB to do (人)に~して欲しい
be welcome (主語は)温かく迎えられている
here
「in this community」は前文で使っているので、重複を避けるために「here」を使っている。
and that we will fight to protect your rights /
and create a peaceful and safe environment / for you.
私たち(Facebook)は、皆さんの権利を守るために戦い、
平和で安全な環境を創るということを(知っておいて下さい)。
1つめの「and」は何をつないでいるか分かりますか?2つの「that節」をつないでいますね。「know」の目的語が2つあるということです。
次のようなイメージです。
that you are always...and
(1)
that we will fight...
(2)
2つめの「and」は動詞をつないでいます。
fight to protect...and
(V1)
create a peaceful...
(V2)
このように、接続詞「and / but / or」が出てきたら、何と何をつないでいるのかを常にチェックするようにしてみて下さい。
徐々に慣れてきて、瞬時に何と何をつないでいるのかが分かるようになる → 速読力向上につながります。
we
「we」は「当社、弊社」を表す場合があります。ここでは、前文に「here」があって、ザッカーバーグが「we」ということは、「We = Facebook」の意味になります。
fight to do ~するために戦う
protect SB's rights (人)の権利を守る
create STH for SB (人)のために~を創る
create a ADJ environment (形容詞)~な環境を創る
Having a child...
Having a child / has given us so much hope,
(S)
子供ができたことで、私たちは大きな希望を感じています。
having a child 子供を授かること、子供ができたこと
この文ではこれが主語になっています。「having...」から始まると一瞬分詞構文かなと思ってしまいますが、もしそうなら「having」の後ろは基本的に動詞になります。また、その後に、「has given」という動詞部がありますしね。
瞬時に気づけなかった主語に「S」、動詞に「V」を付けるようにしていると、瞬時に主語・動詞に気づけるようになる → これも速読力向上に。
has given
ザッカーバーグ家はつい最近子供が生まれたんです。子供が生まれたのは「数日前」という過去ですが、比較的最近の出来事で、それが今の自分にも影響を与えている場合、過去形ではなく、現在完了形で表現することが多いです。
この文では、子供が生まれたことで、ザッカーバーグは"今"希望に満ち溢れてるということです。これがもし過去形「gave us so much hope」だったら、子供が生まれたのも、それによって希望を感じたのも昔の話、という風に聞こえてしまいます。
give SB hope (人)に希望を与える
but the hate of some
(S)
can make it easy to / succumb to cynicism.
誰かを憎むと、それ以外に選択肢がないと、簡単に思い込んでしまう可能性があります。
hate of SB / STH ~に対する憎しみ・嫌悪
some
ここでは名詞で「誰か」。≒someone, somebody。他に「many」も「たくさんの人たち」という名詞になります。
can
ここでは可能「~できる」の意味ではなく、「~する可能性がある」の意味。
make it easy to do 簡単に~する・~してしまう
succumb to STH [sək'ʌm] ~に屈する
cynicism [s'ɪnɪsɪzəm] 不信感
「いったん憎しみに駆られると、その感情に盲目的に付き従ってしまいがち」ということを言いたいのかなと。「結婚してから、旦那の欠点ばかりが目に入るようになって、旦那がどんな良いことをしても、マイナスにしか捉えられなくなってしまう」みたいな感じ?
We must not lose hope.
希望を見失ってはいけません。
must not ~してはいけない
lose hope 希望を見失う
As long as we stand together / and see the good in each other,
we can build a better world (for all people).
私たちが共に立ち上がり、お互いの良いところに目を向けてさえいれば、
すべての人のために、より良い世界を創ることができるのです。
as long as... ~する限り、~しさえすれば、~することで ※条件をつけるために使う。
stand together 共に立ち上がる
good 良いところ、長所
see the good in SB/STH ~の良いところに目を向ける
each other お互い ※名詞である点に注意。
build a ADJ world (形容詞)~な世界を気づく

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