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公開:2016-09/22
TOEICをトータルで4年勉強し、【 オンライン英会話 】もトータルで4年やってきました。2015年からは、TOEICと英会話を並行してやっています。
そこで、「オンライン英会話はTOEICに効果がありますか?」「TOEIC学習者は、いつ英会話を始めたらいいですか?」というご質問をいただくのでまとめてみることにしました。
1. オンライン英会話のTOEICへの効果
英会話メインで600点台で伸び悩んだ読者さん
「TOEIC 800点台に到達された読者さん Part 2」でご報告下さった、805点を獲得されたHMRRさんは、次のように仰っておられます。仕事で英語を使う機会が増え、41歳で525点だった2年前(2013年)に学習再開。
通学英会話 → Skype英会話を1年。リスニングを中心に70点程度あがり600~645点台に。ここからSkype英会話をさらに1年継続しましたが、600点前半から数字が全く動かず。
その後、うちのブログ記事「TOEIC 700~800点が確実に獲れる6つの戦略と勉強法」などを参考にして下さり、オンライン英会話を中断してTOEICに特化して勉強した結果、800点を超えることができたそうです。
英会話メインにしたらスコアが下がった僕
続いて僕のケースです。2012年10月に910点(L445/R465)が獲れたので、2013年から会話力向上のために、【 オンライン英会話 】を受けながら、【 瞬間英作文 】でトレーニングしていくことに決めました。
その結果、会話力は向上しましたが、翌年の2014年06月、一切対策せずに受けたTOEICは、790点(L365/R425)で、100点以上もダウンしました(笑)
【参考】TOEICスコアが伸びない人によくある9パターンとその対策
もちろん、オンライン英会話をやることで、英語に触れる機会が増える → 英語力(特にリスニング力)が向上するので、現在TOEIC 400~500点台であれば、「オンライン英会話のみ」でもある程度スコアは向上するはずです。
ただ、TOEIC 800~900点を獲るのに効率的かどうかと考えると、疑問符が付きます。
オンライン英会話とTOEICで身につく英語力の違い
身につくリスニングの違い
両方やっていて感じることなのですが、「TOEIC高得点に必要なリスニング力」と「オンライン英会話で身につくリスニング力」って、被る部分もあるものの、被らない部分のほうが多いなと。※被らないからこそ、両方やることで、よりバランスの獲れた英語力が身につく、とも言えます。
TOEICは、お店で何かを注文したり、仕事について話したり、空港などの施設でアナウンスを聞いたりといった英語圏で仕事する&生活するのに必要な英語力を測る試験です。
一方、オンライン英会話では、自分の興味のあることを話したり、海外のニュース記事についてディスカッションしたりするのがメインになります。
つまり、オンライン英会話では、TOEICに出てくるようなトピックにはなりにくい = TOEIC高得点に必要な語彙・表現が身につきにくいんです。
また、TOEICは会話の問題でもフォーマルで丁寧な表現が多いですが、オンライン英会話ではフォーマルな表現を使う先生は少ないですし、使う場面も少ないです。
【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 1・2編 / Part 3・4編
身につくリーディング力の違い
当然ながら、英会話ではリスニングとスピーキングがメインになるので、リーディング力の向上はあまり期待できません。アーティクル(記事)レッスンを毎日やれば、TOEICに出てくる記事問題は多少読めるようになるかもしれないですが、TOEICによく出るビジネスメール・手紙・履歴書・広告などの文書を読むのに必要な語彙力はあまり身につかないなと。
【参考】TOEIC リーディング465点が獲れたPart 7勉強法「通読トレーニング」
英語上級者はみんな独学
もちろん、「ネイティブキャンプ」の公式問題集を使ったレッスンや、僕が信頼しているTOEIC講師・HUMMERさんが監修されている「レアジョブ英会話
なので、「一人では勉強できない…」という人が、TOEICを始めるキッカケを作る分にはいいかもしれないです。
ただ、英語上級者の方々に勉強内容をお聞きしていると、基本的に皆さん独学なんですよね。
勉強法や分からないところを先生や友達に相談することはあっても、音読・【 精読 】・【 オーバーラッピング&シャドウイング 】・【 瞬間英作文 】・【 暗唱 】【 通読 】など、勉強やトレーニングというのは基本的には一人でやるものだと感じています。
なので、遅かれ早かれ、最低でも1日に2~3時間、勉強する習慣を身につけないと、英語を習得するのは難しいと感じています。
【参考】英語を5000時間勉強したので継続のコツをまとめてみた
そんなわけで、「オンライン英会話はTOEICに効果があるか?」と問われれば、
というのが、今の僕の結論です。
2. TOEIC学習者はいつ英会話を始めるべきか?

スコア最優先 → 目標スコアを超えてから
実は900点を取得する前に一度、オンライン英会話を少しやっていたことがあります。ですが、TOEICの勉強もオンライン英会話の復習も、どちらも中途半端になっているのを感じたんです。英語学習において、「上達を感じにくい」というのは、挫折の原因になりやすいです。
当時の僕は、英語が話せるようになることよりも、TOEIC 900点を超えることのほうが優先順位が高かったので、そのときはTOEIC1本に絞ることにしました。無職無収入だったので「TOEIC 900点」という肩書が欲しかったのです(笑)
そんなわけで、就活・転職・昇給などが懸かっていて、現在の最優先事項がTOEIC 800~900点なのであれば、TOEICの勉強に集中したほうが、時間対効果は高いと考えています。
さらに、TOEICには「目標スコア」という「終わり」がありますが、英会話には「終わり」がないんですよね。
英会話は具体的な数値目標が作りにくいので、「終わり」があるTOEICを先にやって、目標スコアに到達してから英会話を始めたほうが精神的にいい気がします。
【参考】TOEIC初心者が600点獲れる勉強法 / 700~800点 / 900点
TOEICは趣味 → 800点超えてから
「TOEICは趣味」「自分の英語力を測るのが目的」「スコアは特に急いではいない」という方は、特別な理由がなければ、800点を超えてから英会話を始めることをオススメします。理由は3つあります。
(1) そこそこのインプット量がある
TOEICに対する批判に「800~900点持っていても話せないと意味がない」というのがありますよね。例えばここに、スピーキングがまったくできない人が2人いたとします。一人はTOEIC 500点で、もう一人は800点。
もし、「よ~いドン!」で今日から、2人とも同時に英会話を始めたとしたら、800点台の人のほうが英会話力の上達速度は早いと思うんです。
800~900点ホルダーは、すでに多くの語彙・文法のインプットがあり、500点台の人よりも多くの英語に触れているので、語彙・文法がどういう状況で使われるのかも理解しているからです。
実際、数年間、TOEICで慣れ親しんできた(インプットした)語彙ほど、スピーキングで出てきやすいんですよね。
言語学者の白井恭弘教授の著書「外国語習得の科学(Amazon)
アメリカ国防総省外国語学校では、バレリアン・ポストフスキーがロシア語学習の実験を行い、インプットが他の技能に転移することを示しています。
……話すことを遅らせ聴解(リスニング)優先の学習をしたグループが、最初から話す練習をしていたグループに総合力で勝り、話す能力もより優れていたのです。(P.98)
第二言語習得研究の結果わかってきた重要なことは、外国語のメッセージを理解する、すなわちインプットが、言語習得をすすめる上での必須条件だということです。……インプットによって第二言語の音声、語彙、文法の自然な習得がすすむのです。(P.134~135)
十分なインプットなしにアウトプットばかりに重点を置いても言語習得はすすまない(P.150)
まとめると、インプット量が多ければ多いほど、スピーキング力は伸びやすくなり、自然で正確なものになるということです。
赤ちゃんだってお母さんの声(リスニング)から入りますよね。いきなりスピーキングから入って、「おかん、腹減った。そろそろ母乳くれ」とか言う1歳児なんてイヤです。
なので、「英語学習で、TOEIC(リスニングとリーディング)から始める」というのは、第二言語習得研究の観点からすると、理に適っている学習法なのかもしれないなと。
(2) そこそこ聞き取れるリスニング力
英会話は、聞き間違いが半端ないです。なので、リスニング力が高いにこしたことはないなと。800点以上(リスニング400点以上)になると、Part 3・4では「だいたい何の話か分かる」という割合が増えてきますし、瞬時に聞き取れる語彙・表現もそこそこ増えてくるので、簡単なトピックであればわりと聞き取れるようになってきます。
(3) 復習にかかる時間が短くなる
800点を超えてくると、瞬時に聞き取れる語彙、読める語彙が増えてきます。その結果、リスニングパートは精聴にかかる時間が減り、リーディングパートは辞書・文法書を引く回数が減ってくる = 復習にかかる時間が短くなってきます。
復習にかかる時間が減ることで、英会話やスピーキング練習に費やす時間を確保しやすくなるんです。
(4) 900点超えてからだと遅いかもしれない
当時の僕みたいに、TOEICに特化して勉強して獲った900点というのは、例えば帰国子女の人が一切TOEIC対策せずに獲った900点とは、実力的に大きく異なります。まず、900点を超えても、【 瞬間英作文 】や【 暗唱 】などの、想起系(思い出して言う系)のトレーニングをしていなければ、スピーキング力はほとんど伸びないんですよね。
また、上述しましたが、TOEICは英語圏で生活したり、仕事したりする場合に使う英語力を問われる試験なので、政治・経済・環境・教育・科学などのトピックの語彙はあまり身につきません。
会話力もほとんどなく、身につく英語力も限定的というという意味では、TOEICに特化して獲った900点は「仮免許」だと僕は感じています。
ですが、実際に900点を超えると、周囲から「すごく英語できる人なんですね」と言われる可能性が出てきます。
その人の周囲の環境や、「TOEIC 900点獲りました」と公言するかどうかにもよりますが、「英語ペラペラ/英語のプロフェッショナル」という実力以上の評価をされることもあれば、「900点持ってるのに英語話せないの?」とバカにされることもあります。
なので、900点を超えてからの評価を考えると、人によっては、800点に入ってから英会話を始めておいたほうがいいかもしれないなと。
以上4つの理由から、僕がアドバイスを求められたときは、英会話は800点を超えてから始めるが妥当という結論に今は至っています。
最終的には自分の心の声に従う
とは言え、もちろん「400~700点だから英会話を始めるのはダメ」ということはないです。「TOEIC 800点は確かに欲しいけど、スコアはそんなに急いでいないし、英会話をやることがモチベーションになっているので、私はオンライン英会話を続けたい」というのも1つの選択肢だと思うんです。
また、「とにかく今は900点を獲ることに集中したい」というのであれば、900点超えてからでも全然OK。
人それぞれ、現在の英語力・目標・嗜好は異なります。
僕の意見や、著名な英語講師のアドバイス、Google検索結果の上位にくる記事が、その人にとってベストな選択肢とは限りません。
最終的には「自分は今、どういったスキルを伸ばしたいのか?」「どのスキルを最優先で伸ばさないとけないのか?」と自問することが大事。スティーブ・ジョブズも「Follow your heart and intuition.(自分の心と直感に従え)」と言ってますしね。
【参考】英語学習者に贈る!目標を見つけるための5つの質問
● 効果と注意点まとめ / メリットとデメリット
● おすすめのスクール / 勉強の軌跡
「オンライン英会話の準備をしたい!」
「始めてみたけど、どうしたらいいか分からん!」
● 初心者 5つの準備 / 便利フレーズ200
└ 「自分を英語で説明できる」ようにする
└ いい先生の選び方
● 使い方&予習・復習のやり方 / 習慣化のコツ
「スピーキング力を上げたい!」
● 瞬間英作文 - 効果的なやり方 / 暗唱
● 流暢さ向上:英語で独り言 / カランメソッド
● 発音向上:発音練習 - 7つの発音ルール
「リスニング力を上げたい!」
● ディクテーション
● オーバーラッピング&シャドウイング
● リスニングが上達しない4パターン
「最近伸び悩んでる…」「もっと上達したい!」
● 上達しない5パターン / 英語学習 継続のコツ
● オンライン英会話では身につきにくい英語力

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