
読了:約9分(5394字)
公開:2017-12/19
更新:2018-08/31 タイトル変更、「最初の50万語はL300~400Lで読む」追記、部分的に加筆・修正
関連:英語ニュース&読み物サイト - 多聴多読
Image from Newsela
「英語「超」上級者は例外なく多聴多読していた件」でもお伝えしたように、上級者に到達するためには、遅かれ早かれ多読を日常化する必要があると感じています。
ですが、初級~中級レベルの学習者にとって、ペーパーバックなどのネイティブ向けの洋書ってちょっと厳しいんですよね。
Kindle Paperwhiteなどを使えば読めなくはないのですが、読むスピードが遅いので多読という感じじゃないなと。そこで、
などのGraded Readers(語彙制限本)で多読を始めるわけですが……
たった1000~5000語しかないのに1冊1000円って高くね?
と思うわけです。
しかも僕は小説よりもノンフィクションが好きなので、小説ばかりの語彙制限本はすぐに読めるものがなくなってしまいました。
それで、1日3000語(年100万語)以上読むのをどう実践していくか悩んでいたところ、TOEIC満点ホルダーで多読のサービスを展開されているSangminさんに教えていただいたのが、この「Newsela」です。
「Newsela」をお勧めする8つの理由
(1) 英文の難易度が選べる

「Newsela」が他の英語ニュースサイトと違う最大の特徴が、各記事が「5つの難易度」で読めることです。
例えるなら「バイオハザード」などのアクションゲームで「Easy / Normal / Hard」の異なる難易度でプレイできるのに似ています。
Graded Readers(語彙制限本)で多読してると、「この本、内容はすごく惹かれるけど、今の自分には難易度が高いな」「Level 1かー。Level 4で読みたいんよな」とかで断念する本って少なくないんですよね。
ですが、Newselaなら「これ読みたい!」と思った記事が、今の自分のリーディング力に合った難易度で読めるわけです。これが画期的だなと。
難易度が「MAX」で1000L超える記事だと、英検1級ホルダーの方でも読み応えあるのではないかと思います。
ちなみに「510L」の「L」は「Lexile指数」のことです。説明しよう!
Lexile指数とは、アメリカのMetaMetrics®社が開発した「読解力」および「文章の難易度」を示す指標です。
世界165か国以上で活用されているほか、アメリカでは、小学3年生~高校3年生の約半数が、英語能力テストの結果とともにLexile指数の判定を受けています。本は、単語数や難易度、構文の複雑さなどに基づきLexile指数がふられます。
【出典】Lexile指数とは?|Amazon
(2) ”すべての記事が無料で”読める
正確な数は分からないですが、2013年開設して今まで週8記事で更新されてきたとしたら、「Newsela」には少なくとも1600記事以上はあると推測されます。最初にメアドなどでの登録は必要ですが、すべての記事が無料で読めます。
「最近『無料』って謳ってるけど、実際には課金しないと使いものにならないアプリやサービス」にウンザリしているのですが(笑)、Newselaはそういう「無料無料詐欺」はないです。有料版を猛プッシュしてきてウザいということもありません。
そもそも有料版があるのかどうか。
教師向けの有料版のサービスがあるみたいなのですが、サイト内を調べても有料版へ移行できるところが見つけられないんですよね(笑)
特に学生さんやお小遣いで英語を学んでるパパママさんに優しいサイトです。
(3) 多読に最適

上述したように、「Newsela」にはすでに1000記事以上のストックがあると考えられます。
それに加えて、平日に1日3~5記事がアップされるので、初級~中級者が多読するには十分な量があると思います。
ただし、注意点が1つあります。「Latest News」にはすべての新着記事が表示されません。
僕は「Advanced Search」のページをブックマークしているのですが、この画面の「Articles」にはNewselaのすべての新着記事が表示されます…たぶん。もし間違ってたら教えて下さい!
(4) 幅広いカテゴリーの記事が読める

便宜上「ニュースサイト」と呼んでいますが、「Newsela」が扱う記事はニュースだけではありません。
例えばメイン画面上段の「Library」タブにあるカテゴリー「World History」ではフランス革命や万里の長城に関する記事が読めますし、「Opinion」では今世界で話題になっている社会問題に関する賛否を読むことができます。
他にも、いろんな職業の人の仕事内容を英語で学べる「Careers」、歴史上の人物の伝記「Biographies」などがあります。「VOA Learning English」よりも幅広いと思います。
また、「Big Questions: What makes oceans so salty?(海水はなぜあんなに塩辛いの?)」など、小さい頃に読んだような、科学系の素朴な疑問に答える記事「MAX6: Great Question!」は大人でもけっこう楽しめます。
ちなみに、多読初級者の方は「好きなカテゴリーの過去記事を毎日1つ読むのを日課にする」のはいかがでしょうか?
例えば健康に興味があるなら「News」タブにあるカテゴリー「Health」、科学なら「Science」とかあります。
好きなカテゴリーだと、背景知識があるので多少難しくても理解できることが多いんですよね。
そして興味あるカテゴリーの記事をずっと読んでいると、さまざまな語彙・文法が身につくのはもちろん、ニュースやアカデミックな英文の文体にも慣れてくるので、他のカテゴリーの記事も少しずつ読みやすくなってきます。
【参考】英語学習を続けるために大切なのはモチベよりも「日課」
(5) ワード数が表示されてる

「Newsela」では各記事のアイキャッチ画像の右上に「Word Count」というものがあり、その記事の語数をチェックできます。
僕は「Google スプレッドシート(PCでもスマホでも編集可)」に、この読んだ語数をカウントしてまして、2018年現在は毎日3000語(年100万語)以上読むのを日課にしています。
というのも、第二言語習得(外国語の習得を科学的に解明する学問)の研究者で、TOEFL満点!の青谷正妥教授が、年間で100万語の英語に触れることを推奨されているんですね。
そして長期的には、「英語「超」上級者は例外なく多聴多読していた件」でお伝えしたように、月30万語、合計2000万語のインプットを目標にしています。
「毎日3000語読む」といった「日課」を作ると勉強をサボりにくくなりますし、「TOEIC 900点」や「英検準1級」といった目標以外に、「合計2000万語読む」といった「数値目標」も作ると、目標に到達する度に達成感を得られる → 続けられる → 継続は力なり。
【参考】英語を5000時間勉強したので継続のコツをまとめてみた
(6) 専門用語や難しめの単語には説明がある
例えば、「Lots of people looked up the word "feminism" this year」という記事だと、最初のほうで「Feminism is the idea that women and men should be treated equally.」という風に、英英辞典にあるような説明がなされます。これがすごく勉強になるんですよ。知ってる単語であってもより正確な意味がつかめるようになりますし、言葉を説明する方法も分かってきます。
(7) 理解度を測るクイズがある

ブラウザだと各記事の右上に「Open Activities」というボタンがあり、そこの「Quiz」でその記事の理解度を測ることができます。読みっぱなしはイヤだという人にお勧め。
また、「Newselaメイン画面」の上段にある「Binder」をクリックすると、Your Progress(進捗)が分かるようになっていて、Average Article Lexile(記事の難易度の平均)、Quiz Average(Quizの正答率)なども分かるようになっています。
ただ、僕はやっていません(笑)
いくつかの記事でやってみたのですが、解説がないので「間違えたけど、なぜそれが正解になるのか分からない」というときにモヤモヤするのと、Quizをやる時間を読む時間に充てたら、もう1記事読めるなと。
(8) アメリカの75%の学校が採用してる
Business Insiderの記事「This education startup you've never heard of is in 75% of American classrooms」によると、アメリカの幼稚園から高校までの学校の75%が「Newsela」を使っているそうです。75%ってスゴイなと。この数字って、多くの教育機関から信頼されている証だと思うんですよ。また、「アメリカの多くの学生が学んでいること」を自分も学べるってなんかワクワクします。
「Newsela」のコツと注意点
TOEIC 900点・英検準1級以上推奨

Image by Native speakers in greater detail
もし「Newsela」のLexile指数が最も低い300~400Lの記事でも難しいと感じるようであれば、Newselaはまだちょっと早いのではないかと考えています。
Newselaの対象年齢は、Grade 2(小学2年生=7歳)以上です。
語彙力が測れる「Test Your Vocab」というサイトの「Native speakers in greater detail」という記事によると、7歳児の語彙力は8727語です。
2018年01月の、TOEIC 900点(R450点前後)&英検準1級の僕のTest your Vocabで測った語彙力は8200語でした。
つまり、TOEIC 900点と英検準1級の両方が取れると、ようやくNewselaの対象年齢に入り始めるということになります。
実際、僕のリーディング力で易しめの300~400Lの記事を読むと、易しくは感じるのですが、それでも知らない単語・フレーズはけっこう出てきます。
TOEICリーディング300点・英検2級で「読めているよ」という方もおられると思います。
ですが、実は「知ってる単語だけを拾って類推して読んでいるだけ」という可能性もあります。僕も以前はそうでしたし。なので、正確に読めているのかどうかは、自問してみたほうがいいかもしれません。
類推して読んでいる割合があまりにも多いと、いつまでたっても"正確に"読めるようにはならないです。
自分のレベルに合っているかどうかの見極め方については、次の記事をご覧下さい。
【参考】多聴多読を200万語やったので注意点をまとめてみた
最初の50万語は300~400Lで読む
上述したように、2017年に「Newsela」での多読を始めたときは、すでにTOEIC 900点&英検準1級ありました。なので、Lexile指数の難易度600~800Lくらいの記事も、辞書なしでもそれなりに理解することはできたのですが、それでも300~L400から読み始めました。
理由は次の2つからです。
(2) NewselaはTOEICや英検とは文体が異なるものも多い
「多聴多読を200万語やったので効果をまとめてみた」でもお伝えしたように、多読は、辞書なしで7~9割理解できる&未知語が5%(20語中1語)以下が理想なんですよね。
Newselaでの多読を始めた当初、600~800Lでも7~9割は理解できていたのですが、読むスピードが非常に遅く、返り読みも多く、未知語が5%以上ありました。
なので、300~400Lで読むようにしたんです。
「Newsela」の英文は、TOEICの英文とはけっこう異なるものの、英検と被っている部分は多いと感じています。
とは言え、「Newselaには出てくるけど英検にはめったに出てこない単語・フレーズ」もかなり多く、文体や話の流れもいくらか異なります。
なので、Newselaのような英文を読み慣れていないのであれば、最初の50万語くらいは、300~400Lで読むことをお勧めします。
難しい!→DMM英会話デイリーニュース

もしLexile指数300~400Lの記事でも正確に読めていないと感じるようであれば、DMM英会話が提供している「DMM英会話デイリーニュースのIntermediate 4・5」を、まず100記事読むことをお勧めします。
DMM英会話デイリーニュースは、Intermediate 4・5レベルの記事は「VOA Learning English」が元ネタなので、語彙が易しめなんですよ。自分の感覚では、Newselaの一番易しい記事よりも易しめな気がします。
しかも、日本語訳と語注があるので、英文を正確に理解しやすいんですよね。
DMM英会話デイリーニュースを100記事読んで、読み慣れてきたらNewselaに移行するといいかと。
注意点としては、ただ漫然と読むのではなく、各記事を精読した上で10~20回繰り返し音読することをお勧めします。
精読することで英文を正確に読むチカラがつきが、繰り返し音読すると読むスピードが速くなるからです。
反復音読 → 読むスピードが上がる
つまり、精読した上で繰り返し読むことで、正確かつ速く読めるリーディング力が身につくことになります。
精読に関しては「リーディング苦手な人は「精読」で道が開ける!効果・やり方」をご覧下さい。
● 真のバイリンガルは努力家だった件
● 英語学習 継続のコツ
【 多聴多読 】
● 英語「超」上級者は例外なく多読していた件
└ 多聴多読の効果 / 注意点
【 リスニング 】
● 脳内ディクテーション
● NHK WORLD TV / 映画・海外ドラマCD本
● ネイティブYouTuber
● ポッドキャスト「Speak UP Radio」
【 リーディング 】
● 英語ニュース&読み物サイト

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