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公開:2012-11/12
更新:2018-07/11 更新中
TOEICの勉強を始めた頃の僕もそうでしたが、TOEICのPart 3やPart 4で、
「先読みができない」
「先読みしても内容を覚えられない」
「先読みするとかえって混乱する」
という症状を抱えている方は、Part 3・4の設問・選択肢、そして会話・トークのデータベース不足が原因です。単刀直入に言うと、勉強量が足りない。
そこで、設問・選択肢のデータベースの増やし方や勉強方法(練習法)についてまとめてみました。また、Part 3・4の解き方についてもまとめてあります(・∀・)b
Part 3・4 解き方の流れ

まずは、Part 3・4の問題の解き方の流れを載せておきます。
Part 3・4を解く準備は、僕の場合、Part 1から始まっています。
最初とPart 1・2のDirections
公開テストを受けると、一番最初に「LISTENING TEST」と「PART 1」のDirectionsが読み上げられます。僕が信頼しているヒロ前田先生の『至高の模試』によると、その時間は約1分30秒だそうです。
そしてPart 1が終わると「PART 2」のDirectionsが始まります。これは約30秒。
僕はこれらのDirectionsの間に、Part 3・4の
(2) 意図問題の " " で囲われた英文を読む
(3) 他の設問の固有名詞やマイナーな設問を読む
ようにしています。
(1) 図表問題の図表と設問を読む
図表問題は、基本的にはPart 3・4合わせて5つ出ます。まずはその5つの図表と設問をすべてチェックしています。最近のTOEICを受験されたことがある方は経験されていると思いますが、Part 3・4の図表問題に出てくる図表には、
● パッと見ただけでは何の図表か分かりにくいもの
● 情報量が非常に多いもの
があり、Part 3・4を先読み(後述)するときのみだと、正確にきちんと読み取れなかったりするんですよね。
なので、最初とPart 1・2のDirectionsで目を通して、
● 図表の設問では何を問われているのか?
● 選択肢にはどういう情報が記載されているか?
● その選択肢の語句は、図表のどこに記載されているか?
などをチェックします。
例えば、
のTest 1のPart 3 Q64(オフィスのマップ)、Q67(工場毎の違い)、Q99(クーポン)などは、わりとよく見かけるタイプの図表ですが、Q68(契約書)、Q96(カギの束)はちょっと珍しいタイプになると思います。
こういう珍しいタイプの図表は、大量にPart 3・4を解いてない限り、一瞬見ただけで先読みするのは難しいんですよね。
なので、僕は最初とPart 1・2のDirections時に目を通しておくようにしています。
(2) 意図問題の " " で囲われた英文を読む
意図問題というのは、のような設問です。Part 3・4合わせて、平均5問くらい出ます。
2016年の新形式に変わった頃は、比較的易しい問題が多かったのですが、最近(2018年)は、会話の流れや、登場人物の意見を正確に聞き取れていないと解けない問題があったりして、わりと難易度が高い部類に入ると思います。
また " " で囲われた部分の英文の意味も瞬時に読み取らないといけないので、リーディング力も重要になります。
(3) 他の設問の固有名詞やマイナーな設問を読む
意図問題の " " を読み終えたら、他の設問の会社名や人名などの固有名詞と、マイナーな設問に目を通しています。Part 3・4に出る設問の多くは"よく出るパターン"なのですが、「この設問、見たことないな」というパターンがたまにあるんですよね。なのであらかじめ読んでおくようにしています。
Part 3・4の Directions
続いて、Part 3・4の各Directionsに入った後の流れを説明していきますね。次の表にある「上級者」というのは、リスニング 400点以上の方を想定しています。先読みについて後述します。スマホでご覧の方は、横にしたほうが見やすいかも。
音声の流れ | 行動フロー |
Direction読み上げ中(約30秒) ▼ ▼ Questions 41-43の会話開始 ▼ 会話読み上げ中 ▼ Questions 41-43の音声終了 ▼ Question 41の設問読み上げ ▼ ポーズ(約8秒) ▼ Question 42の設問読み上げ ▼ ポーズ(約8秒) ▼ Question 43の設問読み上げ ▼ ポーズ(約8秒) ▼ Questions 44-46の会話開始 | Questions 41-43の設問を先読みする (上級者は選択肢にも目を通す) 音声に集中する (上級者は正解の選択肢に指を置く) Questions 41-43を解いていく (上級者は解き終わり次第、次の問題の先読みへ) この後のポーズに入る前にマークを終わらせ、 次のQuestions 44-46の先読みに入る この時点で次の問題の先読みに入っていないと 先読みのリズムが崩れてパニクってくる(笑) 音声に集中する |
Directions時の注意点
Part 1やPart 2のDirections時に、Part 3・4をチェックしていると、
気づいたらPart 1(Part 2)が始まってた…(゚Д゚)チーン
となることがあります。実は過去に1回やっちまったんですよ。やっちまったーなー!
というわけで、Part 1のDirectionsでは「Now, Part 1 will begin.」が聞こえてきたらPart 1の写真のページを開き、Part 2では「Now, let us begin with Question number 7.」が聞こえてきたら、マークシートのPart 2-Q7で構えます。
これはぶっつけ本番でやると、やっちまってしまいます。
なので、公開テスト前は『公式TOEIC L&R問題集や模試』を、時間を測りつつ、マークシートも使って、本番と同じように解いて慣れておくことをお勧めします。
Part 3・4の「先読み」とは何か?

「先読み」というのは、問題音声が流れる前に、あらかじめ設問に(可能であれば選択肢にも)目を通しておく、Part 3・4のテクニックの1つです。
先読みのメリット
あらかじめ「先読み」をしておくことで、次のような効果があります。(1) 会話・トークの内容を何となく予測できる
(2) 注意して聞くべきポイントが分かる
(3) 答えも分かるときがある(笑)
詳しく見ていきましょう(=゚ω゚)ノ
(1) 会話・トークの内容が予測できる
Part 3・4を解い後、ディクテーションや暗唱などでひたすらトレーニングしていると、徐々にPart 3・4によく出る会話・トークのパターンのデータベースが増えていきます。【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!
そのデータベースが増えてくると、Part 3・4の設問・選択肢を先読みすることで、会話・トークの内容がある程度、予測できるようになってきます。
例えば、次のような設問があったとします。
リスニングパートで450点前後が取れるレベルになると、この設問を読んだ瞬間に、おそらく、男性がお店のスタッフか何かで、女性がお客さんだと予測できるようになります。
(2) 注意して聞くべきポイントが分かる
Part 3・4に慣れてくると、設問を読んだ瞬間に「どの点に注意して聞くべきか?」というのも瞬時に分かるようになってきます。例えば、次のような設問。
この設問はたいてい最後(3番目)にくるので、最終的に男性が「I'll...」と言うか、女性が男性に「Please ...」と頼む、などが予想されます。
(3) 問題によっては答えが何となく分かる
『公式TOEIC L&R問題集や模試』をテスト10~20回分くらいを徹底的にやり込むと、Part 3・4のデータベースがたまってきます。すると、3つの設問とそれぞれの選択肢を読むことで、「この選択肢が正解クサいな」と分かる場合があります。
決め付けてしまうとヒッカケにヤラれてしまう場合もありますが(笑)、「先読みで答えが何となく分かる」というレベルに到達する頃には、おそらくPart 3・4では9割くらい取れるようになってくるはずです。
逆に言うと、先読みでこの(1)~(3)ができるレベルに到達していない = 練習量不足ということになります。
【参考】TOEIC 700・800・900点に必要な勉強時間と問題数の目安
先読みの注意点
良いことづくめの「先読み」ですが、肝心のリスニング力がなければ、いくら先読みしても聞き取れないので、あまり効果はありません。金棒(先読みなどのテクニック)は、鬼(リスニング力が高い人)が持って初めて、効果を発揮します。
特に、リスニング400点未満だと、Part 3・4ではく半分以上聞き取れていないと思うんですよ。
なので、まずはPart 3・4の会話・トークを暗唱して、Part 3・4で理解できる割合を増やすことに注力しましょう!ヾ(゚Д゚ )
暗唱の効果・やり方については、次の記事で詳しくまとめています。
【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!
先読みのやり方・コツ
● 設問と選択肢を読んで会話をイメージする
TOEIC満点ブロガー・OJiMさんも、著書「サラリーマン特急」でおっしゃっておられますが、設問・選択肢を読んだときに、会話・トークの流れをイメージ化しておくと非常に聞き取りやすくなります。例えば、次のような設問群。
42. Why does the man ask the woman to wait?
43. What will the woman probably do next?
「41. What most likely is the man?」から、男性がお店のスタッフか何かで、女性がお客さんであることが推測できます。
そして、「42. Why does the man ask the woman to wait?」から、男性スタッフが女性のお客に待つように求めています。選択肢にはおそらく、商品が売り切れているなどの何か問題があると推測されます。
「43. What will the woman probably do next?」から、会話の後半に、その問題の解決策のために、男性スタッフが女性のお客さんに「◯◯していただけますか?」と頼むか、女性が「それだったら、◯◯することにします」と言うと予測されます。
今は設問のみからイメージ化しましたが、選択肢も読むことができれば、より具体的にイメージ化しやすくなります。
とは言え、Part 3・4の設問・選択肢のデータベース、会話・トークのデータベースが少ないうちはイメージ化できません。
ですので、後述する「設問・選択肢速読トレーニング」をやり、前述した暗唱で会話・トークのデータベースを増やす必要があります。
● 設問・選択肢は日本語に訳して理解してOK
Part 3・4の設問・選択肢を先読みするとき、日本語に訳して理解してもOK牧場です。確かに「英語は英語のままで理解しないといけない」「日本語に訳してはいけない」というアドバイスを聞くことがあります。海外経験の長い上級者の方がよく仰られる印象があります。
僕も以前はそう考えていたのですが、実はこの主張には、何のエビデンスもリサーチもありません。
興味のある方は、言語と教育に関する研究をされているGuy Cook教授のオックスフォード大学の記事をぜひ。
【参考】Translation in language teaching and learning - Oxford University Press
結局、何度も繰り返し読み、多くの問題に触れているうちに、Part 3・4によく出る設問から順に、自動的に、英語のままで理解できるようになってきます。
英検の公式サイトにある「英語教育研究センター」でも、このことに関する研究が紹介されていました。
量を保証することにより知識が定着し,さらにそれが自動化した技能として習得されれば,日本語を介さずに英語をそのまま使うことができるようになる。
……このように学習者の習熟度が増すにつれて,内的翻訳(頭の中で訳すこと)をする量が少なくなる傾向があることは実証研究でも確認されている(Kern, 1994)。(P. 186)
【出典】第二言語習得を加速させる流暢さのトレーニング(PDF)
例えば、英語ができないうちのオヤジでも「サンキュ、サンキュ」って言ってるわけですよ。これは何度も聞いて&使って、数をこなすことで慣れてきたから、いちいち訳して理解する必要がなくなった結果です。
というわけで、慣れるまでは日本語に訳して理解しても全然問題ないです。
『公式TOEIC L&R問題集』を解くごとに、設問・選択肢を繰り返し読むようにしていれば、少しずつ、日本語に訳さずとも英語のままイメージ化できるようになってきます。
● 苦手な人は「設問のみ」先読みでいい
TOEIC 800点未満の方は、先読みは設問のみでも大丈夫です。TOEIC勉を開始した頃は、設問と選択肢の両方を先読みしていましたが、リーディング力が低いと、設問と選択肢の両方を読んでも、内容が頭に残らないんですよね。
それに読むスピードも遅いので、全部読めずにパニクってしまうことも多かったです。
後述する「設問・選択肢速読トレーニング」をやりつつ、解いた模試が増えれば増えるほど、徐々に選択肢も読めるくらい速く読めるようになってくるのでご安心下さい。
Part 3・4 設問・選択肢速読トレーニング

僕は『公式TOEIC L&R問題集や模試』をこなす度に、Part 3・4の設問・選択肢を速読するトレーニングをしてきました。
Step 1:設問・選択肢を精読する
Part 3・4に限らずですが、英文の意味や文構造(主語・動詞)が正確につかめていない英文を100回読んだところで、正確に理解できるようにはなりません。お経を100回読んでも、ご利益はあるかもしれないですが、内容は理解できるようにはならないのと同じです。
というわけで、まずはPart 3・4の設問・選択肢を「精読」します。
詳しくは「TOEICのスコアもリーディング力も確実に上がる!Part 7の英文を使った精読のやり方」の記事に詳しく書いてあるのでぜひ(・∀・)b
Step 2:問題を分析する
設問・選択肢を精読した後は、問題を分析していきましょう。分析する項目は次の2つです。
(2) 不正解選択肢が不正解になる理由
Part 3・4の設問と選択肢は、実際の会話やトークに出てきた単語やフレーズとは違うものを使って、言い換えられていることが多いです。
これはなぜかと言うと、聞こえてきた音声が、そのまま正解の選択肢にあると、リスニングが苦手な人でも選びやすくなるからです。
この問題音声と設問・選択肢が、どのように言い換えられているかを常にチェックしていると、徐々に「言い換え」がどういうものかが分かるようになり、その結果、正解の選択肢を選びやすくなってきます。
【参考】TOEIC 800~900点高速突破のカギになる「言い換え」とは?
Step 3:設問・選択肢の速読トレーニング
瞬間英作文が終わってようやく、設問・選択肢を読むトレーニングに入るわけですが、まだ速読はやりません。5周目くらいまでは、ゆっくり読みます。
なぜかと言うと、特に英文を読むのが苦手な方は、焦って早く読んだけど内容を覚えていないという症状を抱えることが多いからです。
ですので最初は、一発で読み取れるように、超ゆっくりスピードで読むように心掛けて下さい。でないと効果はほぼゼロになっていまいます。
そして、これを1日1周×20日間毎日やります。5周超えてきたら、少しずつ速度を速く読むにしていきます。
「1日で20周する」のではなく、1日1周で20日間毎日やるようにして下さい。
毎日やることで習慣化するので、語彙・表現が長期記憶に定着しやすくなります。
このトレーニングを公式問題集や模試をやる毎にしていると、徐々に設問・選択肢を読むスピードが上がってきます。究極はパッと読んでパッと理解し、イメージ化できるようになります。
【補足】瞬間英作文で理解速度が上がる

もし20日間毎日やっても、「なんかただの丸暗記状態で、イマイチ身についている気がしない」と感じるようであれば、「英語上達完全マップ」で勧められている瞬間英作文を試してみて下さい。
『公式TOEIC L&R問題集や模試』のPart 3・4の設問・選択肢の和訳を見て、英文がスラスラ言えるまで繰り返します。
150~180wpmくらいでスラスラ言えるようになってくると、ただの速読トレーニングをしていただけのときよりも、よりきちんと英文の意味が瞬時に、正確につかめるようになってくるはずです。
また、フラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki」を使うと、苦手な設問・選択肢だけを徹底的につぶすことができるので効率的です。
【参考】TOEIC 模試・問題集の語彙・表現が確実に身につく瞬間英作文勉強法
Part 3・4の解き方を学べる本

現在リスニング400点前後で、
● 公開テストでけっこう解けたのに、返ってきたスコアが良くない
● 苦手なタイプの問題がある
● 問題タイプ別の解き方を知りたい
と感じてるようであれば、究極のゼミシリーズをお勧めします。
Part 3は、よく出る設問タイプ別に、Part 4はトークのパターン別に問題の解き方が学べるようになっています。
自分が本屋やAmazonでチェックしている限りは、2018年07月現在で、Part 3・4の問題の解き方を体系的に学べる本の中ではベストだと感じています。
詳しくは「TOEIC リスニングパート 最新おすすめ参考書・問題集と勉強の進め方」をぜひ。
Part 3・4を解くスキルを上げるノウハウ
●マークする時間を短縮化する「チョン塗り」
設問・選択肢を読むスピードが遅い人は、Part 3・4を解くときに、(2) Part 4の音声がすべて終わってからきちんと塗りつぶす
ようにするといいです。
この「チョン塗り」をすると、塗りつぶす時間を短縮できるため、問題を解く時間・先読みに多くの時間を費やせるようになり、その結果、正答率を上げられます。
● 1.3mmシャーペンを使う
シャーペンは、1.3~2.0mmのものを利用すると、→ 解答時間の短縮化
→ 問題を解く・先読みに費やす時間が増える
のでお薦めです。
また、先のとんがり具合を減らした鉛筆を使われる方も多いです。
● 普段からマークシートを使って解く
普段、勉強でやっていることが、公開テストでも再現されます。普段からマークシートを使わずに問題を解いてると、いつか本番でマークミスをやらかします。体験済み。
Part 3・4に限らず、可能な限りマークシートを使って解くようにしましょう。
マークシートは、公式問題集や模試に付いているものをコピーしてもいいですが、さなパパさんが作られた「TOEICマークシート」はけっこう便利です。
● 試験前は5~10題を一気に解く
Part 3・4の先読みのリズムは一朝一夕には身につきません。これも日々のトレーニングの賜物(たまもの)です。目安としては次の通り。
L400点以上 → 試験1週間前から毎日解く(新しい模試・問題集も)
L450点以上 → 普段から毎日Part 3かPart 4を5~10題解く
現在L400点以上で、リスニング満点をめざす方は、孫親子がセルゲームの前に、普段から超サイヤ人でいるようにしたように、普段から試験同様(かそれ以上)のトレーニングをすることで、本番に激強くなりますよ。
● 初心者~600点/700~800点
● 900点/990点満点
【 おすすめ参考書・問題集 】
● 参考書の選び方 8つの注意点
● 900点獲るのに役立った参考書まとめ
● 公式問題集・模試/単語帳/文法書
● Part 1~4/Part 5・6/Part 7
【 リスニング対策 】
● 新形式リスニング対策
● 勉強法:Part 1・2編/Part 3・4編
● Part 2:間接応答・距離が遠い問題
● Part 3・4:先読み/キーワード400
● 発音/音の連結・消失/ディクテーション
● オーバーラッピング&シャドウイング
● 瞬間英作文/暗唱/速聴
【 リーディング対策 】
● 新形式リーディング対策
● 勉強法:Part 5・6編/Part 7編
● 精読(英文解釈)/通読/速音読
● キーワード400/言い換え
【 問題解決 】
● 英語学習の継続のコツ
● 各スコアに必要な勉強時間&問題数
● スコアが伸びない9パターン
● 時間が足りない対策:Part 5・6編/Part 7編
● アビメの見方:リスニング/リーディング
