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公開:2013-11/23
更新:2014-05/08 部分的に加筆・修正
リーディングが苦手な方はおそらく、「精読は知ってはいるけれど避けて通ってきた…」という方ではないかと思います。かつての僕もそうでした(;´∀`)
ですが、国内で独学してる英語上級者の方々は、英文を読むスピードが速いのは当然ですが、それだけでなく、正確に理解されています。つまり、上級をめざそうと思うと、正確に読めるかどうかが重要になるのです。
「ひたすら音読や速読をやってるけど、イマイチ伸びない」という方は、精読という「下ごしらえ」を加えるだけで、確実にリーディング力が向上していきますよ(=゚ω゚)ノ
ちなみに、TOEICを勉強されている方は、Part 7の精読にフォーカスした「TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法(お手本画像あり)」をお読みいただいたほうがいいと思います。
1. 精読とは?
当ブログで言う「精読」とは、辞書・文法書などを用いて、知らない or うろ覚えの語彙だけでなく、文法・文構造や発音もチェックして、正確に英文を理解する作業のことを指しています。「英文解釈」とも言いますね。
僕の知る限りでは、国内で独学している英語上級者の方々は、例外なく、精読に多大な時間を掛けていると感じています。
2. 精読の効果
英語書籍の英文には、たいてい日本語訳が付いていますよね。
そして、英文を読んでいて意味がよく分からない部分に出会ったとき、その日本語訳を読むだけで、何となく分かった気になると思いますが、残念ながらそれは気のせいです(TдT)←経験者
いや、すべてが「気のせい」だとは言えないのですが、5000時間勉強してきた結果、少なくとも「文構造を説明できない」「品詞がよく分からない単語がある」場合は、その英文を正確に理解したとは言い難いなと。
それを改善するために、「精読」をやる必要があります。
つまり、精読の目的は、英文の意味や文法・文構造を正確に理解することです。
そして、精読後に、音読・シャドウイングなどのトレーニングで反復することで、「何とな~く」ではなく、文法的に、かつ、意味的に、正確に英語を理解できるようになるのです。
【 瞬間英作文 】をやる場合にも、1周目のときに精読をやっておくことで、文法的に・意味的に正確に話せるようになります。
また、リスニング時に聞き取れるように&スピーキング時にきちんと伝わるようにするために、発音・アクセント・イントネーションもチェックします。
●英語力が向上する方程式
他の記事でもお伝えしてますが、精読をやらずに、音読・シャドウイングなどのトレーニングをひたすらやるのは、種を蒔かずに、ひたすら水をやるのと同じです。音読などに入る前に、精読で英文の意味や文構造などを正確に理解しておくことで、始めてきちんと英語が身につくようになります。
方程式で表しますと、次のようになります。
精読した時間
×
その精読した教材でトレーニングした時間
×
その教材の数
=
英語力
掛け算になっているのは、
ということを表しています。
ちなみに、当ブログで言うトレーニングとは、次のようなものを指しています。
(1) ディクテーション → 自分が聞き取れない音を判別
(2) オーバーラッピング&シャドウイング → 音が聞き取れるようになる
(3) 瞬間英作文 → 聞き取った音から意味がつかめるようになる+スピーキング向上
(4) 暗唱 → リスニング音声や英文の流れをつかみ、展開を予測
(5) 通読 → 精読した英文を速読できるようにする
3. 精読のやり方(精読チェック項目)
TOEICをされる方は、「TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法」に詳しく書いてあるので、そちらを参考にして下さい。
ここでは、精読時にチェックすることについて、簡単に書いておきますね。
(1) 発音・アクセント
(2) 音の連結・消失
(3) 単語の意味・品詞
(4) 単語の語法
(5) 文構造(特に主語と動詞)
(6) 文法・構文
(1) 発音・アクセント
リスニングの英文スクリプトだけでなく、リーディングの英文や、瞬間英作文本に出てくる短文であっても、「発音・アクセント」と「音の連結・消失」はチェックしましょう。基本的に、自分が発音できない音は、聞き取れないです。
逆に言えば、自分の発音がネイティブに近づけば近づくほど、リスニング時に瞬時に聞き取れる音が増える と言えます。
【参考】やらない人は損してる!発音を学ぶことで得られる4つの効果
僕は次のオンラインサイトを使ってチェックしています。
● Weblio英和辞典:個人的にはこっちの発音記号が好き
● Forvo:複数のネイティブの発音が聴ける
● YouGlish:YouTube動画から発音を探せる
音の連結・消失については、次の記事を参考にしてみて下さい。
【参考】初心者必見!リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール
(2) 音の連結・消失
英語を勉強されている方は何となくお気づきだと思いますが、英語は「put it on」が「プットイットオン」ではなく、「プリロン」と音が連結(linking)したり、「restaurant」が「レストラント」ではなく「レストラン」と最後の「t」が消失(reduction)することが頻繁に起きます。この音の連結・消失も、1つ1つ覚えていかないといけません。
例えば、「offer」という動詞がありますが、TOEIC 900点を超えてから、「I was offered」だと聞き取れないことがありました。「アイワズ オファード」とは発音されず、「アイワゾファー」と連結して聞こえたからです。
このように、単体なら聞き取れる単語でも、前後の単語とのつながりで聞き取れないことが頻繁にあります。
なので、音の連結・消失は必ずチェックするようにして下さい。僕は次のサイトを使っています。
音の連結・消失は一定のパターンがあります。次の記事でまとめてあるので、一読しておけば「なんでこんな発音になるねん!」とちゃぶ台をひっくり返す回数を減らせるはずです。
【参考】英語 リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール
(3) 語彙の意味・品詞
語彙の「意味」は当然ですが、「品詞」もチェックするクセを付けて下さい。例えば、「since」には副詞「その後、それ以来」という意味があったり、「double」が動詞で使えたりなど、すでに知っている単語でも意外な用法があったりするものです。
特に、「文構造がよぐ分がんね」というときは、その文のすべての単語の品詞を調べてみると、解決することが多いです。特にTOEICのPart 5・6では、そういうことがよくあります。
(4) 単語の語法
次は「語法」をチェックしていきます。語法というのは、例えば「assure」なら、
● assure 人:人を安心させる
● assure 人 物事:人に~を保証する
● assure 人 that...:人に~であることを保証する/納得させる
などの複数の語法があります。
また、形容詞の語法だと、「present」ように叙述用法と限定用法で意味が異なるもの、「alive」のように叙述用法でしか使えないものがあります。
どういう語法を取るかを常にチェックするようにしていると、リスニング・リーディング時に、その動詞を含む文の文構造が分かりやすくなる=理解しやすくなります。
単語の品詞や動詞の語法を調べたいときは、オンライン辞書なら「weblio英和和英辞典」がお薦めです(・∀・)b
(5) 文構造(特に主語・動詞)
主語・動詞・目的語・補語・修飾句などの文構造を必ずチェックして下さい。文構造のチェックは、主語「S」、動詞「V」、目的語「O」、補語「C」と書き、修飾句は「 」や、( )でくくってます。
文構造を見抜くスピードが上がると、リスニング時・リーディング時に理解できるスピードが上がります。
また、瞬間英作文においては、文構造をきちんと把握した上でトレーニングしないと効果がありません。それくらい、精読時に文構造を把握することというのは、重要なことなのです。
僕はわりと最近まで、チャンクで(意味のカタマリごとに)適度にスラッシュを入れて、スラッシュリーディングをしていました。
今では、たいていの英文の文構造は、瞬時に把握できるようになってきたので、スラッシュを入れることはやめました。それくらいのレベルに到達するまでは、スラッシュは入れたほうがいいと思います。
スラッシュの入れ方については、TOEICのスコアもリーディング力も確実に上がる!Part 7の英文を使った精読のやり方の、
●チャンク(意味のかたまり)ごとにスラッシュを入れる
●名詞を後ろから修飾句している部分は( )でくくる
という項目が参考になると思います。
(6) 文法・構文
文法・構文をチェックするのは、文構造を把握しやすくするためです。国内独学の英語上級者の方々は、例外なく、文法・構文に強いです。
ですので、英語ペラペラをめざすのであれば、うろ覚えの文法事項は、「一億人の英文法」や「Forest」などの文法書でチェックする習慣を持ち、中学・高校レベルにおいて、説明できない文法事項はほとんどないと言えるレベルをめざしましょう。
4. 精読後のトレーニング
せっかく頑張って精読しても、その後のトレーニングをしなければ、右から左へ忘れていってしまいます。学んだことが長期記憶へ移行しません。
基本的には、20~30日間かけて毎日トレーニングすることをお薦めします。スポーツや楽器の習得でも、今日習ったことをできるようにしようと思うと毎日練習しますよね?
●音声アリ教材
TOEICのリスニングパートの問題集や「ダイアローグ1200」「速読速聴」シリーズなどの音声のある教材は、音声でオーバーラッピング・シャドウイングして、同時に、もしくはその後に、瞬間英作文でトレーニングしています。【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 1・2編
【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 3・4編
【参考】シャドウイングとオーバーラッピングの違い、効果的な学習方法と注意点
【参考】英会話の上達に効果抜群の独学勉強法「瞬間英作文」
●音声ナシ教材
TOEICのPart 7や、Web上のニュース記事など、音声がないものは、精読した後に、1日に1回読むのを20日間かけて、合計20周するといいです。僕は「正」という字を書いて数えてました。20周後、「ちょっと物足りないかも」と感じるようであれば、30周してもいいです。ただ、それ以上はあまりお薦めしません。いたずらに回数を重ねるよりは、次の英文に進んで、違う文脈で同じ語彙・表現に度々出会っていくほうが、定着度は高まります。
ニュース系記事が読めるようになりたい方は、同じジャンルの記事をひたすら精読→読むと、そのジャンルにおいては、すぐに速く読めるようになってきますよ。
TOEICをされる方は、Part 7はSP(シングルパッセージ)9題、DP(ダブルパッセージ)4題あるので、1日1~2題のペースで精読して、10~12日間くらいかけてやるといいです。(SPの1~3題目は英文が短いので)
精読が終わったら、その13題あるPart 7の英文を1日1セット(約1時間)✕20日間。
20日間が終わったら、次の模試・問題集を解いて、また精読→音読・速読…という流れです。これを続けていくだけで、Part 7の英文はスラスラ読めるようになり、リーディングは465点が取れました。
また、苦手な文書だけルーズリーフに挟んでスキマ時間に読む、というのもしていました。
【参考】TOEIC リーディング465点!Part 7の英文で一石六鳥勉強法
5. 精読の注意点

●精読後には必ずトレーニング
「精読せずに何度も音読するのは、種を蒔かずにひたすら水をやるようなもの」とお伝えしましたが、逆に、精読だけで音読などのトレーニングをしないのは、種を蒔いただけで、水やりや手入れをしないのと同じと言えます。
精読は、あくまでも「英文を正確に理解するための作業」なので、ひたすら精読し続けても、その後トレーニングしなければ、右から左へすぐに忘れていってしまいます。エビングハウスの忘却曲線です。
ですので精読後は、長文系の素材は、音読・オーバーラッピング(CD・MP3音声に合わせて音読)で何度も反復して口になじませ、スラスラ言えるようになってきたら、次はシャドウイングで、スクリプトを見ずにスラスラ言えるようになるまでやります。
また、短文系の素材は、音読・オーバーラッピングで「音をつかむトレーニング」をやりつつ、瞬間英作文で「意味をつかむトレーニング」をしていくのがお勧めです。
●精読にも終わりはない
「英語学習に終わりはない」のはというのはお分かりいただけるとは思いますが、精読もずっと続ける必要があるようです。日本語同様に、「本や新聞を読んでて、たまに知らない語彙がある程度」というレベルになるまでは続けるものなのかなと。ですが、例えば、TOEIC リーディングで400点を超えてくると、精読にかかる時間はかなり短くなってきます。たいていの文構造は、サッと把握できるようになりますし、まったく知らない語彙も減ってきます
レベルが上がれば上がるほど、精読・オーバーラッピング・シャドウイング・瞬間英作文にかかる時間は短くなるようです。
6. 精読おすすめ教材
個人的には、精読に関しては、この教材をやらないといけないというものはないと考えています。
自分が学びたいジャンルのマテリアル(本・教材)を使って、辞書や文法書で調べていくのがいいかなと。
僕が英語を本気で勉強し始めたのはTOEICからなので、公式問題集の全パートの英文をひたすら精読していました。今は、DUOとダイアローグ1200などの素材を精読しています。
ただ、「できれば、精読について学べる教材がやりたい」という方は、下記のものがお薦めです。
●TOEIC系
実は、TOEICのPart 7のテキストって、”問題”の解説はあれど、”英文”の解説があるものってほぼゼロなんですよね。
だから、何とな~く英文を読んで、不明なところは和訳を読んで、何とな~く理解した気になるのですが、上述したように、精読しないと英文は正確に読めるようにはならないのです。
しかもTOEICの場合、速く読めたとしても、正確に読めないとヒッカケの選択肢にやられます。TOEICの問題制作者は、それを意図して問題を作っている、かなりの計略家です。
ですので、速く、かつ、正確に、読めるようにならないといけない。そのために精読です。
英語書籍全般で見ると、精読(英文解釈)に関する教材は、確かにいくつかあるのですが、TOEICのPart 7の英文を使って、精読が学べる本は、これ以外にはまだ発掘できていません。
やっぱり「精読」の重要性を認識している人が少ないからなんですかねぇ(´・ω・`)ショボン
●英語ニュース系

たいていの方がご存知だと思いますが、英語初級~中級者で、「英語ニュースを学びたいけど、ファイナンシャル・タイムズとかはまだ厳しい…」という方に超オススメ英語ニュースサイト。
すべての英文ではないですが、文構造が複雑なもの、主語が捉えにくいものに関して、また、ニュースの背景などを、きちんと解説してくれる親切なWebサイトです。
無料でここまで丁寧に英文を解説してくれているWebサイトって、ここくらいな気がします。
個人的には、有料でいいので、MP3音声ダウンロードをできるようにして欲しい。CDは市販されているのですが、断捨離にハマった人間は、可能な限り、本やCDを買いたくないんですよね。
【参考】「ニュースで英会話」をお勧めする5つの理由と勉強のやり方
スラッシュがあらかじめ入れてあり、文構造が複雑な英文に関しては、解説があります。
見出し語だけ見てると、簡単そうなレベルに見えるのですが、英文はファイナンシャル・タイムズなどの英字新聞からの抜粋なので、上記の「ニュースで英会話」よりは、英文の難易度が高いです。
ですので、この本をやるなら、無料で学べる「ニュースで英会話」を余裕で読めるレベルになってからのほうがいいかなと思います。まぁ、ニュースの好みもありますけどね(^_^ゞ
7.「精読」関連記事
当ブログで「精読」に関する記事をご紹介。
TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法
TOEICkerで精読に興味を持たれた方はぜひ。かなり詳しくやり方を書いています。長文なのでお時間のあるときにどうぞ。
【精読してみた】Facebook マイケルザッカーバーグの心温まるメッセージ
マイケル・ザッカーバーグのFacebookにあったメッセージが、内容的にも長さ的にも個人的によかったので、精読してみました。「具体的にどのように精読したらいいのかイマイチ分からない」という方に。
英語版「となりのトトロ」の歌で楽しく発音練習
英語版「となりのトトロ」の全英文を精読してみました。具体的な精読のやり方の参考になると思います。

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