シャドウイングとオーバーラッピングの違い、効果的な学習方法と注意点

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対象:リスニングが苦手な人 
読了:約9分(5645文字)
公開:2012-02
更新:2018-03/28 全体的に加筆・修正 

今まで1万時間勉強してきたのですが、音読・オーバーラッピングとシャドウイングは1000時間くらいは費やしていると思います。

ただ、オーバーラッピングとシャドウイングは、やり方と効果については注意が必要だと感じたので、まとめてみました。
 

オーバーラッピングとシャドウイングの違い

オーバーラッピングとは?


2:00から「オーバーラッピング」の実演が始まります。

オーバーラッピングというのは、「over(上方に)+wrap(包む・覆う)」で、一般的には、英文スクリプトを見ながら、英語の音声と同時に、発話するトレーニングです。

イメージとしては次のような感じ。


音声:The balder one gets, the bolder one becomes.
自分:The balder one gets, the bolder one becomes.


シャドウイングとは?


一方、シャドウイングというのは、英文スクリプトを見ずに、英語音声に少し遅れて発話するトレーニングになります。

以下はシャドウイングのイメージ。上の高杉尚孝先生のシャドウイング動画が分かりやすいです。


 音声:The balder one gets, the bolder one becomes.
 自分:    The balder one gets, the bolder one becomes.



オーバーラッピングとシャドウイング 2つの効果

(1) リスニング力の向上

オーバーラッピングやシャドウイングをやると、リスニングの「音」を聞き取るチカラが伸びます

メカニズムとしては次のような感じです。


英語の音声通りに発音できる割合が増える
→ 脳の中に「音」のデータベースが増える
→ 瞬時に聞き取れる「音」が増える
→ リスニング力が向上する


自分の発音がネイティブに近づけば近づくほど、瞬時に処理できる音のデータベースも増えるため、リスニングはラクになってきます

【参考】やらない人は損してる!発音を学ぶことで得られる4つの効果


(2) スピーキング力の向上

例えば、TOEICや英検のリスニングパートの会話音声を、オーバーラッピンク・シャドウイング(+音読)で繰り返しやると、口が英語を覚えてくれるようになります。

TOEICで5年勉強し、オンライン英会話で5年レッスンを受けてきた結果、こうやって口が覚えた英語は、英会話で出てきやすくなると感じています。

僕は瞬間英作文も並行してやってきたので、シャドウイングだけでその効果が得られるわけではないと考えていますが、発話スピードが上がる = スピーキングの流暢さ向上にも効果があるのは間違いないです。

【参考】英会話の上達に効果抜群の独学勉強法「瞬間英作文」



トレーニングの進め方と注意点


この項目では、オーバーラッピング・シャドウイングのトレーニング効果を倍増させるための、トレーニングの進め方をまとめていきます。

TOEICをされている方は、Part 3・4のトレーニングの流れとして参考になると思います。「公式問題集や模試を一度解いた後」という状況を想定して下さい。

【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 3・4編


Step 1:音声を聴く

まず、英文スクリプトは一切見ずに、音声をノーマルスピードで2~3回聴いてみて、だいたい何の話をしているのかをつかめるように頑張ります。


Step 2:ディクテーション

dictation-writing-01.jpg
photo credit: Writing via photopin (license)

英語初心者の方や、リスニングが苦手な中級者の方は、ディクテーションを強くお勧めします。

ディクテーションをやると、自分が聞き取れなかった箇所が明確になります


ディクテーションをやる
→ 聞き取れなかった発音・音の変化(音の連結・消失)が明確になる
→ その箇所を重点的に音読・オーバーラッピンク・シャドウイングでトレーニングする
→ 音を覚えてくる
→ 聞き取れる割合が増える。


詳しくは「聞き取れない原因が分かるディクテーション!やり方・効果」をお読み下さい。


Step 3:発音・アクセントのチェック

ディクテーションが終わったら、発音・アクセント・イントネーションをチェックしていきます。

発音やアクセントについては次のサイトで必ずチェックして下さい。

上述したように、自分が正確に発音できる音が増えれば増えるほど、聞き取れる割合も増えてくるからです。

僕は次のサイトで発音とアクセントをチェックしています。


Oxford Dictionary:英米の発音の違いが比較できる
weblio英和和英辞典:発音が聞ける単語数がOxfordよりも多い
Google 翻訳:機械音声だが網羅性は一番高い・固有名詞の発音も聞ける
Forvo:ネイティブの生の発音が聞ける・単語だけでなく熟語の発音もある


Step 4:精読(語彙・文法・文構造のチェック)


単語や熟語だけでなく、文法も『一億人の英文法/Forest』などの文法書と辞書を使ってチェックしていきましょう。

特に、文法と文構造がイマイチよく分からないまま、ひたすらオーバーラッピング・シャドウイングをやっても効果は薄いです。

精聴精読は、農業でいうところの、畑を耕したり、肥料をやる作業に似ています。畑を耕す・肥料をやるという準備をきちんとせずに、ただひたすら水を撒いても、野菜は実りにくいからです。

精読のやり方に関しては、次の記事で詳しく説明しています。

● TOEICker:TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法
● 英検er:英検準1級 読解で8~9割取るための対策と勉強法


Step 5:オーバーラッピング

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精読が終わったら、オーバーラッピンクに入っていきます。

ただ、英語初心者の方は、TOEICや英検のリスニングパートの音声のノーマルスピードに合わせてオーバーラッピングするのは、かなり厳しいと思います。

そして、ノーマルスピードで無理してついていっても、効果はほとんどないです。僕はこれでかなり時間をムダしました(笑)

【注意】0.7~0.8倍から始める

ですので、再生速度が変更できるツールを使って、0.7~0.8倍速から始めることをお勧めします。


◆ 音声の速度を変更する方法 ◆

(1) スマホの無料アプリ「語学プレーヤー(iPhoneAndroid)」
(2) Windows Media Playerの「再生速度変更機能
(3)「SONYのMP3ウォークマン」の再生速度変更機能


楽器を習ったことがある方はご存知だと思いますが、ピアノやギターで速い曲を練習するとき、最初はテンポを落として練習しますよね。あの感じです。


人々は正確さをおろそかにして、一時のスリルを追い求める傾向がある。

だから意識的にペースを落とすことが重要なのだ。……「(新しいスキルを身につけるときに)大切なのは、どれだけ速くできるかではなく、どれだけゆっくりと正確にできるか




最初は、0.7~0.8倍速からトレーニングを始め、数日間かけて徐々にスピードを上げていくことをお勧めします。

また、「ウォークマン」のクイックバック(一押しで3秒前に戻れる)や区間リピートのような機能があると、自分がうまく発音できなかった箇所だけを集中して練習できるので、非常に効率的にトレーニングができます。

僕はもう8年近く愛用しています♪


【注意】音声よりも小さい声で

オーバーラッピング・シャドウイングする際は、できればヘッドホンをして、自分の声よりも、音声のほうが大きい状態でトレーニングすることです。

音声よりも自分の声のほうが大きいと、音声を正確に聞き取れないんですよね。


音声の発音・アクセント・イントネーションが聞き取れない
→ 我流の発音をしてしまう
→ 正確な発音・アクセント・イントネーションが身につきにくい



Step 6:シャドウイング

オーバーラッピングでスラスラ言えるようになると、その音声は何となくマスターしたように感じてきますが、それは気のせいです(笑)

英文スクリプトを見ないシャドウイングをやってみると、あら不思議、全然スラスラ言えなくなります。

結局、「スクリプトを見ながらスラスラ言える = 視覚による文字情報に頼っていることになるので、リスニング力は伸びにくいわけです。

なので、スクリプトを見ずにスラスラ言えるシャドウイングができて始めて、音が聞き取れている状態になります。


スラスラとシャドウイングできない音声
= 完全に再現できるレベルでマスターしていない音がたくさんある
= リスニング時に"瞬時に"聞き取れない音がたくさんある


NHK WORLD TV」を見ていて思うのですが、自分が完全にマスターしている発音は、ストリーミング動画のような初見のものであっても、余裕でシャドウイングできるんですよね。

逆に、初見のものでシャドウイングができてない箇所は、自分がまだ未習得なんです。


【注意】音声と同時に発話はダメ、絶対

シャドウイングを何度も繰り返してると、発音し慣れてきますし、スクリプトも覚えてくるのですが、決して音声と同時に言わないように注意して下さい。

「聞こえてきた英語に少し遅れて、正確に、再現する」というのがすっごく大切です。

シャドウイングは、あくまでも「shadow」(~の後をつける、尾行する)なのです。

オリジナルのスピードに慣れてきたら次に進みましょう。


Step 7:1.2倍速シャドウイング

オリジナルスピードで発話し慣れてきたら、1.2倍速でシャドウイングできるまで頑張ってみて下さい。


精聴精読してトレーニングもし終えた音声で速聴する
→ リスニングの処理速度が向上する
→ TOEICや英検で音声を聞きながら、設問・選択肢を読む余裕が生まれる
先読みに回せる時間が増える
→ 正答率が上がる


また、英会話CDでシャドウイングまでやり込めば、リスニングの「音」の処理速度が上がってきますし、スピーキングのスピードも上がってkますよ。

【参考】速聴の効果と注意点まとめ



シャドウイングの注意点

シャドウイングは万能薬ではなかった件

英語上級者の方で、「シャドウイングは必須」「ディクテーションよりもシャドウイングのほうが効率的」と仰る方はけっこう多いですよね。

僕も一時期、シャドウイングにハマってひたすらやっていた時期がありますが、伸び悩みを経験してから、今では必須のトレーニングではなくなっています。

先日、英検のサイトで、僕がシャドウイングで伸び悩んだ理由の裏付けになりそうな研究を見つけたので紹介しておきます。


染谷(1996)によると,プロソディー(発音・アクセント・イントネーションなど)は自然なコミュニケーションにおける意味伝達のおよそ30~40%を担っているとされるが,

これを逆の視点からとらえれば,たとえシャドーイングにより英語のプロソディーが完全に獲得できたとしても,それは英語リスニング能力向上への必要条件を100%満たすわけではなく,その内の30~40%の貢献度にすぎないことを意味する。

……玉井(2002)も「シャドーイング技術=リスニング力」という等式は成り立たないと実験結果から導き出しており、その二者間の相関が低い理由として,シャドーイングによる音韻分析段階のプロダクトと,リスニングテストによる意味処理までなされた最終的なプロダクトを比較していたためと指摘している。

話を理解するということは,音声の表層構造をとらえるといった技術的な音声処理だけではなく,背景知識を使った top-down 的な認知処理も必要となる

その両者を併せ持って,初めてリスニング能力向上へとつながる。

……これらのことから、シャドーイングの効果を最大限に引き出すためには,top-down 的認知処理をその活動に組み入れる必要があると言える。

【出典】逐次通訳メソッドによるアウトプット練習が英語コミュニケーション能力に与える影響


専門用語や難しい単語が多くてちょっと分かりにくいと思いますが(笑)、要はシャドウイングで伸ばせるリスニング力は全体の3~4割という主張です。


シャドウイングで伸ばせるのは主にプロソディ

シャドウイングには、プロソディ・シャドウイングとコンテンツ・シャドウイングの2つがあります。


(1) プロソディ・シャドウイング → 発音音の変化・イントネーション重視
(2) コンテンツ・シャドウイング → 意味や内容をつかむことを重視


僕の英語力でシャドウイングをやると、どうしても発音に意識がいってしまう(=プロソディ・シャドウイングになってしまう)ため、コンテンツ・シャドウイングにならないんですね。

また、2012年にこの記事を公開してから、TOEIC 800~900点取得された読者さんからご報告をいただきましたが、「シャドウイングは、自分にとっては難しすぎる」と仰る方は少なくないです。


意味をつかむためのトレーニングも必要

上記のことから、初~中級者にはコンテンツ・シャドウイングは難しい = シャドウイングだけで意味がつかめるようになる可能性は低いと考えています。

これは決して、シャドウイングを軽視しているわけではないです。

僕が発音音変化のデータベースを増やせたのは、オーバーラッピングとシャドウイング(&ディクテーション)のお陰です。

ただ、初~中級者は、シャドウイングだけで、リスニングで完全に聞き取れるようになる可能性は低いという点。

そこで、意味をつかむためのトレーニングとして、暗唱や瞬間英作文をお勧めします。

【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!
【参考】英会話の上達に効果抜群の独学勉強法「瞬間英作文」


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