
2010年の夏頃に「TOEIC 900点を絶対に獲る」と決めたとき、一番最初にやったことは、すでに900点を超えている方々の Best Practice(最善の方法)を学ぶことでした。その結果、2012年10月に910点が獲ることができました。
TOEICを通じて、「資格試験は、すでに結果を出している人たちから学ぶことが、目標達成への最短距離になる」と学んだので、英検1級も同様に、まずはすでに合格されている方々の勉強法について調べることにしました。
数名の読者さんに「私も英検1級をめざしているので、英検1級のまとめも作って欲しい」というご要望をいただいたので、この度まとめてみることにしました。
英検1級の勉強は、まだ始めたばかりで試行錯誤している段階なので、これからも随時更新していくことになると思います。
1. 英検1級の勉強を始める前に
TOEFL・IELTSとの違い
まず、TOEFL(トーフル)とIELTS(アイエルツ)についてあまり詳しくない方のためにご説明しておきますね。って僕もそんなに詳しいわけではないですけどね(^_^ゞ●TOEFL(トーフル)

TOEFL|Home
(メガネの人が「サンダーバード」のブレインズに似てる)
TOEFLは、ご存じの方も多いと思いますが、TOEICと同じ、アメリカのテスト制作機関である「ETS」が主催しています。
TOEICはビジネス向けですが、TOEFLはアカデミック(学生向け)で、TOEICよりも扱うトピックのジャンルが広く、語彙レベルも高いので、難易度はグッと上がります。
TOEFL®テストは、世界で最も広く受け入れられている英語能力試験で、オーストラリアやカナダ、英国、米国を含め 130 か国 9,000 以上の大学や機関に認められています。希望する留学先がどこであれ、TOEFL テストがその橋渡しをします。
【出典】受験者の方へ|TOEFL
つまり、TOEFLは海外の大学に留学する人向けなんですね。TOEFLのスコアで採用を決める企業もあると思うので、就職・転職にも有利になる可能性はあると思います。
●IELTS(アイエルツ)

IELTS|Home
「あいえるつ?何それ、小林製薬の新製品?」という方も多いのではないかと思います。僕も去年か一昨年に知りました。
イギリスの公的機関である「British Council」が、ケンブリッジ大学英語検定機構とかと共同で運営しているテストらしいです。
International English Language Testing System(IELTS:アイエルツ)は、海外留学や研修のために英語力を証明する必要のある方、およびイギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請に最適なテストです。
イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関で認められており、アメリカでもTOEFLに代わる試験として入学審査の際に採用する教育機関が3,000を超え、英語力証明のグローバルスタンダードテストとして世界中で受験者が増え続けています。
【出典】IELTSの特徴とメリット | IELTS
IELTSの大きな特長の1つは、留学者向けの「アカデミック・モジュール」と移住者向けの「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の、2つのモジュール(テスト)タイプがあることだと思います。
【参考】TOEFLと比較してIELTSは? - IELTSナビ
ちなみに、小林製薬のは「アンメルツ」です。

アンメルツヨコヨコ│小林製薬株式会社
僕が英検1級をめざすことにした4つの理由
目的によって変わってくるので、どれが正解とかはないと思いますが、上記の3つの中でどれにしようか迷ってる方もおられたので、参考までに、僕が英検1級を選んだ理由を添えておきます。【理由1】留学・移住予定がない
上述したように、留学するならTOEFLとIELTS、イギリス、オーストラリア、カナダなどに移住するならIELTSが有効だと思うのですが、僕は留学する予定も移住する予定もないです。
【理由2】TOEFLとIELTSは受験料が非常に高い
英検1級が8,400円に対し、TOEFLが約24,000円($230)、IELTSが25,380円。
僕みたいに、自分の英語力を測るために受験する人は、何度か受ける可能性があるので、英検1級の3倍近くもするTOEFLやIELTSはちょっと厳しいなと(^_^ゞ
【理由3】TOEFLは面接がない
TOEFLは面接試験がないんですね。スピーキングの試験は、マイクに向かって吹き込むみたいです。
確かに、マンツーマンの面接でスピーキングを評価するテストもありますが、たまたま面接者の機嫌が悪く、実際よりも低く評価されるかもしれないとしたらどうでしょうか。
TOEFL テストでは、スピーキングを現地のテスト会場で 1 人の試験官が評価するのではなく、スピーキングの解答を録音して ETS の 3~6 人の採点者が評価するため、スコアの客観性と信頼性が保証されます。
【参考】テストを受験する理由|TOEFL
確かに、面接者の気分や、面接者との相性によって大きく変わる点はあると思いますが、それでも、機械相手よりも、人相手の面接試験のほうが個人的にはいいなと。
【理由4】IELTSはテキストが少ない&高い
IELTSは、面接はあるのですが、対策本が少なすぎる&高いんですよね。
以上のような理由で、英検1級を選びました。でももしかしたら、「英検の問題のトピックが面白いと感じたから」というのがある意味一番の理由かもしれません。
ただ、現在、中学生・高校生・大学生で海外に興味がある人は、世界的にはマイナーな英検よりは、TOEFLやIELTSをやったほうがいいかもしれないですね。
TOEFLやIELTSのほうが、海外での認知度が高い=海外で勉強・就職するのに有利なのではないかと。また、「TOEFLやIELTSで高得点が取れると、英検1級は易しい」という話も聞きますし。
英検1級は必要なのか?
英検1級・TOEFL・IELTSといった(一般的な日本人にとっては)上級の英語資格試験は、必ずしもめざす必要はないという気がしています。例えば、英検1級に出てくる英作文(小論文)の問題には次のようなトピックが出題されます。
Do the benefits of free trade outweigh the disadvantages?
(自由貿易のメリットはデメリットを上回るか?
Should minors who commit serious crimes receive the same punishments as adults?
(重大な犯罪を犯した未成年者は大人と同様に罰せられるべきか?)
World poverty can be eliminated?
(世界の貧困問題はなくすことができるか?)
Are prizons an effective way to deal with criminals?
(刑務所は犯罪の解決に有効な方法か?)
Does society give the rights of animals enough consideration?
(社会は動物の権利に充分考慮していると言えるか?)
いかがですか?日本語でも論述するのが難しいトピックだと思いません?
これを200語前後で論述しないといけないんです。しかも、たった20~30分で。そして、こんな感じのトピックが、読解・リスニングの問題や、面接(スピーチ)でも出てきます。
僕みたいなTOEIC 800~900点レベルの人間が、英検1級に合格するためには、少なくとも2~3年は要するみたいです。
となると、こういった教養が求められるトピックに興味のある人でないと、2~3年勉強し続けるのってしんどいのではないかと。
国内・独学で同時通訳者になられた小熊弥生さんが、著書で次のようなことを仰っていて、同じように国内で独学している自分にはとても印象に残りました。
外資系企業には2年間勤めましたが、私がそこで悟ったのは「発音の美しさや会話の流暢さ、海外文化の理解度などでは、どう頑張っても帰国子女、にはかなわない」ということです。
それまで、私には「いつかはネイティブのように英語を使いこなせるようになりたい」という思いがありました。…(中略)…しかしよく考えた末、私はネイティブを目指すのはあきらめることにしました。
いつもパーティで楽しそうに遊んでいる同僚を横目に、「自分が彼女たちに勝てるものはなんだろう」と考えた時、「帰国子女と自分を差別化するには、ネイティブを目指すよりも、勉強して何か専門的な知識を身につけ、通訳としての価値を高めるしかない」と気づいたからです。(P.39)
【注意】この本は「TOEIC」を冠してますが、TOEICのスコアアップに直結するノウハウはあまりないです。しかし、すでにある程度英語を勉強している人には、「高い英語力を身につけている人は、やはりものすごく勉強しているな。僕も頑張ろう」と思わせてくれる本です。
当時、すでに英検1級と通訳検定2級をお持ちだった小熊さんですら、「英語力はひどいとしかいいようのないレベルだった(P.38)」と仰るわけですから、英語の勉強を始めてまだたった数年の僕なんか、フリーザ戦のクリリンくらい低い戦闘力だと思います。
最近英語を始めた社会人で30~50代の方は、英検1級やTOEFLをめざすよりも、自分の興味があるジャンルや専門性を高める英語力を身につけたほうが、市場価値は高まるかもしれないですね。
2. 英検1級の試験内容
英検は過去問が公開されている
英検1級の試験の概要については、公式サイトの「1級の試験内容 | 英検」を読んでいただいた方がいいです。そして、英検はTOEICと違って、過去問が公開されているので、公式サイトの「1級の過去問・対策 | 英検」から、
をダウンロードして解いてみるといいと思います。
この過去問の公開ですが、英検1級は年に3回(1月・6月・10月)あるので、新しい回の問題冊子・音声が追加されると、古い回のものから消えていき、ダウンロードできなくなります。
ですので、いずれ英検1級を受験する予定の方は、新しい回の試験が終わって公開されたら、すぐにダウンロードするようにしておいたほうがいいと思います。
TOEIC LRとの違い
当ブログの読者さんは、TOEICkerが多いと思うので、TOEICとの違いに触れながら英検1級の試験内容について説明していきたいと思います。(1) ライティングと面接がある
TOEICのLRとSWは別の試験なので、「LRSWが1つになっている」という意味では、英検1級はLRSWすべての技能が測定されるというのが特長になると思います。一次試験でLRWが測られ、二次試験が面接になっていて、small talk(雑談)の後に、スピーチと質疑応答があります。
(2) ビジネス英語以外のジャンルがある
TOEICのトピックは、ビジネス英語と、英語圏に旅行・移住している際に必要なサバイバル英語(道を訪ねたり、買い物したり)が中心ですよね。英検のトピックにも、TOEICと同じような話が出てきます。プラス、政治・司法・教育・環境・科学・歴史・文化といったジャンルの話が出てくるのが大きな違いです。
あと、TOEICでは基本的に”いい人”しか出てこないですが、英検では「子供が学校で叱られて、帰ってきて部屋でスネてる」「ヨメがダンナにダメ出しする」みたいな話もあり、人類のユートピアである「TOEICの世界」よりはリアリティがあるかなと(笑)
(3) 語彙レベルが高い
最近のTOEICでは、多少難易度が高めの語彙問題が出たりしますが、英検1級の短文穴埋め問題(単語・熟語)は難しいものしか出ないという印象です。また、読解問題やリスニングにも難易度が高めの語彙が出てきます。
英検1級のリスニングには、TOEICのPart 3・4に似たようなパートがあるのですが、「この語彙レベルはTOEICには出ないよなぁ」というものがチラホラ出てきます。
僕はTOEICで一番調子の良かったとき、R4(語彙が理解できる)で100%になったことがありますが、それでも、英検1級の短文穴埋め問題(単語・熟語)は、過去問を解いてみた感じでは、1~2割くらいしか取れません。
2013年~2014年にかけて、「DUO」と「ダイアローグ1200」をひたすらやったので、TOEICに出ないタイプの語彙も多少増えたとは思いますが、まだまだです。
(4) リスニングでは設問が印刷されていない
TOEICのPart 3・4は設問が問題冊子に印刷されてますよね。でも、英検1級のリスニングの問題は、Part 3以外は設問が印刷されていない=リスニング音声の内容を数分間記憶し、設問の音声も正確に聞き取らないといけない、ということになります。
英検1級のPart 1の会話の最後のほうの問題や、Part 4のインタビューなどは、TOEICのPart 3・4に比べるとかなり長いので、相当なリテンション力(一時記憶力)が必要だと感じています。
ただ、英検の場合、TOEICと違って、問題冊子に書き込みしてもOKなので、明らかに間違ってる選択肢に「×」を付けたり、ヒントになりそうなところをメモできるのは心強いです。
また、TOEICのPart 3・4のように1題(1音声)に付き設問が3つではなく、1つか2つなので、そういう意味では解きやすいです。
問題の解き方を学びたい人は総合対策本
問題傾向や問題の解き方を学ぶために、ジャパンタイムズの「英検1級 最短合格!総合対策」を買いました。いわゆるテクニック本です。この本のAmazonのレビューを読むと、「問題が全体的に易しい」という話ですが、その後、過去問を解いた感じでは、そんなに易しいとも感じませんでした。まだまだ「英検力」が低いだけ?
旺文社から出ている過去問集は、TOEICの公式問題集同様、問題の解き方のノウハウが学びにくいと感じたので、先にこちらを買いました。
英作文以外は一通り解きましたが、TOEIC 800点以上ある人は、TOEICの問題の解き方のノウハウ(言い換え・消去法など)が英検に転用できるため、この本は必ずしも買わなくてもいいと思います。僕は中古が安かったから買っただけで(笑)
3. 参考にさせていただいたサイト・ブログ様
今回英検1級の勉強法や試験対策について調べていて、非常に参考にさせていただいたサイト・ブログ様をご紹介しておきます。
英検1級道場 ―奇跡の英検1級合格大作戦―
運営者の山中先生ご自身が30回以上、英検1級に合格されているだけでなく、多くの方を合格させておられるので、勉強法の再現性は非常に高いと感じています。
英検対策講座 | 英ナビ! - 日本英語検定協会
問題を解いた後の、「解説編はこちら」のコーナーで、問題の解き方だけでなく、勉強のやり方も詳しく解説されてあって勉強になります。
英検1級一次試験受験記
英検1級、TOEIC 990点をお持ちのNakanishiさんのサイト。英検1級の勉強を開始されたときにはすでに高い英語力をお持ちでいらっしゃったようですが、鋭く分析されてあって勉強になっています。
英検1級 | 100 Wish List
英検1級に合格されているなぼさん、Yukoさん、エミコフさんによって運営されているブログ。
カテゴリー:英検1級|土佐犬の英語学習記
国連英検特A級、英検1級、TOEIC 990点をお持ちの土佐犬さんのブログ。
英検1級合格までの勉強 総合編|兼業ママの英語日記
英検1級に合格された兼業ママさんが、勉強を開始してから合格するまでの体験記が記されてあります。

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