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公開:14-07/10
2013年の末頃から、約半年間、毎日1時間、DUOを「瞬間英作文」でトレーニングしてきました。「ディクテーション」と「精読」に費やした時間も入れたら、トータルで300時間くらいかけたことになると思います。
そのトレーニングの効果、DUOの長所と短所についてまとめてみました。この記事はDUOの概要編なので、DUOの具体的な勉強のやり方については、「DUOの単語を「知ってる→使える」にする効果的な勉強法」の記事をご覧下さい。
それではいってみましょうヾ(゚Д゚ )
1. DUOとの馴れ初め
鉄板の単語集(個人的には例文集)なので、「いつかは挑戦しよう」と思っていたのですが、TOEICをメインで勉強していたとき、「DUOに収録されている単語・熟語は、確かにTOEICに出るものも多いが、TOEICに出ないものも多いな」と感じたので、TOEIC 900点を超えてからトライすることにしました。
それで、2012年の10月に900点を超えることができたので(パチパチ)、2013年に始めようと思ったところ、「DUOで瞬間英作文するのはハードルが高すぎる!まずは中学レベルのものからやろう」と。
そして、「瞬間英作文テキスト」を約5000文(約10冊)くらいやって、ようやく瞬間英作文に慣れてきたので、2013年の暮れから、このDUOでの瞬間英作文を始めることにしました。
2.「DUO x 瞬間英作文」3つの効果
半年間、DUOを使って瞬間英作文をやってきて感じている効果をまとめてみました。
(1) 英文が読みやすくなった
一番効果があったのは、英文が読みやすくなったことです。Web上のニュース記事も読みやすくなりましたし、先日(2014年6月)受けたTOEICのリーディングパートの英文も読みやすくなってました(でもスコアが上がってるとは限らない)。
当ブログを熟読していただいている方はもうご存知だと思いますが、
= 瞬時に読める英文
になります。
そして、DUOのまえがきには、「コーパス(英語圏で実際に発せられた英文データベース)の分析やネイティヴへのヒアリングなど、多角的な検証をおこなって、「本当の重要語」を選定しました」とありますが、DUOで半年間トレーニングしてきて、確かに、実用的な語彙・表現が多いと感じています。
(2) 聞き取れる語彙・表現が増えた
当然と言えば当然ですが、聞き取れる語彙・表現も増えました。ただ、僕自身はDUOの音声でディクテーションはしましたが、「オーバーラッピング&シャドウイング」は、まだあんまりやっていないんです。
同時進行で旺文社の「英単語・熟語ダイアローグ1200」をやっていて、そちらでオーバーラッピング&シャドウイングをやっているので、DUOではほとんどやっていません。
よって、DUOによる、直接的なリスニング力の大幅な向上はないかもしれないですが、DUOに出てくる語彙・表現は、「英単語・熟語ダイアローグ1200」にもけっこう出てくる=出会う回数が増える=定着度が高まるので、間接的にリスニング力の向上になっているかなと。
(3) 確かに使える単語・熟語は増えたけど…
僕は2010年~2012年、TOEICをメインに勉強していたので、TOEICで慣れ親しんだ語彙・表現については、このDUOを使って瞬間英作文をしてきたことで、英会話でも出てきやすくなりました。ですが、うろ覚え状態だったものや、DUOで始めて知ったものに関しては、リスニング・リーディング的には定着しつつあるものの、英会話で瞬時に使えるレベルに到達していないもののほうが圧倒的に多いです。
ある程度、英語を勉強されている方は、もう体験的に気づいておられると思いますが、1冊の単語集だけで、その単語集に含まれているすべての語彙・表現がマスターできるわけではないんですよね。数をこなす必要がある。
しかも、今、英会話で使えたとしても、瞬間英作文でスラスラ言えたとしても、しばらく英会話をサボったり、英会話の回数が少なかったり、瞬間英作文トレーニングをサボったりすると、片っ端から忘れていきます。
これは英語に限らず、日本語でも”あるある”ですよね。最近見なくなった芸能人の名前や、最近会っていない知り合いの名前を思い出せなくて、「年とったなー」というヤツです。
だから、英語を本気で身につけたいのであれば、ずっと会話をし続けないといけないし、トレーニングし続けないといけないんです。
同時通訳者の関谷英里子さんが、著書「えいごのつぼ(Amazon)」で、次のように仰っておられます。
英語はいったん使えるようになったらそこで終わりではありません。英語をツールとして使いこなせるようになっても、しばらく触れないでいると、また元に戻ってしまいます。
つまり、いつでも自由に使いこなすツールにするためには、継続的に使わなければならない、ということです。「英語を始める」というのは「英語のある人生を選ぶ」ということ。
この言葉を聞いて、絶望的になって英語を諦めるのか、それとも覚悟を決めて「英語のある人生を選ぶ」のかは、自由だ~!ヾ(゚Д゚ )
正直なところ、DUOの全560文の瞬間英作文の完成度は8~9割くらいだと思います。
ただ、このまま完璧をめざすよりは、むしろ新たなテキストでトレーニングして出会う回数を増やしていくほうが、DUOに出てきた語彙・表現の定着度は高まると感じたので、次に進むことにしました。
3. DUOの長所
見出し語の語義が分かりやすい
DUOのまえがきに、と書いてあるのですが、確かにこれがすごくよかったです。
普段から、オンライン英英辞典「Oxford Learner's Dictionaries」を使っていて、「語義のイメージがつかみやすいな」と感じていたのですが、確かにDUOの語義の説明もそういう感じなんです(DUOのほうは、もちろん日本語で説明されています)。
例えば、「acquire」は、単純に「~を獲得する」ではなく、「(時間や労力などを費やして)~を獲得する」と表記されていたり、「make it」は「(人が困難を乗り越えて)成功する」と表記されていたりするので、語彙の使い方や使う状況がイメージしやすい=定着しやすいんです。
また、「bankrupt」のように、「倒産[破産]した【bank(銀行)が rupt(破裂した)】」と、語源で説明されているものもあります。
すべての単語・熟語がここまで丁寧に記載されているわけではないですが、その割合はけっこう多いと感じました。
文法事項や要注意語の説明が丁寧
例えば、「lie, lay の違い」「borrow, use, rent の違い」「continuous, continual の違い」「probably, likely, maybe などの確実度の違い」、日本語と発音が違う注意すべき世界の都市の名前、イギリスとアメリカでの発音・意味の違いなどです。こういうのが随所に散りばめられてます。
類義語・同意語が辞書並みに詳しい
たいていの見出し語には、同意語がかなり多く併記されています。まえがきにある「見出し語については辞書不要と言えるレベルの語彙欄を実現」という謳い文句は、ほんまでっせ。類義語や同意語などの関連語句は、わざわざ覚える必要はないですが、僕みたいに「初心者ではないけど、中級レベルというのもおこがましい」という中途半端な英語力を持つ人にとっては(笑)、ザーッと目を通すだけでも、言い換え(パラフレーズ)を、芋づる式に、より深く定着させることに役立つと思います。
また、見出し語が初めて知った単語だった場合も、「なるほど、この単語とほぼ同じ意味なんだな」と勉強になります。
最近、英文をスラスラ読めるようにするために、また、スピーキングや英文ライティングにおいても、類義語をたくさん知っているかどうかというのはかなり重要だと気づいてきたので、そういう意味でもDUOはいい単語集だと思いました。
熟語・句動詞の収録も多い
表紙に「熟語1000」と書いてあるので、当然と言えば当然なんですが、熟語や句動詞のストックにモレやヌケが多いと感じてた自分には重宝しました。ある程度英語力がある人でも、モレ・ヌケをチェックするためにDUOをやっておくというのもアリかもしれないですね。
Bobにまつわる話が面白い
ご存知の通り、DUOは短文形式ですが、前のほうで出てきた登場人物が、後のほうでその後の話が展開されていたりするものもいくつかあり、その中でもよく出てくるBobという男性の話が面白いです。そんなに数は多くはないですが、真面目に勉強してると、こういうユーモアで「フゥッ」と息抜きできたりするんですよね。
【参考】DUO3.0記憶術!痛いBobを中心に隠れたを物語を読みとる! - NAVER まとめ
4. DUOの短所
ここまでベタ褒めでしたが、半年間勉強し続けてきたことで、デメリット・注意点・改善希望点も見えてきたので、まとめておきたいと思います。
TOEICに出ない語彙・表現も多い
確かに、半年間DUOでトレーニングしてきて、TOEICの語彙レベルと、DUOの語彙レベルはわりと被ると感じました。2014年6月に受けたTOEICのPart 5では、DUOでトレーニングしていたお陰で解けた問題がいくつかあります。ですがDUOには、TOEICに出る可能性が低い単語・熟語もたくさん掲載されていると感じました。
まず、「postwar(戦後の)」「rebel(反乱軍の兵士)」「disarmament(軍備縮小)」などの戦争に関する語彙・表現が出る可能性は低いです。
「monarchy(君主国)」「regime(非民主主義的な政権)」などの政治に関する語彙も出にくいです。
また、TOEIC界の住人たちは、基本的に前向きでいい人が多いので、「bully(いじめる)」「stubborn(頑固な)」「clumsy(不器用な、どじな)」「swear(ののしる)」などのネガティブな言葉は、基本的に使いません。
厳密に言うと、例えばPart 7の記事問題などで、「戦後に建てられた建物」のような表現で「postwar」が使われる可能性はあります。
投資時間対効果を考えると、TOEICでの頻出度の低い語彙は後回しにし、頻出度の高い語彙から先に覚えたほうがスコアアップしやすいはずです。
というわけで、現在の最優先目標がTOEIC高得点なのであれば、DUOよりもTOEICを受験し続けているTOEIC講師が書いた単語集をやり込んだほうがスコアアップしやすいと考えています。
詳しくは、「TOEIC おすすめ単語集4選と効果的な勉強法&おすすめでない単語集」を参照して下さい。
「重複なし」のデメリット
たいていの方はご存知だと思いますが、DUOは「現代英語の重要単語1600+熟語1000を重複なしで560本の基本例文に凝縮」とあります。たった560文で2600の単語・熟語が学べるのは、DUOの大きな強みの1つだと思います。
ですが、逆に考えると、DUO1冊だけをやっているうちは、同じ単語・熟語は一切出てこないわけです。
英語を勉強されている方は経験されていると思いますが、単語・熟語というのは、いろんな文脈で何度も出会うことで、徐々にその単語・熟語の正確な語義イメージや、使い方、使う状況が身についてきます。「あ、この単語、この前覚えたヤツだ!」という経験はよくあると思います。
特に、スピーキングにおいては、その単語・熟語を使って何度も英文を作ることで、徐々に無意識に使えるようになってきます。
ですので、先ほども少し触れましたが、DUOをやる前にすでに出会っている語彙に関しては、DUOをやることで定着度は上がりますが、DUOで初めて出会った単語・熟語に関しては、DUOの後に違うテキストでまた出会っていかなければ、正確な理解や長期記憶への定着にはならないです。
ですので、DUO”だけ”をひたすらずっとやり続けるというのは、実はそんなに大きな効果は見込めないんですね。
14年間改訂されていない
2000年に「DUO 3.0」が出たっきり、改訂されていない点が気になっています。僕らだって、一時的に流行ってた「チョベリバ」とか、もう使わないじゃないですか?
※いや、そもそも「チョベリバ」は、当時でも特に使ってなかった気がする…
つまり、14年も経てば、よく使う言葉というのは、多少は変わるはずなんです。
例えば、280番のセンテンスにある「Please drop me a line. お手紙下さいね」(最近手紙書かないですよね)、274番の「VCR ビデオデッキ」(今の10代はビデオデッキを知ってるのだろうか?)などは、不要とまでは言わないですが、実用度は低いですよね。
それよりは、「Please text me.(メール下さい)」「E-book reader(電子書籍専用端末)」「Facebook fatigue(フェイスブック疲れ)」とかのほうがはるかに実用的だと思うんです。
実際、DUOに載ってるもので、古くて実用度の低いものというのは、そんな目くじらを立てるほど多くはないのですが、それでも、もっと実用的で重要度の高い語彙・表現というのは、けっこうあるのではないかという気がしています。
もちろん、出版社に「改訂版を出さないといけない義務」はないのですが、DUOに対する期待は大きいのではないかと。
「改訂版がある」という意味では、2012年に出た「単語・熟語ダイアログ1200 三訂版」は、実用的な語彙・表現が多いです。
会話のテーマが、「オンラインゲーム」「iPS細胞」「遺伝子組み換えされた蚊」「インターネット中毒」「SNS」「世界平和度指数」「新しい再生エネルギー」「電子書籍リーダー」「推測しやすいIDとパスワード」など、比較的新しい時事ネタを多く扱っています。
5. おすすめな人・おすすめでない人
△ 初心者には厳しい
DUOは、中学レベルの語彙・文法がある程度知ってるレベルでないと厳しいと思います。DUOにザッと目を通していただいて、「知ってる語彙・うろ覚えの語彙を合わせて7割以上」という方がベストかなと。
まったく知らない語彙が半分を占めていると、挫折率が高まるんですよね(˜∀˜;)
あとで詳しくご説明しますが、DUOを瞬間英作文でトレーニングしていくためには、中学レベルの語彙・文法で瞬間英作文がそこそこできるレベルにしておいたほうがいいです。
僕が2013年頃に一度、DUOにトライしようとして断念したのは、瞬間英作文レベルが低いと感じたからです。
△ 英会話初心者向けでもない
DUOには、会話で使える実践的な語彙・表現はかなりたくさん含まれています。ただ、上述したように、DUOの語彙レベルは中学レベルを超えているものも多いので、まだ中学レベルの語彙・文法を使いこなせていない人が、DUOで語彙力を鍛えても、たいして話せるようにはならない可能性があります。
なので、「まったく英語が話せないので、とにかく会話ができるようになりたい」のであれば、DUOをやるよりも、まずは「文法項目別の瞬間英作文テキスト → 会話でよく使う表現が学べる瞬間英作文テキスト(→ オンライン英会話)」を先にやることをお薦めします。
それらがそこそこできるようになってから、DUOを使って瞬間英作文をやることで、語彙や表現の引き出しが増え、中学レベルよりは深い会話ができるようになってくるはずです。
【参考】オンライン英会話を1000回受けたので効果と注意点をまとめてみた
【参考】オンライン英会話 初心者が撃沈しないために準備すべき4つのこと
△ TOEICをやる人にも微妙
上述したように、DUOは「TOEICに出ない語彙・表現も多い」ので、TOEIC高得点を少しでも早く取りたいという方は、TOEICを受験し続けている著者の単語集をやったほうが時間対効果が高いです。【参考】TOEIC おすすめ単語集4選と効果的な勉強法&おすすめでない単語集
○ 英検受験予定/総合的な英語力を身につけたい人
先ほども少し触れていますが、DUOは口語体と文章体が混在しています。ですので、その両方を身につけたい人、英検を受ける人や、さらにその上の英語力をめざす人が、基礎固めとしてやるのがいいのかなという気がしています。
