
最初にお伝えしておきますが、僕はこの数ヶ月、英検準1級の過去問を使って勉強してきましたが、英検の試験自体はまだ未受験です(^_^ゞ
理由としては、まだ十分に合格できるレベルではない、リスニング(の特にPart 2)とスピーキング(2次試験)がまだまだショボい、ライティングはほぼ未着手、準1級がけっこう面白いのでもうちょっと浸っていたい(合格すると飽きてしまいそうだから)、などです。
2015年の頃に英検1級のまとめ記事を書いたのですが、「んー、やっぱり合格してから書くべきかなぁ」と感じたので、しばらく手を付けていなかったんです。
ですが最近、読者さんから「英検の記事を書いて欲しい」というご要望が増えてきたんです。
望まれているのに書かないのも申し訳ないと感じたので、この2年間で自分が調べてきたこと、英検"準"1級の過去問で勉強して気づいたこと、使ってみて良かった参考書やマテリアルをまとめておくことにしました。
1. リスニング試験
解答時間:約30分
【参考】1級の過去問・対策|日本英語検定協会
【傾向と対策】
語彙が難しめ
TOEICや準1級に比べると語彙レベルが高いなと。特にPart 2の「説明文問題」はけっこう難しいものが出てきます。具体的な対策は後述します。
Part 4はナチュラルスピードにそこそこ近い
Part 1~Part 3に関しては、TOEICよりも少しゆっくりで、発音も聞き取りやすいと思うのですが、Part 4はネイティブのナチュラルスピードにそこそこ近いなと。
時間のある方は、英検サイトの「1級の過去問」でPart 4の音声を少し聞いてみるといいと思います。
Part 4は、確かにPart 1~Part 3に比べると難易度は上がりますが、それでも映画やドラマよりは聞き取りやすいと感じています。
2016年から、スキマ時間にSharlaさん(上述の動画)を始めとする「ネイティブYouTuberの動画」を観るようになったのと、森田勝之先生の「映画・海外ドラマCD」も聴くようになったので、少しずつですがナチュラルスピードに慣れてきつつあるんですよね。
語彙力がショボいので聞き取れる割合はまだまだ少ないですが、以前みたいに「速すぎて圧倒される」ということがなくなり、ナチュラルスピードの「音の連結・消失」に慣れてきたかなと。速い英語も結局「慣れ」だと気づいてきました。
ただ、Part 4でイギリス系の方が出てきたときは、アクセントがそこそこ強かったりするので、イギリス英語を聴く機会を作る必要がありそうです。やることいっぱいあるわー(´・ω・`)
音声が長い
TOEICや準1級をメインに勉強してきた方からすると、全体的に長く感じられると思います。Part 1の10題目やPart 2は少し長めですし、特にPart 4は2分半くらいあるんですよね。なので普段から長い英語を聴くようにしていったほうが良さそうです。
設問が印刷されていない
Part 3以外は、問題冊子に設問が印刷されていないので、先読みは選択肢しかできない点は要注意ですね。TOEICと違ってポイントを絞って聞くことができないので、リテンション力(一時記憶力)がモノを言うなと。
また、設問が印刷されていないということは、設問を聞き逃すと選択肢を選べないという残念なことになります。
TOEICよりも高度なリスニング力が要求される
TOEICと比べると、難易度の高いセットは話が二転三転するものが多く、ヒッカケるための表現が複数忍ばせてあったり、複数の情報を頭の中で整理して正しいものを選ばないといけないという感覚があります。語彙だけでなく、内容理解度という点においても、TOEICよりも難しいと個人的には感じています。
なので、後述しますが、ヒロ前田先生の「3回チャレンジ法」の2回目(音声は何度聞いてもOKだが、英文スクリプトは見ずに、脳の中だけで情報を整理して答えを導く)が大切になってくるかなと。
2. 勉強の進め方(リスニングが苦手な方)
超苦手 → ディクテーション
リスニングのアドバイスによく「たくさん聞きましょう」みたいなのがあったりしますが、リスニングが苦手な人が大量に聞いても聞き取れるようにはならないと感じています。「英検1級道場」の山中先生も次のように仰っておられます。
沢山聞けば上手になるものではありません。BGMみたいにして聞いても上達しません。
読解で精読があるように、リスニングも精聴があります。まずこれをやって、自分が聞こえていることとそうでないことを峻別(しゅんべつ)することから始めてください。
【出典】英検1級道場-奇跡の英検1級合格大作戦-
山中先生の仰る「自分が聞こえていることとそうでないことを峻別する」というのはつまり【 ディクテーション 】のことです。
英検1級ホルダーの「100 WISH LIST」の管理人さんも、以前は1級のリスニングが苦手だったそうで、「ディクテーション」をされたようです。
英検1級のリスニング。私にとっては、苦い思い出です。
受験初回こそ気負いがなかったのか、34点中25点が取れたものの、それ以降点を下げるばかり。ある回は、リスニングの大失敗で一次合格を逃してしまいました。ここで点を落とし続けるわけにはいかない。必死で基礎に立ち返り、合格者レベルの点数まで引き上げました。
…実際に試験対策として行ったのは、ディクテーションです。
…1級受験を機に初めてディクテーションにも本格的に取り組み、素材を集中して聴くことがどういうことかを学んだ気がします。
【出典】英検1級 リスニング対策 その3
リスニングって結局、聞き取れない音を聞き取れるようにし、意味がつかめないものを理解できるようにしないといけないんですよね。
聞き取れないものを大量に聞いても、「お経を大量に聞いても、内容を理解できるようにはならない」のと同じで、聞き取れるようにはならないんですよね(^_^ゞ
同時通訳者の関谷英里子さんも、著書「同時通訳者の頭の中(Amazon)」で、次のように仰っておられます。
ディクテーションをすると、英語のどこが聴き取れないのか、リスニングの弱点が明確になります。聴き取れているつもりでも聴き取れていなかった言葉、苦手な言葉を自覚することによって、意識してリスニングの練習ができます。(P.131)
【参考】リスニング苦手な人はディクテーションで道は開ける|効果、やり方
準1級の過去問から始めるのはお薦め
僕は「読めるけど聞き取れない語彙」がまだまだ多いので、今は準1級のリスニングの音声を使ってトレーニングしています。以前、1級で勉強していたときに、「やってやれないことはないが、難易度の高い語彙が多くて(=辞書を引く回数が増えて)復習に時間がかかるなぁ。」と感じたんです。
そこで試しに準1級をやってみたら、僕のレベルでは準1級でもけっこう難しく、「準1級のリスニングがかなり聞き取れるレベルにならないと、より難易度の高い1級のリスニングで合格レベルに到達するのは厳しい」と。なので準1級から始めることにしたんですよね。
最近、ブログを拝読させていただいている英検1級ホルダーのNOBUさんがツイッターで次のように仰っておられました。
英検1級に2回連続で不合格になったとき、準1級の過去問を解いて、語彙と構文を確認したけどあれはいい経験になっている。狙う級の下の級で9割とれるなら、そこまでの英語力は備わっているといえる。
【出典】NOBUさんのツイート
2015年10月に始めた英検準1級の過去問のトレーニングですが、2016年08月現在でリスニングパートは過去問17回分目のトレーニングに入りました。
※トレーニングについては後述。
ですが、Part 1・Part 3は毎回8~9割は獲れるものの、Part 2の「説明文問題」は8~9割獲れるときもあれば、半分くらい間違うときもあるんですよね(;´∀`)
Part 2は、未習得の語彙・表現が多かったり、未学習のトピックが多いと、内容がサッパリ分からず、1題に2問付いてますが、2問ともアッサリ全滅します(笑)
2016年に入ってから、TOEICのリスニングで450点を超えることが増えてきましたが、英検のお陰で自惚れずに済みます(笑)
そんなわけで、聞き取れないものをつぶしていくために、準1級の過去問を合計24回分(残り8回分)やっていきます。それが終わったら、リスニングパートは1級に移行しようかなと。
勉強の進め方(3回チャレンジ法)
TOEIC講師のヒロ前田先生の「3回チャレンジ法」を英検でも実践しています。1回目:普通に模試としてマークシートを使って解く(現在の実力を知る)
2回目:「音声は何度聞いてもOK」で解く(弱点が明確になる)
3回目:1~2ヶ月後やテスト前に再度解く(定着度合いの確認)
チャンレンジ1回目が終わったら、毎日「Part 1の会話を2~4題」or「Part 2を1題」or「Part 3を2~3題」を解いていきます。
解いた後は、精聴精読(聞き取れなかった発音や音の連結・消失、不明な語彙のチェック)します。
その後は、【 オーバーラッピング 】(CD・MP3音声に合わせて音読)で毎日トレーニングしていきます。
オーバーラッピングは1日1回を20日間くらい毎日やる感じです。効率化のために、一時期10日間に減らしたことがあったのですが、10日間だと僕の今のリスニング力では定着度が低いと感じたので、また20日間に戻しました(笑)
ただ、最近は正答率が上がり、特にPart 1は易しく感じるようになってきたので、問題を解くとき、オーバーラッピングするときに1.2~1.5倍速で速聴しています。
そのお陰で、リスニングの処理速度が以前よりも向上し、文頭から聞こえてきた瞬間に聞き取れる語彙・表現の割合が増えてきました。
【参考】速聴の効果と注意点まとめ
Part 2の内容理解を深めるキーワード200
リスニングのPart 2「説明文問題」や筆記試験の「読解問題」によく出る、内容を正確に理解できるようになるキーワードをまとめてみました。あらかじめ一読しておき、問題を解いて答え合わせをした後、【 精読 】するときにチェックするようにしていると、リスニング・リーディング時の内容の理解度を高めることができるはずです。
準1級の過去問からまとめたものですが、1級でも十分有効だと思います。
【参考】長文読解問題の英文を正確に読むためのキーワード200
3. 勉強の進め方(そこそこ聞き取れる方)
ある程度聞き取れる方の1級のリスニングの対策としては、次の3つのトレーニングが必要だと感じています。
(2) フォーマルな英語を聴く
(3) 速い英語を聴く
1つずつ解説していきます(・∀・)b
(1) 過去問で英検のパターンをインストール
やはり過去問は押さえておくべきだと思います。僕は準1級ではありますが、この半年間で、過去問16回分の音声と英文でトレーニングしてきました。その結果、TOEICと同様に、やはり英検においても、
(1) 語彙
(2) 会話・説明文のパターン
(3) 問題パターン・ヒッカケのパターン
(4) 言い換え(パラフレーズ)のパターン
があるなと。
なので過去問を解けば解くほど、大量のパターンが脳にインストールされ、内容を予想しやすくなる&正解の選択肢を選びやすくなると感じています。
合格されている方のお話をお聞きしていると、12~18回(6~9年分)(2~3冊分)くらいされてる方が多いですね。
(2) ニュース(フォーマルな)英語を聴く
上述しましたが、Part 2の「説明文問題」の語彙レベルが、読解問題ほどではないものの、そこそこ高いんですよね。なので過去問18回分やって、足りないようであれば、「TED Talks」や「海外ニュース」を聞いていくのがいいかなと。
無料で聞ける海外ニュースに関しては、サイト「Success English」さんが丁寧にまとめられているので、参考にされるといいと思います。
【参考】無料リスニング学習英語ニュースが聞けるインターネットラジオ・サイト
ただ、無料で聞ける海外ニュースは日本語訳や語注がないので「多聴」向きだと思うんですよね。
「多聴」で大量の英語を聞いていくことは大事だと感じています。ですが、"多聴のみ"だと「正確に聞き取るリスニング力」が伸びにくいと感じています。そして、英検はその「正確に聴き取れているかどうか」を突いてくるんですよね。
なので、僕は「精聴」も大切だと感じています。
僕みたいに「精聴精読やオーバーラッピングなどのトレーニングはテキストでやりたい」「日本語訳が欲しい」という方は、次の2冊がオススメです。
『VOA』は2014年度版、『CNN』のほうは2013年[秋冬]版を買って、ザッと聞いてみましたが、個人的には『VOA』のほうが良かったです。
『VOA』のほうがニュースが長いものが多いです。1本が1分30秒~2分20秒くらい。『CNN』は1本が30秒くらいなんですよね。
ただ、『CNN』のほうには「区切り聞きの音声」「ゆっくりバージョンの音声」があるのがポイントで、ここが好みの分かれるところだと思います。これにメリットを感じる方もおられるかなと。
僕個人的には、「SONYのMP3ウォークマン」があると再生速度を変更できるので、ゆっくりバージョンは不要なんですよね。
また、『VOA』は1年に1冊(1500円+税)で収録ニュース数は40本。
一方、『CNN』は1年に2冊(合計で2,000円+税)に分かれていて、収録ニュース各20本ずつ。なので、ニュースの本数はどちらも1年で40本です。
ただ『VOA』では、登録しないといけないのが面倒ですが、ダウンロードコンテンツとして5本のニュースが付いてきます。
なので、単純に「ニュース本数/値段」のコスパにおいても『VOA』かなと。登録しないといけないのが面倒ですが(´Д`)←メアド登録が嫌いな人
(3) 速い英語を聴く
他のパートに比べると、Part 4のインタビューがそこそこ速く、音の連結・消失も激しいなと。また、過去問は18回分やったとしても、Part 4は18セットしかないので、これでは足りない気がしています。
なので、無料のマテリアルなら「TED」や上述した「ネイティブYouTuberの動画」を聴いて、ナチュラルスピードに慣れていくといいかなと。
リスニング編は以上になります。お役に立てば幸いです(・∀・)/

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