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公開:2017-11/18
音読は何回やるべきか?
回数が多いほうがいいのか?
9809時間勉強してきた経験上、1回よりは10回、10回よりは20回やったほうが定着度は高くなると感じています。基本的には、繰り返す回数が多ければ多いほど、各単語の一時記憶の期間が伸びると感じています。
ただ、100回やったときの効果が、20回やったときの効果の5倍あるとも思えないんですよね。
例えば、TOEICのリーディングパートの英文を100回音読するとした場合。
テスト1回分の英文を100回音読するよりは、テスト5回分を20回したほうが効果は高いと思うんですよ。
「1つの英文を繰り返し読んだ回数」だけでなく、「読んだ英文の数」も、多ければ多いほど、より多くの単語に触れられる&単語に出会う回数も増えるため、長期記憶により定着しやすくなると感じています。
読んだ英文の数が多いほうがいいのか?
じゃあ、もっと読む英文数を増やそうということで、「テスト100回分の英文を1回ずつ音読」したらもっと効果があるのかというと、そう単純な話でもないんですよね(笑)SLA(第二言語習得)を教えておられる、TOEFL満点(TOEIC満点よりもはるかに難易度が高い)の青谷正妥教授が著書で次のように説明されています。
「意味重視のインプット」のところで説明しましたが、95から98%の単語が理解できて初めて意味処理の練習になります。スピードが速すぎたり、内容が難しすぎたりしてはいけないのです。(P. 52)
初めて読む(解く)TOEICや英検の英文で、出てくる単語の95~98%を理解できる人ってそう多くはないと思うんですよ。
TOEICのリーディングで450点を超えてきた人が、テスト100回分解くのであれば効果は大きいと思いますが、400点以下の人がただ100回分解くだけでは効果は低いと考えられます。
つまり、”音読する前に”、95~98%の単語が理解できる状態にしておく必要がある = 精読しておく必要があるというわけです。
「音読をやってるけど効果が感じられない」と言う人は、精読がきちんとできていないことが多いです。
【参考】TOEIC スコアもリーディング力も向上するPart 7「精読」勉強法
【参考】英検準1級 読解で8~9割取るための対策と勉強法
音読の「回数」以外の重要な要素
「日数(期間)」
おそらく期末試験や受験勉強で経験されていると思いますが、音読し続ける日数(期間)もやはり重要です。一気に集中して勉強するのと、勉強時間を「分散」するのとでは、覚える量は同じでも、脳にとどまる時間がずっと長くなるのだ。(P. 97)
ある研究グループは、小学校3年生に足し算を教える時間を毎日1回設けることを10日間続けるほうが、毎日2回設けて5日間続けるよりもはるかに効率的だと実証した。(P. 109)
数学の授業内容の定着度と、英語の音読トレーニングにおける定着度というのは単純比較できないとは思います。
ただ、20回音読するとした場合、「1日で一気に20回音読」よりも、「1日4回音読を5日間」のほうが、長期記憶への定着度は高いです。
ただこれも、日数が多ければ多いほど効果があるのかと言うとそうでもなくて、例えば「1日1回を20日間」が「1日2回を10日間」よりも効果が高いとは限らないんですよね(笑)
仮に「1日2回を10日間」にして、1回目は発音や音の連結・消失に注意して読み、2回目は文構造や意味を捉えながら読むようにしたら、「1日1回を20日間」よりも効果が高い感じがしています。
自分の感覚では、音読の「回数」を何回やるにしても、「日数」は最低でも10日間はやったほうがいいと感じています。それ以下だと定着期間が短くなる気がするんですよね。科学的根拠はありません(笑)
ただ、30日間毎日読むくらいなら、10~20日間読んだら次の模試に進んで、上述したように「読んだ英文の数」を増やしていったほうがいいと思います。それに、30日も毎日読むと飽きてきますしね(笑)
ちなみに、2日に1回を15日間やるという選択肢もあります。これだと日数的には15日間ですが、期間的には1ヶ月間やっていることになります。The 分散学習。
ただ、音読を「3日に1回」とか「4日に1回」にすると効果が薄い感じがしました(笑) 特にトレーニングを始めた頃は毎日読まないと、昨日精読した英文でも「この単語なんやったっけ?」って忘れていくんですよね。
「読む速さ」
20回音読する場合、マイペースに20回読むよりは、最初はゆっくり読み始め、最終的に速音読したほうが効果が高いです。最初の5回はゆっくり(50~100 wpm)と返り読みせずに、主語と動詞を意識しながら、文頭から内容を理解していくように努め、次の10回で徐々に速く読んでいくようにし、最後の5回は150~200 wpmで読みます。
TOEICのPart 6・7の易しめの文書なら180~200 wpm、TOEICのPart 5やPart 7の難しめの英文、そして英検の読解問題なら150 wpmくらいで読めるまで速音読するようにしていると、徐々に時間内に解き終われるようになってくるはず!
【参考】TOEIC リーディングで時間が足りない!対策と勉強法 Part 5・6編 / Part 7編
僕はわりと最近までマイペースに読んできたのですが、速音読トレーニングをもっと早くに始めていたら、今はもっとリーディング力が高かっただろうなと。詳しくは次の記事で。
【参考】速音読トレーニングの効果・やり方
音読か黙読か
「試験中は声に出せないので、音読よりも黙読しておいたほうがいい」「黙読のほうが速く読める」というアドバイスがありますよね。
TOEICスコア最優先、英検合格最優先の方には強制しないですが、最終的に準ネイティブレベルをめざすのであれば、音読をメインにすることをお勧めします。
理由は2つあります。
【理由1】音読速度が上がると黙読速度も上がる
これまでの様々な研究の蓄積で、音を介して意味にアクセスする表記・発音変換ルート(音韻ルートとも)の介在は確立されつつあります。(P. 127)
人間は黙読中でも頭の中では「静かに音読している」らしいことが分かりました(N. Savill, Lindell, Booth, West, & Thierry, 2011)。
独立した単語の音読の場合と同じく、単語の意味にアクセスする前に、まず第一段階としてその発音を脳内でイメージしているのです。(P. 129)
これは自分の経験的にも確信しています。
2017年の頭から数ヶ月間、TOEICの『公式問題集』で速音読トレーニングをやったのですが、音読のスピードが上がると、黙読のスピードも上がるんですよね。
当然なのですが、黙読は声に出さなくていい → 口を動かすフェイズが不要になる → その分速く読めるんです。
【参考】速音読トレーニングの効果・やり方
【理由2】音読速度が上がると英会話で速く話せる
基本的に、スピーキングの速度は、音読の速度を超えないなと。つまり、いくら黙読で速く読めても、音読のスピードを上げていかないと、英会話でスラスラ話せないんです。
2015~2016年にかけて、【 オンライン英会話 】では伸び悩みを感じていました。
ですが、上述したように【 速音読 】をやってから、自分の中の英語のコア処理速度みたいなものが1レベル上がり、【 瞬間英作文 】も180~200 wpmくらいで発話できるまでやるのが普通になりました。
その結果、去年よりも英語が出てきやすくなり、流暢さが上がったんです。あくまで自分の中で、なので上級者の方々に比べるとヘナチョコですよ(笑)
英会話をやっている方には分かっていただけると思いますが、会話の流れや状況によってはササッと言わないといけないときがあるじゃないですか?そういう意味でも、速く話せるのは重要だなと。
同時通訳者の横山カズ先生も著書で、
ここ最近の私のタイムアタック音読は、1分あたり300~360語くらいです(P.81)
パワー音読では、スピードを強調したい。話すスピードが速ければ、ほかのすべての技能に余裕が生まれるからです。(P.96)
と仰っていたのですが、とても共感しています。僕のレベルでは300 wpmは無理ですが(;´∀`)
なので、最終的に準ネイティブレベルの英語力を身につけたいのであれば、音読をメインにしていったほうがいいと考えています。

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