TOEIC 900点レベルは「初級」だった件

454-900点の価値は

対象:TOEIC学習者 
読了:約10分(6020字) 
公開:2018-01/21 
更新:2018-02/01 「TOEIC 900点で得られる3つのメリット」追記 

TOEICを勉強し始めた頃、「TOEIC L&R 900点ホルダー = 英語上級者」だと思い込んでいました。ですが、実際は初級だったなと。

2012年に900点を超えてから、次のようなさまざまな英語に触れてきました。

オンライン英会話:5年(1900回)
瞬間英作文:2万文
英検:2年
● 語彙制限本による多読:40万語
英語ニュースサイト多読:50万語
NHK WORLD TV
映画・ドラマCD本:4冊
ネイティブYouTuberの動画
Speak UP Radio

その結果、多聴多読中心でTOEIC対策を一切せずに970~満点くらい取れれば「上級」と言えるかもしれないですが、TOEICに特化して勉強して取った900点の英語のレベルは「初級」だと思うようになってきました。

「英語力が低い」というよりも、「理解できる&使える英語の範囲が非常に狭い」という意味で初級レベルという感じです。
 

TOEIC特化900点が初級である5つの理由

(1) 7歳児くらいの語彙力しかない

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語彙力を測れるサイト「Test Your Vocabulary」によると、そのサイトで測った大多数のネイティブの語彙力は2万~3万5千語だったそうです。

僕が信頼している多聴多読学習者のyukoさんはその「Test Your Vocab」で2万5千語なので、ネイティブ並みの語彙力をお持ちということになります。

それで、僕も2016年から測るようにしたのですが、2018年01月現在の語彙力は8300語でした( Д) ゚ ゚

上述したサイトのブログ記事「Native speakers in greater detail」にあるグラフで測ってみると、8300語だと7歳児くらいなんですよ(笑)


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上述したように、僕は2012年に900点を超えてから、TOEIC以外のさまざまな英語に触れてきたので、2018年の今の語彙力は、「TOEICに特化して勉強していた頃」と比べると増えているはずですが、それでもまだ7歳児レベルなんですよね。

TOEICしか勉強してなかった2012年の僕の語彙力なぞ推して知るべしだなと。

【参考】準ネイティブレベルの英語力に到達するのに必要な語彙力


(2) 5歳児よりも低いリスニング力

ちょっと次の動画を見ていただきたいんですよ。右側のホストの女性・Ellenさんの英語がどれくらい聞き取れるかをチェックしてみて下さい。




いかがでしたか?

左の5歳の男の子は、Ellenさんの手加減なしの英語をおそらくほとんど聞き取れていると思うんですよ。

ですが、TOEICに特化して取った900点(L450点くらい)のリスニング力だと部分的にしか聞き取れないのではないかと。僕も完全に聞き取るのは厳しいです(;´∀`)

TOEICに特化して取った900点のリスニング力は、5歳児に敵わないのです。「five years old - YouTube」で検索して、いろんな5歳児の動画を見ましたが、どの子もみんな僕よりも高いリスニング力を持っていると感じました。

なぜ彼らはそんなにリスニング力が高いのか?

2016年頃から第二言語習得に関する本を数冊読んできた結果、その理由が分かりました。


英語圏の幼児は三単現のsを本当に理解するには6年くらいかかりますが、5歳児になるころまでに母語を聞く時間数は17520時間だそうです(Morley, 1991)。(P. 27)




僕は英語の勉強を初めてから、勉強時間をカウントしてきたのですが、2017年12月に1万時間を超えたんです。

ですが、その総勉強時間ですら、5歳児が英語を聞いてきた時間よりも少ないわけですよ。ましてや「英語を聞くことに充てた時間」なんて、せいぜい1000時間くらいだと思うんです。

上述したyukoさんは「字幕なしで観ることのできる映画がかなり増えてきた印象」というレベルに到達されていますが、リスニング(主に多聴)だけで4000時間に到達されているんですよね。

僕が2012年に初めてTOEIC 900点に到達した頃は、トータルの勉強時間が4000時間くらいだったので、リスニングに費やした時間はもっと少なかったはずです。

今のリスニング力は、TOEIC以外の英語に触れてきたことで聞き取れる範囲が増えたので、初級ではないかもしれないですが、900点を超えた当時の狭いリスニング力は初級レベルだったなと。

【参考】英語 リスニングが上達しない人によくある4パターンと改善策


(3) 読んでいる量も全然少ない

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多読10年間のまとめ」によると、2016年までにyukoさんがインプットされた単語の総数は5165万語(506冊分)だったそうです。

また、森沢洋介さんは著書で、次のように仰っておられます。


現在の私の語彙は25000~27000語と思われますが、多読などの自然なボキャビルにまかせると、このあたりで語彙の伸びは止まるようで、ここ10年くらい同じでレベルにとどまっています。(P. 176~177)




P.160~161の記述からすると、2005年頃には少なくとも340冊の洋書を読んでおられたことが分かります。洋書は1冊当たり平均10万語くらいなので、3400万語はインプットされていると考えられます。

2018年01月現在の僕のインプット単語数をザッと計算してみたのですが、167万語でした。yukoさんの20分の1以下(笑)

TOEICはテスト1回分LR合わせて約9000語なので、例えばもし公式問題集を4冊やったらテスト8回分 = 72000語の英語に触れられることになります。

だとすると、初めて900点を取った2012年の頃なんて、18~27万語くらいだったんじゃないかと。

【参考】英語「超」上級者は例外なく多読していた件


(4) ほとんど話せない・書けない

TOEICのスコアは高いが英語でビジネスメールが書けなかったり、英語圏の外国人との会話ができなかったりするらしく、企業の人事担当者も頭を抱えているそうです。

【出典】TOEIC高得点社員の英語力ギャップ なぜ?人事担当者もビックリ


本当に「英語上級者」なのであれば、かなり流暢に話し、質の高い英文を書けるはずですよね。

ですが、英会話をせず、【 暗唱 】や【 瞬間英作文 】といったスピーキングを向上させるためのトレーニングをしていない場合、900点を超えてもほとんど話せないです。

2012年に900点を超えたとき、TOEICに特化して勉強してはいましたが、瞬間英作文を少しやっていたお陰で、オンライン英会話で25分間、何とか話し続けられるだけのスピーキング力はありました。

【参考】オンライン英会話を1000回受けたので効果と注意点をまとめてみた


ですが、当時のスピーキングはかなりシドロモドロで、流暢さのカケラもなかったです。上級者どころか中級者ですらなかったなと。


(5) 英語力の範囲が狭い

toeic-eiken-native-04.png

この3つの円はそれぞれ、ネイティブの英語力TOEICに特化して取った900点ホルダーの英語力英検1級にギリギリ合格した人の英語力を、僕の主観で表しています。

僕は英検準1級は持っていますが、1級にはまだ合格していないので、ホント感覚的なものであることをご了承下さい(笑)


まず、英検1級にギリギリ合格した人の英語力は、TOEICに特化して取った900点ホルダーの英語力よりも広いかなと。

理由は2つ。


(1) 英検はスピーキングとライティングも必要
(2) 英検は出題されるジャンルの範囲がTOEICよりも広い


この2つについては「TOEICでは身につきにくい、英検で獲得できる6つの英語力」で詳しく説明しています。


次に、TOEIC 900点でも英検1級でも身につかない英語力の範囲はかなり広いと感じています。

英検1級に合格しても、映画やドラマを字幕なしで見られない、英語が流暢に話せないという人は多いんですよね。

実際、映画やドラマを見ていると、英検1級のリスニングパートよりもはるかに難しいです。

また、英検1級の二次試験(スピーキング)はスピーチと想定問答集を準備するだけで合格できてしまう人もいます。そういう人で日常的に英会話をしていない場合、あまり流暢には話せないのではないかという気がしています。



TOEIC 900点の価値は

TOEICに特化して取った900点は「仮免許」

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車の仮免許は「すでに免許を持っている人が横にいないと運転できない」「高速道路を走れない」といった条件があるという点で、限定的ですよね。

TOEICに特化して勉強して取った900点も、限定的という意味で「仮免許」と捉えています。

TOEIC公式サイトのPDF「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」にある表の860点以上の項目には、次のように書かれてあります。


Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる

自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。Native Speakersの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている


正直なところ、今の自分の英語力を持ってしても、これら3つに対して自信を持って「Yes!」とは言えないんですよね。

バイリンガールのChikaさんの動画に、TOEICのPart 4にもよく出るツアーガイドのアナウンスがありました。

0分40秒から始まります。字幕なしでどれだけ聞き取れるか、また、0分54秒でなぜ笑いが起きているのかに注意して聞いてみて下さい。




いかがでしたでしょうか?TOEICしかやっていない場合、おそらく部分的にしか聞き取れないのではないかと思うんですよ。

数えてみたら、1分間で239語でした。239 wpm。途中の話してない時間を考慮すると、300 wpm超えてるときもある気がします。TOEICのナレーターは速くても200 wpmくらいです。

これがリアルなツアーガイドです。

2017年にこの動画を聞いたとき、TOEICのリスニングパートで1回満点が取れたくらいで満足してちゃいけないと改めて思ったんです。


そんなわけで、「英語を流暢に話せない」「映画やドラマを字幕なしで聞き取れない」「ネイティブが読む洋書やニュースを辞書なしで読めない」のあれば、そのTOEIC 900点は仮免許と考えておいたほうがいいなと。

というわけで、僕もまだまだ「仮免練習中」です(笑)


TOEIC 900点で得られる3つのメリット

TOEICに特化して取った900点は「仮免許」ではありますが、「無価値」ではないです。個人的には3つのメリットがありました。


TOEIC 900点で得られる3つのメリット

(1) 英語の基礎が身につく
(2) リスニングとリーディングの伸ばし方が身につく
(3) 自分に自信がつく


(1) 英語の基礎が身につく

900点を超えると、上述したようにネイティブレベルにはほど遠いのですが、それでも多少は聞き取れる&読めるようになるので、英会話や英検などの次のステップに進みやすくなります

また、TOEICに特化して900点を取っても英語を話せるようにはなりませんが、それでもインプット量はそれなりにあるので、スピーキングのトレーニングさえすれば、すぐにある程度は話せるようになります。

もし「英語初心者」と「話せない900点ホルダー」が同時に英会話を始めたとしたら、間違いなく900点ホルダーのほうが成長スピードは早いはずです。

【参考】オンライン英会話 初心者が撃沈しないために準備すべき5つのこと


(2) リスニングとリーディングの伸ばし方身につく

TOEIC勉を通して身につけたリスニングとリーディングの伸ばし方やトレーニングは貴重な財産になります。英会話、英検やTOEFLなどの他の資格試験、映画やドラマで勉強する際にも、TOEIC勉で培った勉強法が必ず役に立ちます。


(3) 自分に自信がつく

人にもよると思いますが、個人的にはこれが一番大きなメリットでした。

僕は予備校には通いましたが、最終的に大学に行くことは諦めたので、最終学歴は河合塾中退です(笑) その後、フリーターを6年、そして契約社員になって6年半経ったときに契約を切られて無職になりました( Д) ゚ ゚

お察しの通り、こんな生き方では自分に自信のある人間にはならないですよね。

ですが、TOEIC 900点に到達したとき、周囲から「スゴイですね!」とチヤホヤされたんですよ(笑)

成功体験が少なく、人に認められる経験がほとんどなかった僕にとって、TOEIC 900点という「激難ではないけど簡単でもない目標」を達成したことは、「自分もやればできるんだ」という自信につながりました。


著名な心理学者であるフロリダ州立大学のバウマイスター教授らが過去の研究をまとめた丁寧なサーベイによって、「自尊心が高まると学力が高まる」というそれまでの定説は覆されました。

バウマイスター教授らは、自尊心と学力の関係はあくまで相関関係にすぎず、因果関係は逆である、つまり学力が高いという「原因」が、自尊心が高いという「結果」をもたらしているのだと結論づけたのです。(P.46)




そんなわけで、「自分を変えたい」「自信をつけたい」という理由でTOEIC 900点をめざすのもアリだと考えています。

英語が得意ではない方で、自信喪失中だったり、人生にマンネリを感じているのであれば、TOEIC 900点は自己肯定感を高める成功体験、人生を変えるターニングポイントになるはずです。


TOEICに特化するのはアリ

TOEICに特化して取った900点は「初級レベル」であることをお伝えしてきたわけですが、それでもTOEICに特化して勉強するのは全然アリだと僕は考えています。

理由は2つあります。

まず1つめは、英語学習開始初期は何かに特化して勉強したほうが上達しやすいからです。

TOEICは測定する英語力の範囲は非常に狭いです。それは一見デメリットに見えますが、範囲が狭いからこそ、少し勉強しただけでもスコアが伸びる = 上達を感じやすいというメリットがあります。

そして、上達を感じられる → 続けられる → 継続は力なりにつながります。特に英語を始めたばかりの頃は、上達を感じられないとすぐに頓挫します。僕も何度頓挫してきたことか(笑)

なので、TOEICに限らずですが、英語を始めた最初の頃は、並行していろいろやるよりも、何かに特化して勉強したほうが継続しやすいと考えています。

【参考】英語を1万時間勉強したので継続のコツをまとめてみた


2つめ。「言語習得は大量のインプットと少量のアウトプットが重要」という点です。

第二言語習得を研究されている応用言語学者の白井恭弘教授の著書より。


子供の母語の習得でも、まず、聞くことから始まります。そしてしばらく聞くことによって頭の中に言語の知識を蓄積していって、徐々に話すようになるのが普通です。

子供は、話し始める前から、すでにたくさんの言語知識がある、ということもわかっています。……聞くこと、すなわちインプットが言語習得のカギだということが分かります。聞くことによって、話すために必要な言語知識が身につく、ということです。(P.19)




900点を取ろうと思うと、平均して2000~3000時間くらいかかります。そして上述したように、5歳児は17520時間、英語を聞いているわけです。

だったら、900点超えてから(=2000~3000時間インプットしてから)英会話にスイッチしても全然問題ないのではないかと思うようになってきました。

実際、僕が900点を超えてから英会話にスイッチしたときは、TOEICのよるそこそこの量インプットと少量のアウトプット(瞬間英作文)があったからこそ、【 オンライン英会話 】では何とか聞き取れ、25分会話を続けることができたと思うんですよ。

なので、TOEICに特化して取れた900点は初級レベルではあるものの、【 暗唱 】や【 瞬間英作文 】も並行しておけば、英会話にスイッチしやすくなります。




 
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