多聴多読を200万語やったので注意点をまとめてみた

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対象:TOEIC 800点・英検準1級~ 
読了:約10分(6015字) 
公開:2018-01/05 
更新:2018-03/31 部分的に加筆・修正
関連:多聴多読 - 効果 - 注意点 - NHK WORLD TV - ニュース&読み物サイト

英語「超」上級者は例外なく多読していた件」でお伝えしたように、準ネイティブレベルに到達するためには少なくとも2000万語くらいインプットする必要があると感じたので、2016年頃から少しずつ多聴多読をしてきました。

2016年は語彙制限本で39万語、2017年は英語ニュースサイトで50万語読みました。今年からは「NHK WORLD TV」「Speak UP Radio」も毎日視聴するようにし、08月現在で189万語聞いて&読んでいます。

また、TOEIC本や英検の過去問、瞬間英作文本など、精聴精読したマテリアルもカウントしたら、341万語になります。

真の多読家の方からすると、341万語ですら駆け出しに過ぎませんが、第二言語習得・英語勉強法・多読に関する本を読んで、自分なりに実践してみて気づいたことをまとめてみました。

多聴多読は気をつけないと効果が非常に薄くなる可能性があるので、多聴多読を実践中の方、検討中の方はぜひご一読下さい。

 

多聴多読 9つの注意点

(1) 多読は未知語は身につきにくい

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個人的には意外だったのですが、多読では未知語が身につきにくいんですよね。


母語習得と比べて、第二言語習得は多読をしてもなかなか単語力が増えないと言われています。

これはなぜかと言うと、知らない単語の割合が多すぎると、未知語の意味を推測できないからです。母語の場合は、知らない単語の割合が普通は非常に少ない。だから、多読の最中にどんどん新しい単語を覚えられるわけです。(P. 140)



新しい語を獲得する方法としては,多読は非常に効率が悪いことがわかってきている(Hill & Laufer, 2003; Waring, 2003b)。

多読の語彙習得への効果はむしろ,知っている語を確認したり,コロケ ーションなどの語の知識を深めたり,未知語を推測する力をつけさせたりすることに期待したほうがよさそうである。(P. 187)

【出典】第二言語習得を加速させる流暢さのトレーニング


実際、「英語ニュース&読み物サイト」を中心に100万語以上多読をしてきたのですが、すでに知ってる語彙やうろ覚えの語彙の定着には効果があるものの、未知語を理解して獲得している感覚はあんまりないんですよね。


(2) 初級者は「多聴多読」よりも「精聴精読」で

TOEIC 900点英検準1級くらいまでは、精聴精読をメインにしたほうがいいと考えています。

当ブログでよくご紹介している多聴多読で英語を学んでおられるyukoさんも、ブログを拝読していると、ある程度のレベルまでは、けっこう精聴精読に時間を取っておられました。


聞き取れるようになったのは、最初の3ヶ月、100時間目までをスクリプト付きの音源を使い、文字と音が一致するまで何回も聞いたからだと思います(具体的な方法はコチラ)。

【出典】リスニング3000時間の感想


今では「字幕なしで観ることのできる映画がかなり増えてきた印象」というyukoさんでも、最初はこういう地道なトレーニングからスタートされているわけです。

2018年01月現在、僕自身も毎日1時間くらい【 脳内ディクテーション 】とリピーティング(音声を止めてスクリプトを見ずに再現する練習)で、文字と音が一致するまで10日間くらいやるのをずっと続けています。


精読は、2006年~2007年はVOA Learning Englishを中心に易しい記事を選んでいましたが、2008年からはThe Economistなどの新聞記事から選んでいます。

多読で辞書を引かない分、精読記事では分からない単語を全て調べ、単語カードを使って復習しています。精読記事で覚えた単語を多読で目にする機会も多く、新しく覚えた単語の定着率が良いです。

【出典】多読10年間のまとめ②


僕自身も「TOEIC対策本」を約テスト50回分、精読した上で、数日かけて 10~20回音読しました。

その後、「英検準1級の読解問題の英文」も過去問24回分、同じように精読と音読をしました。

2017年に多聴多読でTOEIC 980点を取得した女の子のように幼少期から英語に触れる環境があれば別ですが、大人になってから英語を始めた人は、精聴精読は必須だと考えています。


(3) 語数だけでなく「理解度」も重要

僕は2000万語をめざすことにしたわけですが、ただ闇雲に2000万語インプットすればいいのかというと、やはりそうではないんですよね。

特に、語数をカウントし始めると、ついつい語数を稼ぐことに意識がいってしまい、きちんと理解できていないのにそのまま読み進めてしまう病を患ってしまうことがあります。

ですが、「NetflixやHuluで映画やドラマを大量に観たけど、リスニング力はほとんど伸びなかった」という経験は誰しもあると思います。また、「多読しているけど、リーディング力はあんまり伸びていない気がする」と仰る読者さんって少なくないです。

科学的教育グループSEG」という塾を運営されていて、多聴多読をベースに英語を教えておられる古川昭夫先生が、著書で注意を促しておられます。


私たちは、2002年以来、8年間に渡り、2000人以上の生徒に多読指導をしてきた中で、毎年、年2回ACEテストを実施して、スコアの伸びと読書量、読書スタイルの関係を観察してきました。

……その経験からすると、英文を十分に理解しないまま、読書語数を増やしても、英語力はあまり伸びません

……英文に書かれている内容をしっかり把握しながら読んでいる生徒のほうが、語数が多くてもただ漫然と読んでいる生徒より、高い学習効果を上げているのは間違いない事実です。(P. 88)




というわけで、



英語力 = インプット量 × 理解度



という公式が成り立ちますね。「インプット量」と「(各マテリアルの)理解度」が、掛け算になってる点が重要です。

上述したように、インプット量が多くても理解度が低いと英語力は伸びづらいし、理解度が高くてもインプット量が少ないと英語力は伸びにくい。

となると、どれくらいの理解度で読めばいいのかという話になってきます。


(4) 知らない単語が5%以下のマテリアル

※マテリアル:TOEIC本や英検の過去問のみならず、映画・ドラマ・ポッドキャストなども含めて、英語をインプットできるものの総称。

TOEFL満点(TOEIC満点よりも難しい)で、第二言語習得(外国語の学び方)を研究されておられる青谷正妥教授が、興味深い研究結果を紹介されています。


リスニングに関して、日本語の英語学習者の特性に詳しいノートルダム清心女子大学の Rob Waring は、

(1) 内容が90%分かること
(2) 95%の単語が分かること
(3) 途中で音を止めなくても聞けること
(4) 内容が興味を引くこと

を教材の条件としています。(Waring, n.d.-a, n.d.-b)(P. 34)




さらに、未知語について、古川昭夫先生がPaul Nation博士の研究結果を紹介されています。


語学教育の権威である、Paul Nation博士は、多読を通じて新しい語彙を身につけるには、未知語が全体の5パーセント以下の本でなければいけない、と論じています。

つまり、未知語が20語に1語以下であれば、辞書を引かなくても、前後関係からその言葉の意味を高い確率で類推できるというのです。これは実際に、多読指導を行っている私たちの実感ともぴったり当てはまります。(P. 65)

【出典】英語多読法


実は「英語ニュースサイト」で多読を始めた頃は、「Newsela」も800~1000Lくらいの難易度の記事を読んでいたのですが、「未知語が全体の5パーセント以下」を考慮した結果、今は500~700Lの間で読んでいます。

多聴でも、「NHK WORLD TV」のやさしい番組だと未知語が出てきても類推しやすいですが、専門用語が多い(=未知語の割合が多い)番組や、ネイティブが手加減なしで高速で話す番組だと理解度は非常に低いです。


(5) 辞書なしで7~9割理解できるマテリアル

続いて、辞書と理解度について。


まず多読の際には、あまり難しいものを読むのではなく、辞書を引かずにだいたい意味を取れるような比較的やさしいものを選ぶことです。

逆に言えば、辞書を引かないと読めないようなものは、言語習得を進めるには、効率が悪いということです。自然なインプットとはほど遠いものになってしまうからです。(P. 140)




先ほどご紹介した多聴多読学習者のyukoさんも、次のようにアドバイスされています。


「レベルの低い本から始めて無理なく読めるレベルを上げていく」というのが多読の醍醐味なので、逸り立つ気持ちをいったん抑えて、辞書を引かなくても読めるレベルの本までいったんレベルを落とす事が大事です。

【出典】多読10年間のまとめ②


次はまた古川先生です。


多読をする際は、7~9割程度の高い理解度で読むことがポイントになる(P. 97)




注意点としては「7~9割程度の高い理解度」というのは、「1~3割は飛ばしていい or 聞き取れなくていい」という意味ではないということです。

この点については次へ。


(6) 飛ばし読み(聞き)が多いと伸びにくい

リスニング・リーディングが向上してくると、「聞き取れた or 読み取れた単語から類推して内容を理解できる割合」が増えてきます。

ですが、類推できるからと言って、多聴で正確に聞き取れない箇所が多過ぎるマテリアルを聞き続けたり、多読で読み飛ばしてばかりいると、英語力は伸びにくいです。


読書語数が、ほかの生徒に比べてそれほど多くないのに、英語力が伸びている生徒と、語数的にはたくさん読んでいても、その割には英語テストの成績があまり伸びていない生徒がいるのも事実です。

英語力の伸びには、「英文を読んだ量」だけでなく、「英文を読む際の理解度」も大きく関係してくるからです。

つまり、成績が順調に伸びる生徒は、未知語が少ない本を選び、高い理解度で読んでいるのに対し、成績があまり伸びない生徒は、未知語の多い本を選び、低い理解度で、飛ばし読みをして大筋だけを追っているのです。(P.83~84)

【出典】英語多読法


この点は、多聴多読学習者のyukoさんも説明されています。


気をつけなければいけないのは、……レベルの高い本を分かるところだけ拾い読みして意味を繋げるような読み方はしないという事です。

どうしても読みたい本があれば、時にはそのような読み方をする事もあるかもしれません。

ただ、いつも「読めるところ、聞けるところだけを拾って意味を類推する」というようなやり方だけを続けていては、いつまでたっても読めるレベルは上がらないと思います。

【出典】多読10年間のまとめ②

分かる部分だけを拾い読みするのではなく、1ページにわからない単語が2-3個、または新出単語でも文脈から意味が推定出来るような、平易な文章で書かれた本を選ぶと良いです。

オーディオブック多聴についても同じです。聞き取れる部分だけをつなぎ合わせて筋を理解しているのであれば、本のレベルが合っていないと思います。最初は読めるレベルよりも下のレベルの本を選ぶと良いです。

【出典】多読・多聴 わかったつもりになっているだけ・・・?


僕が今、英語学習者向けの「英語ニュースサイト」や「NHK WORLD TV」などの比較的やさしいもので多聴多読しているのは、こういった理由からです。


(7) 自分が興味の持てるものを聞く&読む

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「TOEIC 900点」や「英検合格」が最優先でないのであれば、自分が興味あるものを読んだほうが時間対効果は高そうです。


バーダマン(2013)は興味深いデータを紹介している。彼によれば、自分が「面白い」と思って読んだものは、可もなく不可もなくというものに比べて、インプット率(内容の定着率)が、1.15倍に上がるそうだ。(P. 44)




思ったほど高くないなと(笑) 自分の感覚ではもっと高いような気がするんですけどね。

多読というと「語彙制限本」を思い浮かべる方が多いと思います。語彙制限本は小説が多いので、物語が好きな人にはいいですが、ファクトや人物伝が好きな僕はあまり楽しめなかったんですよね。

そこで、「Newsela」などのニュース&読み物サイトを毎日3,000語以上読むようにしています。

【参考】英語初級~中級者の多読におすすめな英語ニュースサイト


(8) 「聞き流し」による単語数はカウントしない

リスニング力が高い人の話を聞いていると、皆さん常に英語を聞いておられる感じがします。「スキあらば聞く」という感じで、何か他の作業をしながらの「聞き流し」もされています。

ただ、先ほどご紹介したyukoさんもそうですが、何か他の作業をしながら「聞き流し」たマテリアルの単語数はカウントしないほうがいいなと。

自分の経験でも、聞き流しでリスニングが大幅に伸びることはないと感じています。

僕はブログを書きながら、「NHK WORLD TV」や、今まで聞いてきた「Speak UP Radio」などを聞き流すことがありますが、この場合、単語数も勉強時間もカウントしていません。

きちんと聞くことに集中している場合のみ、カウントしています。


(9) 反復したマテリアルもカウントしない

多聴多読をする際は、反復したマテリアルの単語数は含みません

例えば、『TOEIC公式問題集』のVol.6のテスト1回分のリスニングパートとリーディングパートに出てくる単語の総数は約9000語ですが、これを30日間毎日、音読などで繰り返しても、27万語とは見なさず、9000語と計算します。

Newsela」「VOA Learning English」などの「英語ニュースサイト」も、500語で構成されたある1記事を、精読して10日間毎日音読したとしても、500語としかカウントしません。

また、ポッドキャスト「Speak UP Radio」のエピソード「Ep.01 バースディ」のワード数は2416語ですが、これを10回聞いたとしても、2416語とカウントします。

これはなぜかと言うと、「違う文脈で出会う単語の総数」が重要だからです。

【参考】準ネイティブレベルの英語力に到達するのに必要な語彙力


TOEICテスト1回分:約9000語(L4000語/R5000語)
英検準1級テスト1回分:約7000語(L3500語/語彙&読解3500語)

※TOEICのほうは旧形式の公式問題集を数えたときものものなので、新形式だともう少し多いかも。


語数をカウントする際は「WordCounter」にコピペすると自動的に表示されるので便利ですよ。

ただ、反復して聞いた・読んだ「時間」は、多聴多読ではなく、精聴精読としてカウントしています。




 
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