満点も夢じゃない!TOEIC 現在スコア別勉強法 リスニング編

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対象:リスニングが苦手/どう勉強していいか分からず途方に暮れている/リスニング満点をめざしている 
読了:約13分(7543字) 
公開:2019-03/17 
更新:2019-03/19 「聞いて理解できるようにする」追記 

まだ2回だけですが、TOEICのリスニングで満点が取れたので、「どう勉強していけば、リスニング満点に到達できるか?」を現在のスコア別にまとめてみました。

2018年01月にリスニングで満点が取れたときにこの記事を書こうと思ったのですが、もう1年経ってしまい、しかも最近取れてないので、「なんだかなー」という感じですが(笑)、参考になれば幸いです。
 

現在スコア 300点未満

● 聞き取れない4つの原因

英語が聞き取れない原因を切り分けると、主に4段階になります。


Phase 1:音(発音連結・消失)が聞き取れない
Phase 2:意味がつかめない
Phase 3:会話の状況がつかめない
Phase 4:速さについていけない


「Phase」と表記していることには意味があります。Phase 1をクリアしないと、Phase 2にたどり着けないというわけです。

まず、音が聞き取れない(Phase 1)とすべてが始まりません。

例えば、「brochure(小冊子・パンフレット)」の単語の意味を知っていても(Phase 2)、「ブロチュレ」みたいに間違った発音で覚えている(Phase 1)と、リスニングで聞き取れないわけです。
※「brochure(ブロゥシュァ)」に近い。

なので、リスニング力を高めていくためには、まず、「聞き取れる音を増やす」というのが最優先事項になります。

そして、その聞き取れる音を増やすのに有効なトレーニングが、ディクテーションオーバーラッピング(&シャドウイング)です。


(1) テスト1回分をディクテーション

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リスニングが300点未満の方は、英語の発音音の連結・消失のストックがほぼゼロに近いです。

つまり、上述したPhase 1(音が聞き取れる)でつまづいていることが圧倒的に多いんですよ。そもそも、聞き取れない原因がよく分かっていない状態です。

そこでお勧めなのが「ディクテーション」です。

ディクテーションというのは、英文スクリプトを一切見ずに、聞こえてきた音声を紙に書き取る or PCでタイプするトレーニングです。

ディクテーションをやると、聞き取れない(書き取れない)箇所にぶつかったときに、上述したPhase 1~4のどの段階で聞き取れなかったのかが分かるようになります。

というわけで、ディクテで自分が聞き取れない原因を把握し、そして聞き取れない音を認識することから始めることをお勧めします。



A problem well stated is a problem half-solved.
[Charles F. Kettering]
(原因を正確に挙げることができれば、問題の半分は解決している)



お持ちの『公式TOEIC L&R問題集テスト1回分の、Part 1~4のすべてのパートをディクテーションしてみて下さい。

1日1時間しかかけられない場合、数週間はかかりますが、自分は何が聞き取れていないのかが明確になるので、この後にやるオーバーラッピング(&シャドウイング)の効果が倍増します。


使う教材で一番お勧めなのは、2019年の公開テストに最も近い難易度である

ですが、『他の公式問題集や信頼できる模試』をお持ちの方は、それでも全然問題ないです。

ディクテーションの詳しいやり方については、次の記事をぜひ!

【参考】聞き取れない原因が分かるディクテーション!やり方・効果


(2) オーバーラッピング(&シャドウイング)

僕の発音はそんなたいしたことないですが、1万時間の学習経験上、発音がネイティブに近づけば近づくほど、より正確に聞き取れるようになると感じています。

応用言語学者の門田修平教授が著書で説明されていました。


言語音の知覚において聞き手は、その音声を聞くのと同時にそれと平行して、自ら発音(音声産出)をして、その発音とインプットの音声とを照合しながら聞いている……

……聞き手が発音のための運動を行っていることを示す脳領域の活動が明らかになったのです。
このことから、聞き手は実際に声には出さなくても、対応する発音のための運動イメージを形成し、それを聞こえてきた音声インプットに同期させていることがわかります。(P. 24)


単に英語音声を聞いて意味を理解することを繰り返すのではなく、聞き手である学習者の皆さん自身が、音声の聞き取りと同時にその発音を実行するトレーニングを何度も行うことで、大幅な聞き取り能力の向上が期待できるのです。(P. 25)




「発音練習してこなかった人が、発音練習をやるとリスニング力が伸びる」という話をたまに聞きますが、それは...


発音が良くなる
→ 音の解析スキル(Phase 1)が向上
→ Phase 1に必要とされる脳の処理リソースを減らせる
→ その余ったリソースをPhase 2~4に回せる
→ リスニング時の処理の精度と速度が向上


ということかなと推測しています。


というわけで、『公式問題集や信頼できるTOEIC対策本』のディクテーションで音の解析をし終えたら、MP3・CD音声に合わせて、オーバーラッピング(&シャドウイング)していきましょう。

オーバーラッピングというのは、音声に合わせて、スクリプトを見ながら声に出すトレーニングです。

最初の1週間は毎日、SONYのMP3ウォークマンなどで0.7~0.9倍速のスピードで、英文スクリプトを見ながら。

次の1週間はノーマルスピードで。翌週からは、通勤通学・昼休みなどのスキマ時間に、0.7~0.9倍速シャドウイング(スクリプトなし)をお勧めします。

オーバーラッピング(&シャドウイング)し終えた音声が増えれば増えるほど、発音音の連結・消失のストックが増える → Phase 1のスキル向上 → 聞き取れる割合も増えてきますよ。

詳しいやり方については、次の記事を!

【参考】シャドウイングとオーバーラッピングの違い、効果的な学習方法と注意点


● 将来、英会話をやる方へ

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「TOEIC 800~900点超えたら英会話にswitchする予定だけど、スコアはそんなに急いでいない」という方は、『英語耳』などで発音練習を1~3ヶ月やっておくことを強くお勧めします。

理由は3つあります。


発音練習をしておかないと、

(1) 将来、英会話で自分の発音が通じないで苦労する
(2) リスニングでも聞き間違いが多くなる
(3) 一度身についてしまった発音の矯正は大変


日本人アクセントが強いと、相手に一発で聞き取ってもらえなかったり、何度も言い直す必要が出てくるので、意思疎通に時間がかかり、時間のムダが増えます。

また、リスニングでも例えば「クラウド」と聞こえてきたときに、「crowd」か「cloud」かで脳が一瞬フリーズし、それ以降、数秒聞き取れないという状態が続きます。

僕はそこそこ発音練習をやってきた部類に入ると思いますが、それでもいくつかの音をテキトーに練習していたので、今その矯正に苦労しているんですよね(;´∀`)

なので時間に余裕があるなら、まずは発音練習から始めることをお勧めします。

【参考】やらない人は損してる!発音を学ぶことで得られる4つの効果



現在スコア 300点台

(1) 脳内ディクテーション

リスニング300点台に入っても、一発でパッと聞き取れない音はまだまだたくさんあると思います。

ですが、300点未満の頃に比べると、Part 1・2では聞き取れるセットが増えてきたり、Part 3・4でディクテーションしてもある程度書き取れるようになってくると思います。

書き取れる割合がけっこう増えてきて、聞き取れない箇所が出てきたときに上述したPhase 1~4のどれが原因かが音声を何度か聞くだけで分かるようになってきたら、脳内でやるディクテーションに切り替えていきましょう。

書き取る or PCでタイピングする必要がなくなるので、トレーニングにかかる時間が短縮できます。

【参考】TOEICリスニング満点を取るのに役立った「脳内ディクテーション」


(2) 公式1冊分のPart 3・4を暗唱

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リスニング300点~400点くらいになると、「Part 1・2(アビメのL1とL3)はまだ何とかなるけど、Part 3・4(L2とL4)がボロボロ」という状態になる可能性があります。

問題を解いているときは(初見では)一発では聞き取れないけど、何度か聞くと理解できるし、ディクテをやるとけっこう書き取れる」という状態になってくるはずです。

これはPhase 1(音が理解できない)よりも、Phase 2(意味が理解できない)やPhase 3(会話の状況が理解できない)が原因になってきます。

これを解決してくれるのが、Part 3・4の会話・トークの暗唱です。

はい、そこ!ブログ閉じない!ヾ(゚Д゚ )

確かに、暗唱は面倒です。古典的です。

ですが、応用言語学者である白井恭弘教授も勧めておられるんですよね。


……外国語学習においてネイティブに近くなった「例外的成功者」が、共通して記憶ストラテジーに頼っている、ということも、例文暗記の効用を示唆しています。(P. 116)

例文暗記の効用
……実は日常言語のかなりの部分が決まり文句で構成されている、という研究もあります。

第二言語のデータベースを増やし、自然な表現を身につけるために、……例文、ダイアローグなどを暗記することが効果的でしょう。(P. 167)




リスニング力が上がってくると、どのパートにも、そのパートによく出る、会話やトークのパターン&決まり文句があることが分かってきます。

リスニングで満点が取れるレベルになると、そのデータベースがかなり豊富にあるので、最初の1文を聞いただけで会話の流れが予想できるようになります。

こういうことができるようになってくると、8割くらいの問題は瞬殺できるように。


そしてその会話やトークのパターン、決まり文句を効率的に増やせるのが暗唱なんですよ。

実際、暗唱を実践された方から、スコアアップ報告をいただいています。

ひろりーなさん L445点
唯さん L450点
りょーさん L450点
コウセイさん L495点
syariさん L455点
ていじぇいさん L435点
ひょうたんつぎさん L470点
まめだいふくさん L450
孫太郎泰親さん L460点
164さん L470点

暗唱は、一見遠回りに見えて、実は最も効率的なトレーニングだと考えています。

【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!



現在スコア 400点前後

(1)「聞いて理解できる」ようにする

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リスニング400点前後のレベルで伸び悩んでいる場合、 英文スクリプトを見ながら音読オーバーラッピング)している時間が長過ぎる可能性があります。

これでは、「"読んで"理解できる」状態のままで止まってしまいます。

もちろん、英語の音と文字が一致しない場合は、必ず英文スクリプトで確認すべきです。「なんて言ってるんだろう?」と思いながら、英文スクリプトで確認せずに音読し続けても、聞き取れるようになる確率はかなり低いので。

ただ、常にスクリプトを見ながら英語を聞く(オーバーラッピング)ばかりだと、「聞いて理解できる」ようにはなりにくい = リスニング力は向上しにくいです。2011~2012年頃、リスニングが伸び悩んだのですが、これが原因だったんですよね。

リスニングが苦手な人は、英文スクリプトを見ずに、英語を「聞いて理解できる」ようになるまでトレーニング(脳内ディクテーション and/or シャドウイング)していく必要があります。

「聞いて理解できているかどうか」の基準の1つは、シャドウイングできるかどうか。

完璧な基準ではないのですが、少なくともシャドウイングが余裕でスラスラできる=音はしっかり聞き取れている、という証になります。

"日本語"のニュースを"日本語"でシャドウイングすれば、誰でもできるはずです。これは日本語の音は完全にマスターしているからです。

【参考】シャドウイングとオーバーラッピングの違い、効果的な学習方法と注意点


(2) 毎日何問か解く

リスニングで400点を超えてくると、「問題を解くスキル」もスコアに大きく左右するようになってきます。

マークがズレていて撃沈、先読みのリズムが崩れて撃沈とかは「あるある」です。

なので、マークシートを使って毎日何問か解いていくことをお勧めします。効果は4つ。


毎日問題を解くことで...

(1) 問題を解くのに慣れる
(2) Part 3・4の先読みに慣れる
(3) 本番のマークミスの確率を減らせる
(4) 会話・トークのパターン、決まり文句、言い換えのデータベースを増やせる


問題集としては、まずは『公式TOEIC L&R問題集5冊』を終わらせ、その次は




などの定評のある模試を解いていくといいと思います。


もともとリスニング力がある方だと、毎日解くだけでもリスニング450点を超える可能性があります。

ただ、いろんな読者さんと話してきた感じでは、そういう方は少ないなと。結局、問題を解くだけでは、リスニング力はほぼ伸びないからです。

ETSは「だいたいは聞き取れるけど、細部を聞き取れない、正確に聞き取れない中級者」と、「細部まで正確に聞き取れる上級者」を分別するための設問を、絶妙なさじ加減でテストに忍ばせています。匠の技が光る。

なので、リスニング450点~満点を取ろうと思うと、細部まで正確に聞き取れるようにしていく必要があります。


(3) "苦手"をつぶしていく

というわけでは、僕はこの数年間、自分が聞き取れなかったもの、LRでよく出会うけど苦手な文法・構文・フレーズをひたすらつぶしてきました。

Part 3・4で、会話・トーク全体が理解できなかったものは、上述した暗唱が効率的だと思います。

ですが、Part 1・2のように短いものは暗唱しにくいですし、Part 3・4も「ほとんど聞き取れたけど、この1文だけ理解できなかった」といった場合に、全文を暗唱するのは非効率に感じます。


● Anki × 瞬間英作文

anki-website.jpg

そこで僕は、フラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki」を使って、自分の苦手なものを「瞬間英作文」でつぶしてきました。

フラッシュカードアプリのカードの裏(下段)に、自分が間違えた問題の英文や、苦手な文法・フレーズを含む英文を入れ、カードの表(上段)にそれに対応する和訳(主に逐語訳)を入れます。


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※詳しくは「Anki瞬間英作文を快適化するコツ」を参照下され。


カードの表(上段)だけを見て瞬間英作文(和→英)をしていきます。

ちなみに、Ankiは忘却曲線の仕組みを利用しているので、効率的に覚えていくことができるのも強みの1つ。

そして、150~180 wpm(Part 1・2のナレーター)くらいの速さでスラスラと言えるようになるまで瞬間英作文を繰り返すと、"音読やシャドウイングをしただけ"のときよりも、クリアに聞き取れるようになると感じています。

この6年間で、オンライン英会話2000回以上瞬間英作文2万文以上をこなしてきた経験では、瞬時にスラスラと正確に作れる英文は、リスニングでも瞬時に正確に聞き取れるなと。

Anki瞬間英作文」だと、意味がつかめなかった(Phase 2)or 会話の状況がつかめなかった(Phase 3)場合に、1つの単語、1つのフレーズ、1つの文というピンポイントでトレーニングしていくことが可能なんです。


特に2016年から、自分が苦手な(=瞬時に理解できない)もの...


疑問文
Part 2に多い否定疑問文
あらゆる否定構文(準否定・部分否定も)
仮定法
関係詞
比較
Part 2の距離が遠い間接応答問題


など、このAnki瞬間英作文でひたすらつぶしてきました。2019年03月現在、TOEIC関連のカード数(=英文数)は、890枚になりました。


リスニング満点を取る勉強法はたくさんあると思いますが、僕がリスニングで2回満点が取れたのは、このAnki瞬間英作文と脳内ディクテで、自分の弱点をひたすらつぶしてきたからです。

「苦手なものだけを効率的につぶしていきたい」
「多解きはしたくない」
「音読やシャドウイングで伸び悩みを感じている」

という方は、Anki瞬間英作文を試してみてはいかがでしょうか?(・∀・)b

【参考】瞬間英作文を超効率化するフラッシュカードアプリ「Anki」



現在スコア 450点前後

(1) 多解き

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リスニング450点前後になったら、満点を急いでおられる方は「多解き」をお勧めします。

僕みたいに、英会話多聴多読を並行していると、かなり歳月がかかります。

特にリーディングが厳しいです。"多読のみ"だと、TOEICによく出るビジネス文書・メール・手紙・広告・履歴書などに必要な語彙力が身につきにくいなと。

2019年03月現在、僕の多読量は209万語ですが、全然足りないと感じています。おそらく1000~2000万語くらいは要るんじゃないでしょうか。なので、満点を急ぐのであれば、多聴多読のみで満点を狙うのは非効率だなと。


満点ホルダーの方々に話をお伺いしていると、月に10~30模試くらい解いておられる印象があります。つまり1~3日に1模試のペースで解く。

それでも、900点取得後に多解きを開始して満点を取るまで、1~3年はかかるっぽいです( Д) ゚ ゚

【参考】TOEIC 990点満点を獲るための勉強法


(2) 洋画・ドラマで多聴

逆に、スコアを急いでおらず、「洋画・ドラマ、ネイティブ同士の会話も聞き取れるようにしていきたい」という方は、なるべく生に近いマテリアル(教材)を使って精聴脳内ディクテシャドウイング)&多聴をしていくことをお勧めします。

【参考】英語「超」上級者は例外なく多聴多読していた件


リスニング450点レベルの方は気づいておられると思いますが、TOEICに特化してリスニング満点が取れても、洋画やドラマは聞き取れるようにはならないですし、ネイティブ同士の会話にもついていけません

【参考】TOEICに特化して取った900点は「初級」だった件


なので、「英語講師をめざしているのでTOEIC満点がどうしても欲しい」などの特別な理由がなければ、洋画・ドラマなどでの精聴&多聴に切り替えていくことをお勧めします。

僕は2017年頃から、主に次の5つのマテリアルで、精聴&多聴をしてきました。


映画・海外ドラマの発音練習本(精聴)
NHK WORLD TV(多聴)
ネイティブYouTuberの動画(精聴・多聴)
● ポッドキャスト「Speak UP Radio」(精聴&多聴)
● ドラマ「Friends」(精聴&多聴)


それぞれに pros and cons(メリットとデメリット)があると感じています。詳しくは各リンク先(オレンジ)を参考にして下さい。




 
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