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公開:2020-10/17
先日、YouTubeを視聴していたとき、純ジャパYouTuberのVellさんという英語ペラペラの方が、ご自身の勉強法をシェアして下さっていて、いろいろ反省されられることがあったので、感じたことをまとめてみました。
Vellさんの動画で反省した2つのこと
「英語で独り言」の量が全然少なかった
Vellさんはこの動画の2分50秒で、次のように仰ってます。
私は一人でいるときは、ず~っと英語をしゃべっているの!ず~っと!
Vellさんは「一人アウトプット」と仰ってますが、この英語で独り言をやることで、スピーキングの流暢さを促進させることができます。
僕は科学者でも何でもないですが、英語で独り言は脳科学的な視点で見ても理にかなっているんじゃないかと個人的に考えています。
もっとも効果的な勉強法とは?
入力を繰り返すよりも出力を繰り返すほうが、脳回路への定着がよい(P. 166)
私たちの脳は、情報を何度も入れ込む(学習する)よりも、その情報を何度も使ってみる(想起する)ことで、長期間安定して情報を保存することができるのです。(P. 169)
つまり、
→思い出した英文の記憶が強化される
→その英文を思い出すスピードが速くなる
→その英文が口から出てくるスピードも速くなる
というメカニズムなわけです。
応用言語学者の白井恭弘教授も、著書で次のように述べられています。
スピーキングの自動化について
SLA(Second Language Acquisition・第二言語習得)研究者の間で、アウトプットの効用については、いろいろ意見の違いがあります。それでも、アウトプットが「自動化」につながるということに異論をはさむ研究者はいません。
母語を話していても、言葉がうまく出てこないことはあります。外国語の場合はなおさらで、単語が思いつかないなどというのは、日常茶飯事です。
単語、表現を思いつくスピードを上げて、母語話者のように自動的に話せるようにするには実際に話す練習をすることが役に立ちます。(P. 124)
僕も2018年に英語で独り言の重要性に気づいて始めたのですが、Vellさんの動画を見て、僕の独り言は全然甘かったなと。ハーゲンダッツの5倍くらい甘かった。
Vellさんのように、一人でいるとき常に英語を話すという意識はなかったなと。猛反省ですよ。
Vellさんは18歳のときに英語を本格的に学び始めたそうなんですね。
普段、女性に年齢を尋ねるなんて無粋なことは一切しない人なのですが、ど~~しても気になったのでWikipedia先生に確認したら、2020年現在御年27歳だそうです。
つまり、9年間でこのレベルに到達されている!
僕は2010年から本格開始しているので、僕とあんまり変わらない頃に始められているのに、僕よりも圧倒的に話せている。なんじゃこりゃ━━━( ゚д゚ )━━━!!!
僕もオンライン英会話を7年間、2795回受けてきたので、それなりに話せるようにはなってきたと思います。
ですがッ!
Vellさんの他の動画もいろいろ拝聴してみて、流暢さ、発音、語彙やフレーズの自然さ、あとおそらくリスニング力も圧倒的にVellさんのほうが上なんですよね。
他の人と英語力を比較するのは、精神衛生上よくないです。英語を始めた時期が同じでも、英語に費やせる時間は人それぞれ違いますし、英語力って単純に比較できるものでもないですし。
Don't compare your Chapter 1 to someone else's Chapter 20.(自分の第1章と、他の誰かの第20章を比較してはいけない)
でも、なんかこう悔しいわけですよ!(≧д≦)q
英語で独り言をもっと早くから取り入れて、常に英語をつぶやくようにしていたら、今頃もっと流暢化していただろうなと。なので、英語で独り言をまだされていない方は、ぜひ始めてみて下さい!
詳しくは次の記事で説明しています(・∀・)b
【参考】オンライン英会話 スピーキングの流暢さを促進する「英語で独り言」
「憑依ング」してなかった
Vellさんはディズニーが大好きだそうで、台詞が収録された本でトレーニングをするそうです。
そのキャラクターになりきって、台詞を読むわけよ!すごい楽しいの!
昔、TOEIC講師のヒロ前田先生が、TOEIC Part 3・4の会話・トークの暗唱をするときに、「憑依ングが大事」的なことを仰ってたんですよね。オーバーラッピング、シャドウイング、コピーイング、そして、憑依ング。
ただの音読や暗唱ではダメで、話者が憑依してきたかのようになるまで音読・暗唱を繰り返す。Vellさんのこの台詞読みはまさに、憑依ングだなと。
個人的には、短期間で多少話せるレベルに到達させようと思うと、瞬間英作文と自分説明書の作成&暗唱が最も時間対効果が高いんじゃないかと考えています。
ですが、この世のすべてのフレーズや文をガリ勉でガツガツ覚えて維持し続けるのは不可能なわけですよ。
ではどうするか。
洋画やドラマやアニメなどの何かストーリーがあるものを徹底的にシャドウイングしたり、憑依ングしたりして、場面ごとインプットしてしまうのが、長い目で見ると効率的だなと。
結局、英語であれ日本語であれ、会話って決まり文句からできているなって感じるんですよ。
ありがとう!
→いえいえ!
ごめんね!
→気にしないで!
とんかつとんかつ
→KYK!
みたいに、「こう言われたら、基本的にはこう返す」っていうパターン、決まり文句があるんですよね。で、場面で覚えてしまえば、エピソード記憶で自動的に思い出せるようになるので、1つ1つガツガツ覚えていかなくてもいい。
彼(ロンドン大学のピーター・スキーアン)は……、例外的に思春期をすぎてから成功した学習者に共通する特質は、高い記憶力だという一般化を提案しています。
つまり、大人の学習者がネイティブのように話せるようになるには、ルールを覚えてそれを適用するよりも、膨大な数を覚えて使いこなすことがより重要なようです。
これは、……我々の話すことはかなりの部分が決まり文句からなっている、という現実もあり、このような学習方略が「ネイティブらしさ」につながるのでしょう。(P. 61)
英会話である程度話せるようになると、今度は「なんか自分の英語は日本人くさいな。もっと自然な英語、ネイティブらしい英語が話せるようになりたい」という欲が湧いてきます。
こういうのって言語学習者みんな共通の理想みたいで、HelloTalkを見ていると、「もっと日本人みたいに流暢に、自然な日本語を話せるようになりたい」という外国人がめっちゃいる(笑)
で、Vellさんの英語って、自然でネイティブらしくて違和感がないんですよね。少なくとも僕のスピーキングよりもはるかに自然。
これって、やはりVellさんが好きなディズニー・映画・海外ドラマを何度も観て真似されてきた結果だと思うんです。
なので、自然でネイティブらしい英語が話せるようになりたいのであれば、ネイティブの会話が視聴できるマテリアルで憑依ングしていくのが大事だと、Vellさんのこの動画を観てあらためて痛感した次第です。
再確認したこと
ディズニー最強説
薄々感じていたんですけど、Vellさんのこの動画を観て、やはりディズニーアニメは、英語学習において最強のマテリアルだなと。● 普段の英会話で使えるフレーズが圧倒的に多い
● 内輪ネタが少ない
● 卑猥なシーン、暴力・グロいシーンがない
TOEICや英検から卒業してすぐにディズニーに入ると知らない単語だらけなのですが、洋画やドラマやネイティブの英語をいろいろ聞いた上であらためてディズニーを見ると、決まり文句のオンパレードだなと。
やはり子供向けなので、やさしい単語・フレーズが多い。また、専門用語が少なく、普段の会話で使える単語・フレーズが多いんですよね。
次に、洋画やドラマを観ていると、アメリカの文化(商品・俳優など)を知らないと笑えないシーンとかけっこうあるわけですよ。でもディズニーはそういうのって少なめだなと。確かに世界中でヒットさせようと思うと、内輪ネタはよくないでしょうしね。
あと、アメリカの映画やドラマって、卑猥なシーン、暴力・グロいシーン多くないですか?
僕も男子なんで、卑猥なものに興味ないなんてことはないですが(笑)、英語にそういうものは求めてないわけですよ。あと、夜寝る前に、振り向いたらゾンビがドーンとか、血しぶきブシャーとか観たくないんですよ。
「プリズン・ブレイク」とか「スーツ」とかドキドキする系も、一度観始めると先が気になるので、ずっと見続けてしまうのですが、夜ふかし気味になってしまいますし、見た後は疲れるんですよね。
「こんなウソばかりつき続ける生活とか絶対しんどいわー」と思いながら観ていると、しんどくなってきて、途中で見るのやめちゃいました。
こういったことを考慮すると、ディズニーアニメって素晴らしいマテリアルだなと。ディズニーが好きな人って、英語学習者として恵まれています。英語をやるために生まれてきたと言っても過言ではないくらい。僕はZootopiaくらいしかないので、うらやましい。
上級者をめざすなら文法学習は必須
1つ意外だなと感じたのが、けっこう文法を勉強されてきたという話。私の場合、もう完璧に英語がしゃべれるようになりたかったから、文法もすごい勉強したのね。だから文章書くときとかも、文法はすごいしっかり気にするし。
……文法はTOEFLのテスト用の問題集みたいなのを一冊買って、それでけっこう網羅できるような内容だったから、当時図書館行って、1日8時間くらいずっと文法勉強してた。
けっこう短期間でガーって詰め込んだんだけど、すごい燃え上がってたから、そのときやったことは今でも覚えているし、あー文法しっかり勉強してよかったなーってけっこう私は思ってる。
何となく、洋画や海外ドラマ派、多聴や多読派の人たちって、「文法なんかクソ喰らえだぜ!キャッホー!」みたいな人が多い先入観があったので意外だなと。ひどい偏見だ(˜∀˜;)
僕の場合、文法は特にTOEICで鍛えられたのですが、勉強してよかったと思っています。今でも、Weblioで語法をチェックしたり、オンラインで文法を確認することは多々ありますね。
実際、大きくなってから外国語を学び始めた人は、文法学習って大事らしいんですよ。言語学者の白井恭弘教授が著書で、ピッツバーグ大学のロバート・ディカイザー教授の調査結果を紹介しておられます。
ピッツバーグ(アメリカのペンシルバニア州南西部にある都市)周辺のハンガリー人のコミュニティで自然に英語を習得した人々の英語力と、文法分析能力の適正の関係を調べました。
結果は、十六歳以降にアメリカに移住した人については適性テストの得点が高い人だけ、つまり文法分析能力の高い人だけが英語ネイティブに近いレベルまで達した(P.63)
そんなわけで、大人の方々で上級者をめざすのであれば、文法をきちんと勉強することをお勧めします。
【参考】英文法が苦手な人にこそ読んで欲しい!おすすめ文法書8選と勉強法
スピーキング力 ≠ 英語コミュニケーション力
一人アウトプット、洋画やドラマの視聴、台詞読みなどの勉強法を紹介されてきたVellさんですが、最後に英会話の重要性について触れられていました。実際に人と話すスキルは、人と話すことでしか培われないのね。
昔、ある英語講師の方に、オンライン英会話なんてムダみたいな感じでからまれたことがあるんですが、人と話す機会を作るってすごく大事だと感じています。
暗唱や瞬間英作文や洋画・ドラマの視聴でインプットして、英語で独り言でアウトプットしていれば、英会話をやらなくてもスピーキング力自体は伸びます。
ですが、会話をやらないと、自分のスピーキングがきちんと通じるかは分からないんですよね。実際に会話することで、「あーこの表現は通じないのか」とか分かることが多々あります。
また、日本語と英語のコミュニケーションって異なる部分も多そうだなな最近よく感じるんですよね。
例えば先日、HellTalkでカナダ人の女性が「日本人は、あいづちがすごく多いけど、自分が話しているときに、あいづちが多いと、話の邪魔をされているような気分になる」と言っていました。
この話、わりと聞くんですよね。そして自分もきっとやっちゃってる。
【参考】その相槌、海外ではマナー違反かも? | English Lab
こんな感じで、英語コミュニケーション力は、いろんな人の会話を見聞きして、実際に自分でも会話をしていくことで磨かれていくので、非常に大事だと感じています。
僕はオンライン英会話のネイティブキャンプ

【参考】レッスン受け放題の「ネイティブキャンプ」を2年やってみた

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