
推奨:TOEIC 800点以上/英検準1級以上
読了:約7分(4327字)
公開:2022-07/15
更新:2022-08/03 一部加筆・修正
関連:NHK WORLD TV 7つの効果 - お勧め番組 / 多聴多読
NHK WORLD TVは、TOEICをメインで勉強してた2010年頃から観てきました。
最初の頃は、TOEIC Part 3・4を初めて聞いたときと同じように、「あ……なんか…英語が流れてる…」という絶望先生的なレベルで、たまに単語が聞き取れて喜ぶみたい感じでした。
TOEIC 900点を超えてから、そこそこ聞き取れるようになり、英検準1級を取ってから、「だいたい理解できる」という番組がかなり増えたのを覚えています。
今では音的に聞き取れる割合は9割以上、意味的に理解できる割合は番組によって異なり、7~9割といった感じです。
NHK WORLD視聴歴10年以上の僕が独断と偏見で、お勧めの番組とその内容・難易度などをご紹介していきたいと思います。
ちなみに、NHK WORLDがお勧めな理由・メリットについては「「NHK WORLD TV」が中級者の多聴に最適な7つの理由」をぜひ。
それでは参りましょう!
オンデマンドは永遠じゃない
最近のNHK WORLDの番組はオンデマンドで見られるものが増えてきましたが、残念ながら期限付きです。
古いエピソードから徐々に消えていくので、古いエピソードから観ていくことをお勧めします。
【参考】Programs | NHK WORLD-JAPAN
初級~中級者
比較的語彙が易しく、話すスピードも200 wpm以下の割合が多いと感じる番組です。
TOEICリスニング400点と英検準1級リスニング素点7割の2つあると十分楽しめると思います。
Dining with the Chef

日本食の料理番組です。
食材・料理・調理器具に関する語彙が身につき、美味しい料理を作るコツや技も学べる、一石二鳥な番組です。特に毎晩自炊するようになってから、非常にお世話になっています。
パックンの話すスピードはやや速めですが、早見優さんとシェフはゆっくりで簡単な英語を話してくれます。
インタビュー系の番組と違って、料理番組は映像とともに各作業を英語で説明してくれるので、「なるほど、”かき混ぜる”は英語で”stir”というのか」という風に、英語のままで理解して覚えやすいのが最大のメリットかなと。
最初は耳慣れない語彙が多いと感じるかもしれないですが、料理番組はチャンク(決まり文句)の割合が多いので、他の番組と比べると、わりとすぐに「だいたい分かるレベル」に到達できると思います。
【参考】言語学者「英会話の約7割を占める決まり文句(チャンク)を覚えよう」
TOEIC 900点と英検準1級を取っても、食材・料理に関する語彙があまり身につかなかったのですが、この番組と後述する「Trails to Oishii Tokyo」で身についてきました。
ですが、ただ観てるだけだと、なかなかアクティブ化し(スピーキングで使えるようになら)ないんですよね。
なので最初の頃は、「これは英会話で使えるようにしたい!」と思った語彙やフレーズは、フラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki/AnkiDroid」にカード登録して、瞬間英作文で反復練習し、オンライン英会話で使うようにしてきました。
Document 72 Hours

毎回いろんな場所にカメラクルーが訪れて、そこに訪れる市井の人たちをインタビューする番組です。
笑いあり涙ありで、個人的に最も好きな番組の1つです。誰もがみんな過去に、もしくは現在進行形で辛い人生経験があり、それでも頑張って生きている。自分も頑張ろうと思わせてくれるんですよね。
メインの優しい落ち着いた声で話してくれるナレーションのお姉さんはで、少し速いと感じるかもしれません。
日本が舞台の番組で、「英語音声のみのナレーション」と「日本語音声+英語字幕の会話」というパターンで構成されているので、比較的理解しやすい番組の部類に入ると思います。
「日本語音声+英語字幕の会話」は、「なるほど、日本語の◯◯は、英語で□□と表現すればいいのか」というのが分かりやすいです。
また、インタビューされる人の見た目や行動が英語で描写されるので、写真描写トレーニングにも少し役立つことに最近気づきました。
オンデマンドは一応ありますが、3週間くらいで消えていくのでご注意。
Somewhere Street

毎回世界のどこかの通りを歩く旅番組です。
スピーキングの流暢さを伸ばすためには英語で独り言を日常生活に取り入れる必要がありますが、この番組を頻繁に見ていると、英語で独り言のやり方が感覚的につかめてきます。
また、通りを歩いているときに見える人の動作や風景を英語で描写してくれるので、オンライン英会話の写真描写レッスンで使える語彙を増やすのにも最適だなと。
全体的には会話・独り言・状況描写が中心なので、比較的聞き取りやすいですが、途中の「Information Corner」での街の歴史の説明は少し語彙の難易度が上がるなと。
ちなみに、英検準1級リスニングの説明文問題には歴史のトピックがよく出るので、親和性が高いと感じています。
説明文問題の音声でシャドウイングしてきたことで徐々に聞き取れるようになってきました。
Trails to Oishii Tokyo

毎回1つの食材を収穫・捕獲するところから始まり、歴史について説明され、料理されるまでが描かれます。その食材に関連する語彙が芋づる式に学べます。
この番組も、日本人と話すシーンでは「日本語音声+英語字幕」が多く、全体的に会話がメインなのでわりと理解しやすいと思います。
ただ、ナレーションの方は回によって異なり、速く話す方もおられます。また、歴史の説明の部分はやはり語彙レベルが上がります。
余談ですが、リポーターの1人であるスウェーデン人のJanni Olssonさんが好きです。
Where We Call Home

日本で働いている外国人にスポットライトを当てたドキュメンタリー。ひとことで言うと、「Youは何しに日本へ?」のNHK版。
ナレーションパートは英語音声ですが、そのフィーチャーされている外国人の方が英語圏出身でない場合の会話パートは日本語字幕という構成です。
毎回違う業種・職種の人が出てくるので、そこそこのリスニング力に到達するまでは、聞き取れる回と聞き取れない回が出てくるかもしれません。
また、日本には2.64万人の外国人(総人口の約2%)が住んでいますが、
● 移民の人たちの状況
● 日本で働くことの大変さ
● 日本で働く理由
などが分かるので勉強になります。
日本の伝統工芸の技術を後世に残したいオーストラリア人、祖国に日本の優れた農業技術を持ち帰りたいブータン人など、さまざまな外国人がいるんだなと。
中級~上級者
話すスピードが速い割合が多く、全編英語音声で日本語字幕はない場合が多く、難易度が高めの語彙がたくさん出てくる番組です。
2022年07月現在、英検準1級過去問リスニングを解いていると素点は8~9割で、NHK WORLDは音的に聞き取れる割合は9割以上、意味的に理解できる割合は7~9割といったところです。
聞き取れた単語やフレーズから類推している割合も多いと感じています。まだまだ修行が足りない。
英検で学べる語彙はNHK WORLD TVによく出てきますし、英検のナレーターさんたちもNHK WORLDによく登場されるので、ホント親和性高いなって思います。
Lunch ON

「突撃となりの昼ごはん」という感じの番組です。
上述した番組と比べて、ナレーションのお姉さんが少し早口かなと。
一方、日常会話が中心なので語彙は易しめです。ただ、日本人同士の会話も英語音声で吹き替えられますし、全体的な難易度は少し上がる気がします。
The Professionals

「プロフェッショナル仕事の流儀」の英語版。仕事との向き合い方や姿勢について、さまざまな業種・職種のプロから、いろんなことが学べ、とても inspire されます。
会話パートと、UK女性のナレーションパートで構成され、割合的には半分ずつという感じです。
会話パートの語彙はやさしめですが、US男性ナレーターの場合、200 wpmを超えることもあるのでそこそこ速いと思います。
ナレーションパートのUK女性は比較的ゆっくり話されますが、詩的な表現が使われるため語彙レベルは少し高めかなと。最近ようやく8~9割理解できるレベルになってきた感じです。
この番組も毎回スポットライトが当たる業種・職種が変わるので、語彙レベルが高い回もあります。
医者とかシェフの episodes もありますが、それよりもゴミ回収業者、バスの運転手、販売員、空港職員、土木技師など、他の番組ではスポットが当たりそうにない業種・職種の人たちの episodes のほうが興味深いです。
こういう真面目に働いている人たちのお陰で日本はまわってるんだろうなと。感謝する気持ちが湧いてきます。
RISING

主に社会問題の解決を行う事業をする企業家に焦点を当てた番組です。「ガイアの夜明け」と「カンブリア宮殿」を足して2で割った感じかなと。
TOEICと親和性が高いと感じています。また、英検準1級リスニングの説明文問題にもビジネスに関するトピックがよく出るので、TOEIC 900点と英検準1級を取るとけっこう理解できるようになるはずです。
Today's Close-Up

「クローズアップ現代」の英語版です。日本の社会問題や最新トレンドを掘り下げる番組。
毎回内容がかなり異なるので、難易度が異なるかもしれません。
日常会話は少なく、ナレーションやインタビューが中心で、専門用語もよく出てくるので、語彙の難易度は高めだと思います。
Science View

最新の科学技術について学べる情報番組。
MCのお姉さんはゆっくり話してくれますが、全体的には少し速めだと思います。
科学に関する専門用語がところどころ出てくるので、「ほぼ理解できるレベル」をめざすとなると、NHK WORLDの中では最も難しい部類に入るかもしれません。
また、英検準1級の説明文問題は科学系のトピックもよく出るので、Scinence Viewとの親和性が高く、英検準1級を取ると聞き取れる割合がかなり増えます。
ちなみに、科学系がお好きなら、YouTubeチャンネル「Learn Bright」もお勧めです。
Medical Frontiers

最新の医療技術や健康情報について紹介する番組です。
MCのイギリス人のお姉さんは比較的ゆっくりですが、ナレーターさんはそこそこ早口です。
また、メカニズムを説明するシーンに入ったときはかなり高度な専門用語が出てくるため、Scinence View同様、語彙レベルはかなり高めになります。
ただ、この番組も英検準1級と親和性が高いです。
BIZ STREAM

世界の最新の経済やビジネス、日本の最新のビジネスやトレンドを紹介する情報番組です。
メインMCのShaulaさんは非常に聞き取りやすい発音ですが、けっこう早口だと感じます。他のキャスターさんたちやナレーションも全体的に速いなと。
加えて、専門用語もけっこう出てきますし、特集されるジャンルによっては語彙レベルもかなり高いです。
ビジネスなのでTOEICとある程度親和性があります。TOEIC 900点あればそこそこ聞き取れるようになるはず。
インタビュー系は難しい
どの番組にも言えることですが、説明のVTRなどが一切流れず、フィーチャーされている人や専門家がただインタビューに答えているシーンは難しいです。
例えば、豊洲の競りの映像が流れていて、「auction」と聞こえてきたら、「"競り"は英語で"auction"というのか」と気づける可能性は高いと思います。
ですが、競りの映像が流れず、インタビューされている人がただ話していて、その話の中で「toyosu」と「auction」という単語しか聞き取れなかった場合、「え、豊洲ってオークションに出されるの?!」と勘違いしてしまう可能性もあるかと(笑)。
なので、インタビュー系は映像の助けが一切なく純粋なリスニング力が要求されるという点で難易度は上がります。
NHK WORLDを多聴するには?
かつての僕もそうでしたが、英語初心者の方がNHK WORLDで多聴しても、おそらくほとんど聞き取れないと思います。
特別なこだわりがなければ、TOEIC 900点と英検準1級を取るのをお勧めします。僕はこの2つを取ってから、聞き取れる英語の範囲がかなり広がりました。
詳しくは「「NHK WORLD TV」が中級者の多聴に最適な7つの理由」をお読み下さい。

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