科学研究「英語学習は結局、反復練習が大事やで」

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対象:反復練習がつまらない/多聴多読で伸び悩みを感じている/TOEICでスコアが伸び悩んでいる
推奨:全レベル
読了:約8分(4671字)
公開:2021-01/23
関連:検索練習 / 分散学習 / 反復練習 - 多聴多読の注意点 - TOEICスコアが伸びないパターン

 

なぜ反復トレーニングは大事なのか?

反復で記憶の正確さ・速さ・安定さが向上する

まずは世界の「才能開発所」を回って得た知見をまとめた、アメリカのベストセラー作家の本と、脳科学者の篠原菊紀教授の著書から。


繰り返しに対する世間の評価はすこぶる悪い。実際、繰り返しというと、単純で退屈なためにやる気をなくしてしまう人が多いのが現状だ。

しかしそういう姿勢は見当違いもはなはだしい。

繰り返しはスキルを伸ばすためにもっとも効果的な方法である。なぜなら、脳の神経回路を高速かつ正確にするからだ。(P. 142)


ミエリンは絶縁体である。つまり、絶縁テープが電線を包み込むのと同じ理屈で、ミエリンは脳の神経回路を包み込む役割をしている。それによって信号(神経パルス)の伝達速度を速め、漏電を防ぐことができるのだ。

……練習すればするほど、ミエリンが増えて信号の伝達速度が高速かつ正確になり、スキルをどんどん高めることができるというわけだ。

複数の研究で、練習することが、ミリエンの成長と、読書や語彙、音楽、スポーツなどの多種多様なスキルの向上につながることが指摘されている。(P. 169~170)




……短期記憶のうち、海馬が記憶すべきだ、大事だと判断した記憶は、大脳新皮質にたくわえられ、これが「長期記憶」になります。

……素晴らしい記憶術、というのは結局繰り返しです。繰り返すと、記憶に強くかかわる海馬が、その情報を大事だと判断しやすくなり覚えやすくなりますし、スパイン(ツウ注:神経細胞にある突起のようなもの)も大きくなり、記憶が安定してきます。(P. 64~66)




僕は飽き性なほうだと思います。SNSとかを見ていると、まったく同じテキストを数年続けている方とか見かけますが、僕には無理だなと。

そんな僕が2010年の夏から、真剣にTOEICの勉強を始めました。

で、数名のTOEIC満点ホルダーの方のブログを読み漁っていたときに、Tommyさんがされていた、公式問題集リーディングパートのすべての英文を繰り返し読むというトレーニングを僕もやり始めたんですよ。

並行して、これまたTommyさんのアドバイスであるPart 5・6で合計1000問解く(もちろん1冊1冊を何度も反復)という荒行も開始。

そこからリーディングのスコアが上がり始め、2010年07月は300点だったのが、翌年2011年の05月には410点になりました。さらに翌年2012年には10月には465点に到達しました。

【参考】TOEIC リーディング465点が獲れたPart 7勉強法「通読トレーニング」


リスニングパートも同様です。公式問題集を解いた後、ディクテーションで自分が聞き取れない原因を把握した上で、徹底的にオーバーラッピングとシャドウイングで反復しました。

結果、2010年320点→2012年10月445点に到達し、リーディングと合わせて900点を超えました

【参考】TOEIC 900点が確実に獲れる!6つの戦略と勉強法

英検のリスニングも読解もまったく同じやり方でやり、準1級を取りました

TOEICと英検の勉強を通して、反復トレーニングの重要性を経験的に確信したんですよね。


反復練習の結果、創造性が引き出される

続いて全米ベストセラーのカリスマ教師Doug Lemovさんの本から。これは科学研究ではないですが、興味深かったのでシェアしておきます。


ルール4 無意識にできるようになれば、創造性が解き放たれる

(ツウ注:アメリカで最も偉大なコーチと呼ばれている)ジョン・ウッデンの次のことばが、ルール3(無意識にできるようになるまで徹底する)の次の段階を的確に表している――「反復練習によってできた基礎の上に、個性と創造力が開花する」。

意識せず効率よく動くために、体で覚えることの大切さを示したのがルール3だとすれば、ルール4は、「無意識」が仕事をしているあいだに、「意識」がすることに注目する。(P. 54)

アスリートはよく一定の経験と練習を積んだあと、試合の「スピードが落ちた」ように感じる。これはある時点から、複雑な動きにまわされる処理能力が減って、その分、新たに使える処理能力が増えたせいだ。(P. 55)




2012年にTOEIC 900点を取ってから、2013年からオンライン英会話を開始しました。

ただ、英会話は流暢さは伸ばせるものの、そもそもアクティブ語彙や文法(=使える語彙や文法)の引き出しがなければ話せないと分かっていたので、同時並行で瞬間英作文本を20冊くらいやりました。もちろん1冊1冊を10~20周くらい反復しました。

瞬間英作文で中学レベルの簡単な単語と文法を使えるようにして、毎日オンライン英会話を受けていると、徐々に「英語で何と言えばいいのか分からない!」が減り、流暢さも向上してきます。

そして同時に、自分の伝えたいことや自分の意見が英語で言えるようになる=創造的なことができるようになる。

2016年からは、分散学習ができるフラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki」を使うようになり、より効率的に反復トレーニングできるようになりました



反復トレーニングの注意点

漫然と反復してはいけない

「じゃあとにかく反復すればいいのね?」とお思いのあなた。あいや待たれい!

さまざまな分野のトッププレイヤーを研究されている心理学者アンダース・エリクソン教授の御高説をお読み下さい。


目的のある練習あるいは限界的練習の最大の特徴は、できないこと、すなわちコンフォート・ゾーンの外側で努力することであり、

しかも自分が具体的にどうやっているか、どこが弱点なのか、どうすれば上達できるかに意識を集中しながら何度も何度も練習を繰り返すことだ。(P. 211)

学生たちがただ同じことを繰り返していたのではない点に注目して欲しい。彼らは毎回自分が何を間違えたのかに注意を払い、それを直していたのである。これは目的のある練習だ。

やみくもに同じことを何度も繰り返すのではまったく意味がない。反復練習の目的は、自らの弱い部分を見つけ、それを集中的に強くしていくこと…… (P.213)




僕がブログで、「闇雲にシャドウイングを繰り返す前に、まず0.7倍速ディクテーション自分が聞き取れなかった箇所(=自分の弱点)を明確にしたほうがいい」と、小言を言うオカンのように口酸っぱく言ってきたのは間違ってないなと。

2008年に初めて受けたTOEICではリスニングが310点でした。その頃は今ほど本気で英語学習に取り組んでいなかったんですよね。で、ディクテーションもやらずに、速度も落とさずに、まさに漫然とシャドウイングをやっていました。

2年後の2010年に受けた2回目のTOEICのリスニングは320点でした。

まったく伸びてない(笑)

10点なんて誤差ですからね。TOEICに関係ないテキストをやっていたのも大きな原因ですが、それでも驚くほど伸びなかったんですよね。

なので、量(反復トレーニング)は大事だけど、質(使う教材・勉強法・トレーニングのやり方)も同じくらい大事なわけです。



TOEICや英検は反復重視がいいかも


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TOEICは多解き(1回解いて復習して次の問題集に進む)を推奨する方もおられますが、個人的に「多解き中心で900点超えた」って言う人にあんまり出会ってないんですよね。良くても700~800点くらいで伸び悩むイメージ。

で、その数少ない多解きで伸びた人って元々受験で英語を勉強していてそこそこ英語力がある人だったりします。

なので、基本的には問題1冊1冊を丁寧に反復トレーニングしていくことをお勧めします。最大のメリットは、多解きよりもお金かからないことです(笑)

第二言語語彙習得を研究しておられる応用言語学者の中田達也教授も、反復することの効果について著書で説明されています。


付随的学習とは、語彙習得が主目的ではない活動において、偶発的に語彙が習得されることです。(P .17)

同じテキストを複数回読んだり、narrow reading(特定のトピックに関連した複数のテキストを読むこと)や narrow viewing(シリーズ物のテレビ番組を継続的に視聴すること)を行うことで、同じが語彙が複数回繰り返され、付随的な語彙学習の効果を高めることができる。(P. 30)


英単語学習の科学
中田 達也
研究社
2019-04/09

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加えて去年、第二言語習得ではなく母語に関する研究ではありますが、興味深いものを見つけたんですよ。

Daily Mail Onlineの記事「Why children learn faster with only a few books: Repeatedly reading the same book to toddlers helps them learn new words」より。

サセックス大学の研究で、「同じ物語を、3回繰り返し」読み聞かせた子供たちのほうが、「3つの違う物語」を読み聞かせた子供たちよりも、より多くの新しい単語を覚えていたそうです。

この理由について、子供の言葉の学び方について研究されている心理学者のJessica Horst教授は「the benefits of familiarity(慣れ親しむことの利点)」を指摘されています。


対象は大人ではなく小さな子供ですし、第二言語ではなく母語に関する調査なので、これが英語学習者のケースに当てはまるとは言えないですが、自分の経験的にはやっぱりなと思ったんですよね。

TOEICや英検にはそれぞれ、よく出るフレーズ、よく出る設問、よく出る話の流れ、問題を解くヒントになるキーワード(TOEIC英検読解)があるのですが、きちんと精読した上で繰り返し読み終えた模試が増える毎に、それらが自動的に身についてくるんですね。

なので現在の最優先事項が、TOEIC 900点や英検準1級なのであれば、1模試1模試を丁寧にやり込んでいくほうが効率的だと考えています。詳しいやり方次の記事をぜひ!

【参考】TOEIC リーディング465点が獲れたPart 7勉強法「通読トレーニング」
【参考】英検準1級 読解で8~9割取るための対策と勉強法



 
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