瞬間英作文を勧められている応用言語学者・通訳者・英語上級者まとめ

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対象:瞬間英作文に興味はあるけど効果に懐疑的/瞬間英作文は科学的に効果がないと聞いた
推奨:全レベル
読了:約11分(6577字)
公開:2021-01/29
関連:瞬間英作文 - 瞬間英作文お勧め本 - Anki瞬間英作文

瞬間英作文の推奨者まとめ

新多了教授(応用言語学者)

パターン・プラクティス(Pattern Practice)という言葉をご存知でしょうか?


Pattern Practice: (in foreign-language learning) a technique for practicing a linguistic structure in which students repeat a sentence or other structure, ...
(外国語を学ぶときに、言語構造を練習するための手法で、学習者は文もしくは他の構造を反復する)

【出典】Pattern practice | Dictionary.com


文型、現在形・過去形・現在進行形・未来形・完了形などの時制、肯定文・否定文・疑問文・命令文、不定詞・動名詞などのパターン(型・形)をプラクティス(練習)する学習法です。

第二言語習得(外国語の学び方の研究)を専門にしておられる応用言語学者の新多了(にった・りょう)教授が著書で、このパターン・プラクティスの練習本として、「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング(Amazon)」を推薦されていました。


……ネイティブスピーカーにとって定型表現(ツウ注:決まり文句、チャンク)は、よく使っている言葉、どこかで聴いたことがある言葉です。(P. 137)

「定型表現」を覚えるには、何度も繰り返し口に出して練習するのがポイントです。これは「パタン・プラクティス」と呼ばれます。パタン・プラクティスは、心理学の「行動主義」という考えをベースにした学習法です。

……この行動主義の習慣形成が、英語学習では「パタン・プラクティス」として実践されてきました。つまり、自動的に反応できるようになるまで、定型表現を何度も繰り返すのです。

……定型表現をパタン・プラクティスで覚えるテキストとして、以下の2冊を紹介します。

「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」
「21マスで基礎が身につく英語ドリル タテ✕ヨコ 日常会話編」(P.139~141)


「英語の学び方」入門
新多 了
研究社
2019-08/22

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今まで第二言語習得に関する本を7冊、記事をそこそこ読んできましたが、瞬間英作文に触れている項目には出会ったことがなかったんですよね。なのでオラたまげたぞ!(4分16秒)

「言語学者が勧めている=科学的に正しい」というわけではないですが、僕みたいな素人が言うよりははるかに説得力があるかと。

日本では、モノリンガルの指導(英語は英語のままで)がまだ幅を利かせている気がします。瞬間英作文のように「日本語を介して英語を身につけるのはよくない」みたいな。

あまり知られていない気がするのですが、海外の外国語教育の世界では「モノリンガル(英語は英語のままで)指導」は実は古くなりつつあるそうです。


最近では、母語も使ってのバイリンガル(二言語使用)指導が見直されています

英語学習でも、これまではオール英語(All in English)が効果的とされてきましたが、無理して一言語にしなくても、必要に応じて母語を使用したほうが理解が早いという反省が生まれており、母語使用も積極的に認めることの重要性が生まれてきました。

さらに進んで、海外の言語教育界では、「訳すこと」の効用が見直され、TILT(Translation In Language Teaching)として、「通訳翻訳を導入した外国語教育法」が盛んに研究され始めています



Cook( 2010)の著書 Translation in Language Teaching(以下 TILT)には 2 つの目的がある。

1つはモノリンガリズム(単一言語主義)に根ざした外国語教育の弱さ、すなわち英語は英語で学ぶべきだという主張が、科学根拠に基づいたものでははく、商業的・政治的事情を理由としていることなどを明らかにすること

もう1 つは、「訳」が言語学習において重要な役割を果たすということ証明することである。訳す行為は、言語意識と言語使用を促すものであり、またグローバル化・多文化化した現代世界に生きる学生の要請に応えるものでもあることを証明することである(p.154)。

【出典】外国語教育における「翻訳」の再考


「英語は英語のままで」という主張をされる方も、英和辞典やテキストの日本語訳を参照(=「英→日」)してきたはずなんですよね。「英→日」はOKなのに、瞬間英作文(日→英)はダメというのは論理的ではないはずです。

TILTの著者で応用言語学者のGuy Cook教授が「英語は英語で学ぶべきだという主張が、科学根拠に基づいたものではない」と仰っているのは心強いなと。

【参考】Translation in language teaching and learning - Oxford University Press


エバンス愛さん(元会議通訳者)

医学系国際機関の会議通訳を8年されていた、エバンス愛さんのブログ記事から。


「瞬間英作文でトレーニングしていると、いつも日本語から訳す癖がついてしまう」そう心配している人は多いですが、実は、瞬間英作文でトレーニングしても、最終的には日本語を介して英語を発する必要がなくなるんです。

むしろ、そのトレーニングを効率よく進めるために、一時的に日本語を利用していると考えてください。

……「日本語を使っていると英語脳ができない」じゃなく、どんな場面でも言いたいことがスラスラ出てくるようになるために日本語を活用していると考えてください!


これホントそうだなと。

僕は瞬間英作文本を20冊くらいやり、TOEIC公式問題集でも瞬間英作文をやり、今ではフラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki」を使って瞬間英作文をやっていますが、トータルすると1144日以上、2万文以上やってきました。

最初の頃は、「日→英」の変換データのストックがゼロなので、そのプロセスにすごく時間がかかり、目玉が飛び出るほど骨が折れるのですが、反復トレーニングを続けていると、その日英変換のプロセスが徐々に自動化してくるんです。


以前、友達の5歳の子供がお菓子をくれたので、試しに「Thank you.」と言ってみたんです。「それ何?」と言われました。誰もが知っている「Thank you.」ですが、当然ながら最初は誰もが知らない言葉です。

そこで、「「Thank you.」というのは英語の言葉で、意味は「ありがとう」なんだよ」と、日本語で説明して教えて上げました。これから彼は「Thank you.」という言葉を聞く度に僕の華麗なる説明を思い出し(英→日)、いずれ自分でも使う(日→英)ことになるでしょう。

それで今、めでたく大きくなられた皆さんは「Thank you.」と言葉を聞くとき・言うとき、英語から日本語に・日本語から英語に訳してますか?

英語のまま出てきますよね。これは何度も聞いて何度も使ってきたことで、日英変換のプロセスが自動化してきた結果です。


量を保証することにより知識が定着し,さらにそれが自動化した技能として習得されれば,日本語を介さずに英語をそのまま使うことができるようになる。

de Groot & Hoeks(1995)は,第二言語が意味概念に 結び付く2つのモデルを示し,学習によって意味認識が変化することを説明している。

このように学習者の習熟度が増すにつれて,内的翻訳をする量が少なくなる傾向があることは実証研究でも確認されている(Kern, 1994)。(P. 186)

【出典】第二言語習得を加速させる流暢さのトレーニング(PDF)


この「内的翻訳」というのは、頭の中で無意識のうちに「英→日」や「日→英」の変換をしてしまうことです。

リスニングでもリーディングでもスピーキングでも、最初は内的翻訳をしてしまうのですが、トレーニングを続けているとその内的翻訳のプロセスが自動化されてくるため、徐々に減ってくるというわけです。

この自動化というのは、語学に限ったことではなく、脳の仕組みなんですよね。

例えば、最初はレシピを見ながらでないと作れなかった料理が、徐々に効率を覚えてきて、レシピを見なくても作れるようになり、作るスピードが速くなり、より美味しく作れるようになり、料理しながら後片付けもできるようになる。脳内での自動化が進んだ結果です。

楽器も最初は楽譜を見ないと弾けないですが、トレーニングを続けていれば、譜面を見ずに、リズミカルに弾けるようになりますよね。

【参考】科学研究「英語学習は反復練習が大事やで」

エバンスさんの記事「瞬間英作文で「英語脳」はできない?日本語が邪魔に感じるなら読んで」は瞬間英作文の効果とやり方について、うちよりも写真付きで分かりやすく詳しく説明されているので、興味のある方はぜひ!


蛇川(じゃがわ)真紀さん(通翻訳者)

瞬間英作文は元は通訳者のトレーニングなんですよ。

口頭英作文、日英サイト・トランスレーション、パターン・プラクティスを足して3で割って、かき混ぜて、じっくりコトコト3時間煮込んだような感じ?

通翻訳者の蛇川(じゃがわ)真紀さんが、ブログ記事「英字新聞を使った日英サイトラ練習」で、日英サイトラ(Sight Translation)を一般の英語学習者にも勧めておられました

日英サイトラは、厳密には瞬間英作文とは少し異なると考えていますが、和文を英文に変換するという点では同じカテゴリーかなと。


これ(日英サイトラ)を続けると聞こえた順に英語が理解できるようになり、自然とリスニング能力も向上するので、通訳を勉強する人以外にもお勧めの練習方法です。

……ただ漫然と英語を読むよりも、一度自分でサイトラしてから英訳を見る方が学習効果が格段に高まります

【出典】英字新聞を使った日英サイトラ練習


蛇川さんの仰る「ただ漫然と英語を読むよりも、一度自分でサイトラしてから英訳を見る方が学習効果が格段に高まります」というのを聞いて、「解像度」という言葉を思い出しました。

昔、英語好きさんという方がご自身のブログで「英語力が上がってくると、英文を読むとき・聞くときの解像度が上がってくる」みたいなこと仰ってたんですね。
※そのブログ記事を探してみたのですが見つからない……

要は上級者ほど、より深い視点で英語を聞ける、英文を読めるというわけです。

僕は普段、音読やシャドウイング暗唱もやりますが、やはりそれだけでなく、瞬間英作文もやったほうが、その英文の理解度がより深まる=解像度がより上がると感じています。

上述したアプリAnki/AnkiDroidで、きちんとした発音で、徹底的に瞬間英作文で回した語彙・フレーズ・英文は、どんなに速く発話されても一発で聞き取れるんですよね。

反復トレーニングをするのであれば、その前に解像度を上げてから(=深く理解してから)やったほうが学習効果は上がる、と蛇川さんは仰ってるのかなと。


上乃久子さん(NT記者)

海外生活なし、留学経験なしでニューヨークタイムズ東京支局の記者になられた、いわゆる「純ジャパ」の上乃久子さんは、同じく純ジャパの僕にとってはロールモデルの一人です。

上乃さんは著書で、スピーキングの勉強法の一環として、次のようなトレーニングを勧めておられます。


英語で自由に操れるフレーズを確実に増やしたいのなら、日本語で自分がよく口にするセリフを毎日3つ選び、英文を作ってみることです。日記帳に記録をつけるのもよいでしょう。英文の作り方に自信がない場合は、リーディングの勉強の際に見つけた、「これは使いたい」と思う表現を書き留めてみましょう。

……文章ができたら、それを声に出して練習します。こんな方法で1日に3つずつ使いたいフレーズを増やしていくのです。

突然、英語で話さなくてはならなくなった場合、とっさに言葉が出てこないケースがほとんどだと思います。こうした状況に陥らないためにも、日本語で普段から話している内容を英語に変換していく習慣をつけて下さい。(P. 34~35)




直接、瞬間英作文や日英サイトラとは仰ってないですが、紹介されているトレーニング法は、まさに瞬間英作文だなと。

僕自身もまったく同じことをやってきました。

このブログを愛読して下さっている方にとっては耳タコですが、TOEICや英検やNetflixやニュース記事で出会った


● これ使えるようになりたいと思ったフレーズ
● いまだに苦手意識のある苦手な文法や構文
● 読める&聞き取れるけど使えていないフレーズ


を上述したようにAnki瞬間英作文で回してきました。


例えば、自分の所属する業界や部署でよく使われるフレーズを覚えておくと、急に海外出張を命じられたとしても対応ができるはずです。

覚えるフレーズは短くて簡潔なもので問題ありません。英会話の本に紹介されているフレーズを覚える方法もありますが、実際に使う確率が低いものはなかなか頭に入ってきません。それよりもむしろ、直接自分に関係のあるフレーズをストックしておくことをおすすめします。(P. 34~35)


これもホントに共感します。例えば、仮定法「I wish」の例文として「I wish I were a bird.」って覚えさせられましたが、鳥になって飛びたい人以外は使う機会がありません。

瞬間英作文を1000日(1000時間)以上やってきた自分の経験では、自分にとって実用的でない英文(=英会話英語で独り言で使う機会がない)は、なかなか定着しにくいんですよね。

決してムダではないです。僕は英語の格言とかもAnki瞬間英作文で回しています。

ただ、優先順位(実用性)の高いものから覚えていったほうが時間対効果は高いなと。

なので、とにかく最初は、過去形・進行形・受動態・不定詞などの会話で必須の基本的な文法や構文と、自分がよく使いそうな決まり文句(チャンク)を覚えていくことをお勧めします。

【参考】言語学者「英会話を上達させたいなら決まり文句(チャンク)を覚えるといいで」



通訳・翻訳の機会は必ずある


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通訳者・翻訳者をめざしていなくても、日本人である以上、外国人と英語で話していれば、日本のことについて聞かれる・説明することは多々あります

2021年01月現在、オンライン英会話を2952回やってきましたが、ネイティブキャンプをやっていると世界中の人から日本のあらゆることについて聞かれます。

「コタツって何?」
「お盆って何?」
「なぜそんなに夜遅くまで働くの?」
「なぜ少子化しているの?」
「なぜ自殺が多いの?」

英会話を始めた2013年の頃に比べたら、答えられることは格段に増えたと思いますが、それでも答えられないことのほうが圧倒的に多いです。

そんなときは、日本語のページを見ながらその場で「日→英」して説明するのですが、瞬間英作文スキルが向上すればするほど、その「日→英」がサクサクできるようになります。

また、以前Meetupのイベントで、香港人を英語で案内する機会がありました。

そこで、看板などにある日本語の言葉や説明書きの意味をよく聞かれたのですが、それをサクッと英訳して説明できたのも瞬間英作文をひたすらやってきたお陰です。森沢洋介さんに感謝。


このように、オンラインであれオフラインであれ、僕らは日本人なので、英語で外国人と交流していれば、日英通訳・翻訳の機会は必ず、そして頻繁にあります

なので、興味をお持ちなのであれば、瞬間英作文はやっておいて損はないですよ(=゚ω゚)ノ



 
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