言語学者「勉強スケジュールは分散したほうが効果的やで」分散学習

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対象:試験はいつも一夜漬け/単語を覚えるのが苦手 
推奨:全レベル
読了:約6分(3777字) 
公開:2021-02/01 
関連:検索練習 / 分散学習 - Anki / 反復練習

 

分散学習とは?

集中学習と分散学習

それでは早速、応用言語学者・中田達也教授の著書から。


学習スケジュールは、「集中学習」(massed learning)と「分散学習」(spaced learning)とに大別されます。

集中学習とは、ある学習項目を間隔を置かずに複数回繰り返すことを指します。一方、分散学習とは、ある学習項目を間隔を置いて複数回繰り返すことです。

これまでの研究から、分散学習の方が集中学習と比較してよりより長期的な記憶保持につながることが示されています。これは、「分散効果」(spacing effect)と呼ばれる現象です。

……分散学習の有用性は、外国語の単語学習においても、多数の研究によって明らかにされています。(P. 44)


英単語学習の科学
中田 達也
研究社
2019-04/09

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アメリカでベストセラーになった「脳が認める勉強法」にも分散学習に関する項目があり、興味深い研究が紹介されていました。


一気に集中して勉強するのと、勉強時間を「分散」するのとでは、覚える量は同じでも、脳にとどまる時間がずっと長くなるのだ。(P. 97)

勉強時間を分散させるからといって、勉強時間は増えない。より多くの努力が必要になるわけでもない。にもかかわらず、覚えたことをより長く記憶にとどめておけるようになるのだ。(P. 98)


ある研究グループは、小学校3年生に足し算を教える時間を毎日1回設けることを10日間続けるほうが、毎日2回設けて5日間続けるよりもはるかに効率的だと実証した。

別のグループは、細胞、有糸分裂、染色体といった生物の定義を中学生が学ぶ場合、1回の授業で学ぶよりも、間隔をあけて複数回に分けて学んだほうが記憶に残りやすいことを実証した。(P. 109)




例えば、来週試験があったとして、同じ70分勉強するとしたら、試験の前日に一気に70分勉強するよりは、1週間前から毎日10分間に分散して繰り返し勉強するほうが、試験当日に覚えている量は多くなるということです。

タイムマシーンが完成したら、中学・高校時代の一夜漬けニストだった自分のところに行って小1時間問い詰めたい。


忘れてから復習

単語を覚えるときは、一度に集中的に学習するよりも、少しインターバルを空けるのが効果的です。これを「分散学習」(spaced learning)と呼びます(中田、2019)。記憶は、一度忘れたあとにまた覚え直すことで、忘れにくくなります

……一度にすべてを覚えようとするのではなく、間隔をあけて「忘れかけたかな?」というタイミングで確認することで、覚え直しができ単語がしっかりと定着します。(P. 91)


「英語の学び方」入門
新多 了
研究社
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「覚えるために忘れる理論」を思い出して欲しい。忘却は、二つの形で学習を助けてくれる

一つは、重複する情報や矛盾する情報をふるいにかけるという能動的な役割。もう一つは、運動して筋肉が増えるように、忘却によって情報を検索する機会が増え、記憶のより深い定着を促すという受動的な役割だ。(P. 111)




一度忘れたあとにまた覚え直す」「忘却によって情報を検索する機会が増え、記憶のより深い定着を促す」というところがポイントです。

前回の「検索練習」の記事でもご説明したように、覚え直す(=思い出す)ことで記憶は強化されるからです。


分散学習型のフラッシュカードアプリは最強

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僕が分散学習について知ったのは、エビングハウスの忘却曲線(Wikipedia)を知ったときだと思いますが、分散効果を明確に感じたのは、分散学習型のフラッシュカード(単語カード)アプリ「Anki」を使うようになってからです。

例えば、1万個の単語を覚えたいと思っても、1万枚の単語カードすべてを毎日練習する時間はないわけですよ。となると、どういうスケジュールで復習していくのがいいんだろうと考えるようになるわけです。

しかし、いちいち「この単語は45日前に勉強したから、次復習する日は…」とか何度も考えないといけないなんて非効率極まりないじゃないですか。

ですが、Ankiなら復習する日の算出はほぼ自動的にやってくれるんですよ。It's automatic.


「できるだけ多くの単語を、できるだけ最小の労力で、効率的に保持しておくにはどうしたらいいか」を考えたときに、やはりAnkiのような分散学習の仕組みがあるフラッシュカードアプリは最強だなと。

Ankiがこのまま席巻し続けるか分からないですが、分散学習の仕組みを使ったフラッシュカードプログラムは、いずれ学校で日常的に使われる時代がくるのは間違いないだろうなと。

【参考】瞬間英作文を超効率化するフラッシュカードアプリ「Anki/AnkiDroid」



分散学習の実践

単語

フラッシュカードアプリ初心者の方は、QuizletとかCramのほうが使い勝手はいいと思います。

僕自身いろいろ試してみました。Ankiよりも、QuizletやCramのほうが勝っていると感じる部分もたくさんあるのですが、慣れてきて使い勝手を考えたとき、僕はやっぱりAnkiがベストだという結論に。

【参考】QuizletからAnkiに戻した話|じゃがいも


TOEIC本・英検過去問・英会話CD本

英検準1級過去問集

一時期やり込んだテキストを、再度復習する意味はあるのかどうか、ずっと考えてきたのですが、この分散学習を知って、意味はあるなと。

数ヶ月~数年前にやり込んだTOEIC本英検の過去問英会話CDなどの音声を今聞き返してみると、以前やり込んだときよりもよりクリアに聞き取れたり、より深い解像度(理解度)で聞き取れたりするんですよね。

「あ、こんなフレーズ使ってたんだ」「この単語、聞き取れるし読めるけど、いまだに会話では使えていないな」とか。

同時に、前回苦手だった箇所が今回も聞き取れなかったりすることも多いなと。けっこういい感じに忘却しているわけですよ。

なので、分散効果を考えると、「今回はやり込み度は7~9割程度に落として数をこなし、忘れた頃(数週間後~数ヶ月後)に再度復習し直す」というのを前提にする学習スケジュールは全然アリだろうなと。

1万時間以上勉強してきて痛感しているのですが、初心者の頃に「辞書や文法書を使って徹底的に調べた&やり込んだ」と思い込んだテキストを今読み返してみると、全然低いレベルの解像度&やり込み度だっただなと気づくんですよね(笑)

「徹底的にやり込んだ」と思っても、意外とたいしたことないので、分散効果も考えて、一度のやり込みでテキストを終わらせるより、数週間~数ヶ月後に再度やり込み直す、というやり方でいこうかなと思っています。


瞬間英作文

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Ankiで単語を覚えるときは、忘却曲線的にやっていくといいと思うんですよ。翌日→3日後→1週間後……みたいな。

ですが、Ankiで瞬間英作文を1100日やってきた経験では、瞬間英作文は単純な忘却曲線でやると定着度がイマイチ悪いなと。

初心者は120~150 wpm、中級者は180~200 wpmくらいの速さスラスラとなめらかに言えるようになるまで、とりあえず毎日トレーニングしたほうがいいです。

口に英文(英語)の音を慣れさせる、という感覚です。


……一般的に定型表現は、ネイティブスピーカーの頭の中でひとつのかたまり(「チャンク」とも言います)として記憶されています。(P. 83)

定型表現は、英語のネイティブスピーカーが日常的に使っているものばかり。英語で書かれたものの約50%、会話の約70%は定型表現であると示す研究もあります。

使い慣れた表現ですから、すぐに口をついて出てきます。聴き手にとってもよく知っている表現なので、聴いた瞬間すぐに意味が思い浮かびます。

つまり、定型表現の使用は、話し手にも聴き手にも負荷がかからず楽なのです。私たちが英語を学習するときも、よく使われる定型表現を覚えておくと、英語での会話がぐっと楽になります。(P. 84)


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新多 了
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「すぐに口をついて出て」くるレベルに持っていかないといけないわけですよ。

なので、スラスラ言えなかった文は、例え正解できても「10分後」「難しい」のボタンを押すようにしています。完全にスラスラ言えたときだけ「易しい」のボタンを押す感じ。



 
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