
2012年にオンライン英会話を始めたときの目標は、「ネイティブとディスカッションできるようになること」でした。
2017年頃に、準ネイティブレベルに到達しようと思うと2万語(パッシブ語彙)必要という事実を知ってから、「ネイティブと十分会話できるようになるのはかなり先の話になりそうだな」と思っていました。
2022年現在、僕のパッシブ語彙力(聞き取れる・読めるけど使えない語彙)はいまだに1万語もないですが、それでもこの数年、試行錯誤してきたことで、1対1であればネイティブと何とか話せるレベルになってきつつあります。
この記事ではそれについて書いていきたいと思います。
ネイティブとの英会話に必要な語彙力

僕の2022年のパッシブ語彙力(聞き取れる&読めるけど使えない語彙力)は
● Test Your Vocab:9,130語
● VocabularySize.com:8,100~9,200語族
程度なんですね。TOEIC 900点と英検準1級の両方を取ると、これくらいの語彙力に近づいてくると思います。
上述したように大人のネイティブは少なくとも2万語、また、1級ホルダーの方々は約1万語あるらしいので、僕の語彙力はたいしたことないです。
ですが、8~9千語の語彙力でも、1対1であればネイティブとは何とかやりとりできるレベルに到達しつつあるんですね。
リスニングに関しては単純な語彙力だけじゃないなと。
2017年、ワレ撃沈ス

遡ること2017年、オンライン英会話が1500回を超え、スピーキングにそこそこ自信がついてきたので、2018~2019年にネイティブが多数参加するMeetupにいくつか参戦してみました。
見事に撃沈しました。
他の記事でもお伝えしていますが、ネイティブの"光速"英語がとにかく聞き取れなかったんですよね。
スピーキングはまだ何とかなるんですよ。でも正確に聞き取れなければ返答できないので、実質存在してないのと同じ(笑)。
2022年、ワレ改善ス
それを反省して、2018年頃から「ネイティブの速い英語を聞き取れる」ようにするために試行錯誤してきました。やってきことは次の4つです。
(2) ネイティブのYouTube動画(MJ and Adam Show/Hololive EN)で多聴
(3) エイゴックスでネイティブ講師のレッスンを毎週受ける
(4) HelloTalkやDiscordで出会った野良ネイティブと話す
個人的に(1)が一番時間対効果が高かったです。
別にこれらのテキストでなくても、現代のものでネイティブの日常会話が聞けるマテリアル(映画・ドラマ・YouTube)であれば何でもいいと思いますが、森田勝之先生の映画・ドラマCD本は先に1冊やっておくと幸せになれると思います。
(2)は今は息抜き程度で、精聴もしていないですが、気に入ったものは料理中に繰り返し聞き流しているので、そこそこ効果はある気がしています。
(3)と(4)でたまにネイティブと話すだけでは、ネイティブの早い英語を聞き取れるようにはなりにくいです。
ですが、ネイティブとの会話に慣れる、ネイティブとの会話恐怖症を減らす、US(UK/AUS etc)ネイティブの思考や価値観を学べるという効果があります。
【関連】オンライン英会話3000回に到達したので効果と現在の課題をまとめてみた
サレド、語彙力ホボ変ワラズ
2018年と比べると、ネイティブの英語を聞き取れる割合はかなり増えたと感じてますが、実は語彙力はそんなに伸びていないんですよね。Test Your Vocabでの測定だと次のような感じです。
2019年:8,880語
2020年:9,030語
2021年:8,590語
2022年:9,130語
たいして伸びてないでしょ?2021年なんか下がってますからね(笑)。
こうやって自分の語彙力を晒し散らかしている人で、語彙力下がる人って僕ぐらいじゃないでしょうか🤣
リスニングに注力するために多読を中断、2019年頃から2021年までうつ病で無気力状態バフがかかっていたというのが主な原因だと思います。
9千語→2万語はたった0.78%
「そろそろ本気で語彙力増やさないとアカンかな」と思っていた矢先、応用言語学者の中田達也教授の著書に、語彙に関する興味深い調査があったんですよ。最も頻度が高い9000語では98.08%カバーできますが、10000語まで学んだとしても、98.23%までしか増えません。
10000語から先は、1000語学んだとしても0.01~0.1%程度の微増にとどまります。
がんばって20000語 (平均的な母語話者と同じくらいのレベルです) を学んだとしても、カバー率は98.86%であり、10000語と比較しても約0.6%しか増えません。(P. 9)英単語学習の科学
中田 達也
研究社
2019-04/09
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僕の現在の語彙力約9千語(98.08%)から、ボキャビルを頑張って2万語(98.86%)に到達しても、カバー率はたった0.78%しか増えないんですよね。
2万語をめざす前にやるべき4つのこと
「2万語に到達してもカバー率は0.78%しか増えない」という研究結果と、「語彙力8~9千語からあまり増えてないのにネイティブの英語を聞き取れる割合が増えてきた」というセルフ人体実験結果から、考え方がまた少し変わってきました。
英会話力向上重視なのであれば、1万~2万語レベルのエンカウント率の低いマイナーな単語を覚えるよりも先に、次の4つに注力したほうが時間対効果は高そうだなと。
詳しく説明していきたいと思います。
(1) 「知ってるけど聞き取れない」をつぶす
僕のレベル(語彙力8~9千語/TOEIC 900点/英検準1級)だと、ネイティブの英語が聞き取れない原因の半分は、「簡単な英単語ばかりなのに、音的に聞き取れない」なんですよね。例えば、次のHololive ENのGuraとAmeの約3分の会話をどれだけ理解できるか、字幕なしで挑戦してみて下さい。
いかがでしたか?
この会話の単語数は335語で、8000語を超えるのはdude、replenish、llamaのみ、割合は0.89%でした。
「知っている=聞き取れる」が成り立つのであれば、TOEIC 900点や英検準1級を持っている人は8千語くらいのパッシブ語彙力があるはずなので、99.11%は聞き取れることになります。
でも実際はかなり難しいのではないかと。
この二人は速いときはかなり早口で、特にAme(ブロンドの女の子)は、300wpmを超えることもしばしば。
ネイティブの英語を聞き取れるようにするためには、「簡単な英語で構成されているけれど、速いスピードで繰り出される音変化」を聞き取れるようになる必要があるわけです。
【関連】TOEICリスニング満点でも映画やドラマの聞き取りが難しい7つの原因
(2) 句動詞・イディオム・多義語に慣れる
自分が聞き取れない原因のもう半分は、「音的には聞き取れるけど、意味がつかめない」だと感じています。これは、確かに1万語レベル以上の未知語のケースもあります。
ですがそれ以上に、次の2つのケースのほうが多いなと。
(2) 知っている単語だけど、別の意味を持つ多義語
(1)のケースだと、句動詞は「A turn B off to C(AのせいでBがCに興味をなくす)」「hold off(買い控える、先延ばしする)」、イディオムなら「backseat driver(あれこれ口出しする人)」「spoiler alert(ネタバレ注意)」とか。
(2)は例えば、「school」って聞くと小学校・中学校・高校をイメージしますが、米語だと会話で「大学」という意味でも使われることがあるんですよね。
また、「dirty」は「汚い」だけでなく、「下品な・猥褻な」という意味や「不誠実な」みたいな意味があったり。
基本的に1つの単語には2つ以上の意味があると想定しておいたほうがいいなと。
「VOCABPROFILE COMPLEAT」で調べてみましたが、これら全部3千語レベル以下です。
つまり、語彙力測定サイトでは測れない句動詞・イディオム・別の意味をもつ単語を増やさなければ聞き取れる割合は増えないわけです。
そう考えると、エンカウント率の低い1万語レベル以上の単語よりも、ネイティブが会話でよく使う句動詞・イディオム・多義語を覚えていくほうが優先順位は高いなと。
(3) 苦手な文法・構文を減らす

上述した「知ってるけど聞き取れない」ケースで、個々の単語は聞き取れたけど、意味が理解できない場合、単純に文法や構文的に苦手なケースもわりと多いなと。
多くの方はおそらくシャドウイングでつぶしていくのだと思いますが、僕は文法項目別の瞬間英作文本でつぶしてきました。
苦手な、使えない文法・構文が減るほど、「英語で何と言えばいいか分からない」「どの時制・文型・構文を使えばいいか分からない」が減ってきます。
ネイティブレベルの自然で正確な文法力を獲得するためには、多聴多読が必須なので、瞬間英作文だけでは限界があります。
ですが、瞬間英作文は初心者~中級者がネイティブに理解してもらえるレベルの文法的正確さは身についてくるので個人的にはお勧めです。
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」などは、言語学者の方々も勧めておられます。
(4) 決まり文句(チャンク)を増やす
決まり文句とは、会話でよく使われる「定型表現」のことで、チャンクとも呼ばれます。How may I help you?(何かご用ですか?/いらっしゃいませ)
(When I was) Growing up(小さい頃は)
などの特定のシーンで使われるフレーズや、ことわざや上述したイディオムなんかも含まれるかと。
というのも、最近とにかくよく引用していますが、複数の研究で「英会話の約7割は決まり文句(チャンク)を構成されている」ことが分かっているそうです。
つまり、英会話で聞き取れる&話せるようになりたければ、決まり文句を覚えていくのが効率的と考えられるわけです。
なので、シャドウイングをするときは、決まり文句(チャンク)を意識してリピーティングするようにしています。
音声を止めてスクリプトを見ずに言うリピーティングをやることで、検索練習になるので、記憶に残りやすく、会話で出てきやすくなるなと。
ただ、自分の感覚では瞬間英作文のほうが圧倒的にアクティブ化しやすい(会話で使えるようになりやすい)ので、「早急に使えるようにしたい!」と思ったものはフラッシュカード(単語カード)アプリに入れて瞬間英作文で回しています。
終わ~りな~き旅
ネイティブの英語が聞き取れる割合が上がってきたとは言え、正直な話、まだまだ聞き取れない割合は多いです。
推測している割合も多いですし。アクセントの強いネイティブ相手だとさらに厳しいですし、複数のネイティブが早口で話し始めたらお手上げです。
スピーキングも、めったに話さないトピック、あまり使わない文法・フレーズだと流暢さが激落ちくんですし、文法的正確さ、語彙的な自然さもまだまだ怪しいなと。
ですが、めざせネイティブ並みにペラペラ→言語学者「大人は手遅れ」でご紹介したように、英語圏に40年住んでもネイティブレベルにはほぼ到達不可能ですし、20年住んでもネイティブの英語は100%聞き取れるようにならないんですよね。日本在住なら尚更です。
だから、100%聞き取れないこと、流暢に話せないことで落ち込む必要はないなと。
それよりも、毎日地道にコツコツ淡々とトレーニングして、リスニングとスピーキングを伸ばしていく心構え。精進あるのみ。

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